王宮にて
男達だけの会話です。
「ロレンス男爵令嬢は冷静だね。私の前であれだけ表情を変えないでいられた」
レナードの言葉にユーシスとバロー公爵が頷いた。が、
「ブッ。……失礼しました」
突然カインが吹き出したのを4人が不思議そうに見る。
「カイン卿?」
ラウルが声を掛けると、カインが笑いを噛み殺しながら頭を下げた。
「失礼しました。妹は極度の緊張で、表情筋が死んでただけなんで」
「緊張?あんなに冷静に対処していたのに?」
ユーシスが驚き過ぎて腰が浮き上がる。
「母の教育の賜物です。たとえどれほど焦っても表情を変えるな、態度に出すなと徹底されてます」
「あぁ、だから目で必死にカイン卿に助けを求めていたのか」
ラウルがクスッと笑う。
カインは少しだけ目を閉じ、フッと息を吐く。
「あれほど読み辛い妹の感情に気が付かれていたとは……」
「読めたとしても、私は彼女に嫌われてますから」
寂しげなラウルの言葉に、レナード達がギョッとした顔を向けた。
「氷の宰相にも春が来たのか?」
「浮いた話がまるで無かったアルフレッド卿が令嬢の話をするなんて。明日は嵐だな」
バロー公爵とユーシスが揶揄うような口調で話していたが
「アルフレッド卿、まずは謝罪が先ではないのか?」
と、レナードが真剣な顔でラウルを見た。
「はい。侮っていたのは事実ですから」
素直に頭を下げるラウルを茶化す事を忘れ、バロー公爵達は驚いたように見る。
「……義理の弟が年上になるなんて、あまり考えたくありません」
カインが嫌そうに眉を顰めるが
「義兄上、と呼べるよう誠心誠意謝罪してきます」
と、ラウルは穏やかな顔で笑う。
「ラティナが謝罪を拒否したら、全力で阻止させていただきます」
シスコンで、妹の幸せを願うカインの感情は複雑だろうが、速攻で拒否をしないところに活路はありそうだ。
華がないシーンです。




