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王宮にて

王宮でラティナの心情を中心に書いてみました。

「モルディアの若き太陽、レナード王太子殿下にご挨拶申し上げます。私はロレンス男爵の娘ラティナと申します」


噛まないで挨拶できただけでもお兄様、後で褒めて下さい。


「初めまして、ロレンス男爵令嬢。ごめんね、私だけのつもりだったんだが、2人に押し掛けられたんだ」


優雅にソファから立ち上がり、此方に歩きながら状況を説明して下さるレナード王太子殿下の柔らかな口調で緊張は少し和らいだが、自らお茶会の席にエスコートされると胃がキリキリと痛むんですけど。


表面上は和やかなお茶会ですが、もう駄目、私の胃が緊張で悲鳴をあげてます。


お兄様助けて……。

視線を逸らすな!肩で笑うな!


「では、結論から言えば、この後バーナードが騒ぎを起こしたら、即刻婚約を破棄しユーシスに託すつもりだ」


うわっ、あっさり事前の意識統一の時間にシフトしたよ。

レナード王太子殿下をユーシス殿下達が嬉しそうに見ているし、バロー公爵閣下も頷いている。

バロー家の独立は、無いですね。


「バーナード殿下の取り巻きだった奴らの処分はどうなさいます?」


バロー公爵閣下、笑顔が怖いです。


「とっくにラウルが終わらせているよ。犯罪に関わった2人は既に牢の中だし、シギーサ侯爵家は子爵に降格し、犯罪に関わっていない侯爵の弟が継ぐ事になった」


潰さないだけ温情あるだろ、とレナード王太子殿下がにっこり笑った。


「元シギーサ侯爵のご子息の処分は?」


迷惑を掛けられたのにエメリア様が心配そうな顔で、レナード王太子殿下を見ている。


うん、身分を剥奪され平民に、ってところかな?あの貴族のボンボンが市井で生活?無理だろうなぁ。


「犯罪に関わっていないようですが騒いで煩かったから、規律の厳しい教会に入れました。平民にしたら、市井の民の迷惑になります」


ラウル宰相。何気に厳しいですね。

なに満足そうな笑顔でこっちを見てるんですか。

ま、ダナエ様は隣国に嫁がれるから、教会に居ても顔を合わせないでしょうから無難な選択ですね。


「そうそう、ダグラス近衛騎士団長から礼を言われましたよ」


ユーシス殿下がのんびりお茶を飲みながら話を振ってきた。


「あぁ、ロドネフ元騎士団長の不正の件だろ。王家を馬鹿にしてるとしか思えないね」


いつの間にかレナード王太子殿下の腹が真っ黒になった気がします。


馬の産地偽装から見付かった、馬の横流しとそれに加担した騎士団長の収賄事件だよね。

裏で情報を集めてた時は、まさかこんな大事になるなんて思ってもいなかったよ。


「まさかロドネフの騎士団長降格だけで終わらせたのですか?」

「そんな手緩い事で終わらせるはずがない。勿論降格処分にしたよ。今頃兵団の雑用係で親子共々扱かれてるだろうな」


バロー公爵の質問にレナード王太子殿下がまたにっこり笑う。

この処分を聞けば、爵位は剥奪されているんだろうな。


しかし兵団の雑用係か。騎士団に入るターニャ様とは顔を合わせる事も無くなって良かったです。


「学会の方も処分は終わったそうです」


ラウル宰相も、なんでもない事のように報告してますね。

アンナさんから聞いてますが、ゼノビス先生は学会と学園から追放されて、再就職先が無いらしい。

間違いなく再起不能になってますよ。


胃が痛い。

情報の影響が大きすぎます。


「全てラティナ嬢のお陰だ。感謝する」

「いえ、私は気になった事を兄に伝えていただけです」


こんなにあっちこっちの粛清の発端になるなんて、思ってませんでした。


えっ?、レナード王太子殿下だけで無く、全員がにこにこしてこっちを見てるけど……。

お兄様、何を言ったんですか!


「妹の着眼点は鋭く、海面に微かに見える氷の塊を見つけるように、情報の中から巨悪のささやかな綻びを見抜きます」


なんて事言うんですか!

お兄様、それでは私が……。駄目だ、皆さん頷いている。

私は裏で動いているのが楽なのに、表舞台に出されるのは辛いです。


お願い。私の胃が壊れる前にお茶会が終わって。

2023年が始まりました。

私個人は喪中ですので新年の挨拶は控えさせていただきます。

今年も読んでくださる方に感謝して、笑ってもらえたり共感してもらえるものを書いていけたらいいな、と思ってますので、宜しくお願い致します。

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