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学園にて 3人の会話

若干時間の幅がありますが、全部学園内の会話です。

「クシュン」


ラティナがくしゃみをして、恥ずかしそうにエメリアを見た。


「失礼しました」

「ラティナ、風邪?」

「いえ、誰かが噂をした様です」


バロー公爵との面会からエメリアとラティナは更に親しくなり、気が付けはいつも一緒にいる。

今も次の授業の為、別棟の教室に向かう途中だ。


「エメリア様。少し時間が早いので、中庭の方を散策しながら参りましょう」


いつも花が溢れるほど咲いている中庭の小径に誘う姿は見惚れるほど洗練されている。

背筋を伸ばし、さり気なくエメリアの歩調に合わせながらエスコートする姿は同年代の令息達よりも紳士的だ。


エメリアが嬉しそうにラティナの隣を歩いていると、廊下をドカドカ音を立てて歩くバーナードの姿が、遠くの窓越しに見えた。


「ラティナ、もしかして気が付いていたの?」

「バーナード殿下の足音は特徴がありますから」


エメリアの驚きに、ラティナはさらりと答える。

影のように目立たない立場で、相手の行動を先読みをするラティナのお陰でエメリアがバーナードと遭遇する事が減り、落ち着いた学園生活を謳歌していた。


突発的に遭遇しても、意味不明な言い掛かりで怒鳴り散らすバーナードにはラティナの助言通り冷静に対応し、今までの様に萎縮する事は無くなった。


バーナードとはほぼ没交渉だが、代わりにユーシスとは更に親しくなって行った。


「早いもんだ。エメリア達が入学したのがつい最近ではと思っていたのに」


ユーシスが白い息を吐きながら新年を祝う学園のパーティー会場のテラスで笑う。


一応婚約者であるバーナードのエスコートで入場し、ファーストダンスもしたが、すぐに一人にされたからエメリアはラティナと共に会場の軽食エリアにいた所、ユーシスに声を掛けられテラスに出ていた。


「本当に。入学時期はまだ夏の気配が濃かったのに、もう雪の季節ですね」


季節がどんどん変わって、もう年明けになった。

今年の夏にはゲームが、と思いながら疑問に思う事がある。


「何故、学園は新年度を春では無く、夏にしたのかしら?」


エメリアの疑問にユーシスは不思議そうな顔をしたが


「花の時期に祝い事を入れたことで長い休みをわざわざ一年に組み込むより、効率的だからでしょう。カリキュラムも組みやすいですから」


ラティナの言葉にそうなのね、と納得した。

バロー公爵家は今のところ目立った動きは無く、状況を静観しているように見えラティナも行動は起こしてはいない。


「少し寒くなりましたので、エメリア様はそろそろ室内へ」


パーティー用のドレスは制服より露出度が高いので此処はそろそろ寒い。


「そうだね。なら、エメリア、一曲踊らないか?」

「はい。喜んで」


二人の背中を見送りながら、あり得ない気配を感じ、ラティナはチラッとテラスの下を見た。

キリがいい所まで、と思ったら時間の幅が出来てしまった。

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