共有視点 大人達の会話
大人2人の会話です。
「レナード王太子殿下は変われるか?」
ラティナが退出した後、バロー公爵はラウル伯爵に問い掛けた。
「変わらなければ自分の未来が潰える、と理解したからロレンス男爵令息を子飼いにした、と考えられます」
淡々と語るラウル伯爵をバロー公爵は無言で見ていたが、ふぅ、と息を漏らし頷いた。
「ロレンス男爵令息も有能な青年だ。どれ、少し様子を見るか」
「それならば、ロレンス男爵令嬢を私に下さい」
ラウル伯爵の言葉に、バロー公爵が目を見開いた。
「誤解しないでください。彼女の能力が欲しいだけです。一介の男爵令嬢とは思えない思考。手元で育てたいだけですよ」
冷ややかな笑みを浮かべながら、ラティナが退出した扉を見るラウル伯爵に
「ミイラ取りがミイラになる、と言う言葉があるぞ」
バロー公爵が呆れた様に言った。
「面白い言葉です。ですが、子供など興味はありませんし、カイン・ロレンス男爵令息など、レナード王太子殿下の子飼いで無ければ、ものの数ではありませんから」
ラウル伯爵が鼻で笑いながら、レナード王太子殿下の子飼いを連れて部屋を出て行った。
なんとも花のない回になった。