学園と商会にて
サブタイトルの書き方変えます。
大きな騒ぎも無く、学園はゆったりした時間が流れ、学年末の試験も滞る事なく終わり、来月から長い休みに入る。
「もう夏休みか。あっという間だったな」
ユーシスが自分のサロンで紅茶を飲みながらありきたりの感想を口にする。
確かに終わればあっという間だったが、エメリアは横に座るラティナを見た。
「ラティナが居なければ、わたくしの学園生活はもっと苦しい物だったかもしれません」
エメリアの言葉には、ラティナの配慮のおかげでバーナードに煩わされる事なく落ち着いていられた、との思いが滲んでいた。
「エメリア様につつが無くお過ごし頂くためならば、苦労などありません」
ラティナはカップを置き、ニコッと微笑む。
「バーナードは相変わらずか」
「はい。ラティナが未然に接触しないよう気を配ってくれてますが」
飽きもせず言い掛かりや、課題の押し付けはあるが気に病むほどではない。
言い掛かりは正論で言い返しているし、課題の押し付けは白紙で何度か提出したらしなくなっていた。
「それより、ラティナは休みの間どうするの?」
エメリアは夏休み、時間があるならバロー家の別荘に遊びに来ないか、と誘いたそうだが、バロー家の別荘に行ったら自分の胃が壊れそうなので、丁重にお断りの理由を述べた。
「私ですか?父の商会の手伝いに行くつもりです」
エメリアの残念そうな顔にラティナも胸が痛むが、エメリアの問題以外も対処しなければならない案件が山になっているのを思い出し、ため息を吐いた。
でも、来年もまた平穏な学生生活を満喫する為にも必要な事だ、と分かっているからやらないと言う選択肢は無い。
それに、正攻法が駄目なら搦手で、と思い集めた情報にはいくつか使えるものがあった。
無事に夏休みに入り、ラティナは自主的に商会の事務室で大量の資料に囲まれていた。
「馬の産地偽装?」
「良質の馬の産地は多いですが、調教は優劣が付きます」
書類を持ちながらラティナが首を傾げれば、担当の者が説明を始めた。
要約すると、良い馬だが調教が悪い馬が近衛騎士団にあてがわれている、と言う事だ。
「近衛騎士団は王立軍のトップなのに?」
「産地が偽装されている噂があるんです」
商会でも馬を扱う部門はある。
だが、近衛騎士団の馬はより良い馬を、と言う理由から商会から買付け、騎士団で選別されている。
そして稀にだが、その選考から漏れた馬は貴族達に下げ渡されることもある。
「騎士団で不正があるなら、私達が口出しはできないけど」
そう言いながらラティナがにっこり笑った。
「お兄様経由でレナード王太子殿下の耳に入る様にしましょう」
カインの耳に入れれば、レナード王太子殿下本人では無く、誰かがきっと調べるはずだ。
場面が色々飛ぶので場面だけにしよう。




