学園と侯爵家にて
学園での会話とタイロンのざまぁです。
「マテウス様が学園を退学されたそうですけど」
エメリアが不思議そうな顔でラティナを見ると
「成績不振と生活態度の不良が理由らしいですね」
と、ターニャがさらりと告げ、隣に立つラティナと笑みを交わす。
「生活態度の不良者は1人では無いですから、ね」
笑みを浮かべたラティナが意味深な言葉を口にし、エメリアをユーシスのサロンへ送り届けた。
侯爵令息タイロンは、警備兵達に拘束される両親を呆然と見ていた。
罪状として告げられた、両親が多額の金を得るために、犯罪に手を染め人身売買や身代金目的の誘拐をさせていた事なんて知らなかった。
だが、両親が僕との婚約話を断ったダナエ・メルシアン公爵令嬢を密かに誘拐しようと知った時は、そのまま売り飛ばせばこれでアズサに嫌がらせをするヤツが居なくなる、と思っていた。
それなのに、ダナエとの婚約話を強引に出されたメルシアン公爵家が両親の犯罪行為に気が付き、それを理由に婚約を断ったせいで我が家が没落する。
しかも失敗したが、ダナエが子供の頃誘拐されそうになった事も、実は両親が身代金目的の計画で起こしており、身辺を調査され始めたせいで資金繰りが厳しくなったから、多額の持参金を得る為、あれは僕が助けた事にして、この婚約話を了承させようとしていた。
「父上、母上」
「何かの間違いだ。わしらはそんな事していない」
「そうよ。これは冤罪よ。私達を陥れようとしている陰謀よ」
警備兵達に押さえ付けられている母上が髪を振り乱し、陰謀だと叫んでいるが、ラウル宰相の部下は冷ややかに2人を見ている。
「叫ばないで下さい。耳が痛くなります」
ラウル宰相が大勢の男達を連れて現れ、此方に歩いて来るのが見える。
「昔、君がメルシアン公爵令嬢を誘拐から助けた、とか言っていたが本当か?」
そんな記憶はないけど、話は知っているからそうだと言えば父上や母上が助かるかも。
「本当だ。僕がアイツを暴漢から助けたんだ。命の恩人である僕の父上と母上を助けないなんて、なんて恩知らずな」
「ほぅ。では、令嬢が助けてくれたお礼にと渡した物を見せたまえ」
助けた時に渡した物?
嘘だ。きっとこれは罠だ。
実行犯はそんな事言ってなかった。
「そんな物無い。アイツはそんな物渡してない」
それに誘拐された時なんて、大した物持ってるわけ無い。
僕を引っ掛ける為のでっち上げだ。
「だ、そうですよメルシアン公爵令嬢」
「やはりね。わたくし、あの時助けてくださった方に髪飾りを渡しましたわ。再会を願っています、と」
男達の後ろからメルシアン公爵令嬢が現れ、汚いものを見るような目で僕を見た。
「そんな事どうでもいいから、父上と母上を助けろ」
「何故ですの?二度もわたくしを誘拐しようとしたのに」
何故それを知っている、とタイロンが驚愕しているが、ラウル宰相が一枚の紙をタイロンの目の前に出した。
それは違法薬物の販売に手を染めていた貴族の罪状軽減の嘆願書であり、シギーサ侯爵家の罪の暴露状でもあった。
父上と母上を助けないダナエを睨み付けたが、彼女は怯えもせず冷たい目で僕を見ていた。
「シギーサ侯爵令息。アズサとか言う女子生徒に貢ぎたいなら自分のお金でなされば?わたくしと婚約してもメルシアン家の財産は貴方の物にはなりません」
そう言い残し、背を向けたダナエの髪には高そうなスターサファイアの髪飾りが光っていた。
腐った親からは腐った子が生まれる典型かな。




