馬車の中にて
ラティナ視点です。
願いが叶ったのか、胃が壊れる前にお茶会は終わり、エメリア様と2人で帰りの馬車に乗った。
「ずっとお聞きしたかったの。どうして初対面であったわたくしに親身になって下さったの?」
向かいの席に座るエメリア様が泣きそうな目で私を見ていた。
簡単な理由がある。
私はただ、平穏な生活がしたかった。
うっすらしか覚えていない前世は、お世辞にも平穏な生活じゃ無かった。
だから、今回は極々平凡であくびが出そうなほど平穏な生活がしたかった。
其処に舞い込んだエメリア様の事情。
乙女ゲームなんて、はなから信じてないけど、何にも悪い事をしていない人が断罪されるのは嫌だった。
「私、悪い事をした輩が断罪されるのは気にしませんが、エメリア様は冤罪で不幸になってしまう。それが嫌だったのです」
本当に簡単な理由。
「それにしてもこんなドロドロした事情があったなんて」
実社会の裏は、だいたいこんな感じですよ、とは言えない。
「エメリア様、真実は小説より奇なりと言う言葉があります。此処はゲームでは無く、ちょっと似ているだけの現実世界だから、エメリア様が悪役令嬢で断罪されなければならない世界ではありません」
ゲームの事なんかすっかり忘れてだけど、もう一度念を押してみた。
ラティナはスの付く職業かも。




