王宮にて
王宮内、2人の会話
「ロレンス男爵令嬢の事かい?彼女を侮っては駄目だよ。カインが暴れる」
ラウルは直接知らないが、カイン・ロレンス男爵令息は重度のシスコンで、その頭脳を妹の為にしか使わない、とさえ言われている。
「レナード殿下の前で言うのも何ですが、子飼いが騒いだ所で大局に問題が起きるとは思えません」
「……まあ良い。で、何か望みがあるのか?」
レナードがラウルを正面から見た。
「ラティナ・ロレンス男爵令嬢を私に預けてください」
「君の子飼いとして育てるつもりか?」
レナードは詰めが甘いが、愚か者ではない。どちらかと言えば、為政者としては優れた人物だ。
「それ程の逸材か。だが、社交界にデビューもしていない令嬢を呼ぶのは無理だろう」
「理由ならいくらでも」
ラウルの自信ありげな笑みをレナードは真っ直ぐ見詰めながら、首を横に振った。
「アルフレッド卿、君ならいくらでも理由を作れるだろうが、宮廷内のルールを無視する事は認められない」
レナードが爵位が低いカインを側に置けるのも、カインが既に成人し、宮廷で働いているからであり、ラウルのしようとしている事は宮廷内のルールを乱す行為だ。
「ですが、このままではバロー公爵の参謀となり、王国から独立してしまう可能性大です」
ラティナの頭脳が有ればバロー公爵家が独立し、王国の安定が揺らぐ可能性がある。
それは、宰相として避けなければならない。
「それでもルールはルールだ。ロレンス男爵令嬢を引き込みたいなら別の手段を考えるべきだ」
レナードの強い拒否にラウルは一旦引くしかない、と頭を下げた。
場所と人数の形式がいいので、固定しよう。