二話 プレイス
奴は日本国民1-14-4-110。通称イトウ。
少数派能力の一つである『色字』を持っている。
俺の能力である『冷血』よりずっとレアで強い能力だ。
おっと、自己紹介が遅れたな。
俺は1-17-8-184。通称イワシ。
俺の能力『冷血』は辺りのものを全て凍らせる強い冷気を放つことができる。
だが、イトウの『色字』は凍らせるだけじゃない。
使いこなすのが難しいが、使いこなせば炎で焼き尽くす事も出来るし、海に電気を流して中にいる奴を全員感電させることも出来る。
ところで、前の話で俺が「割と仲間思いで冷血じゃなくね?」と思った奴に言う。
俺より強い能力を持つアイツが生き残った方が組織にとっていいから残した。それだけだ。
あの後に俺はイトウを組織の本拠地に連れて行った。
ここは少数派能力組織『プレイス』の本拠地だ。
少数派能力組織は全国に散らばっており、それぞれが個分の目を欺いている。
プレイスはその中でも割と大きい組織だ。
少数派能力を持つもののみならず、ただ単に社会に不満を持っている一般人達も所属しているのがその理由。
その実、少数派能力者は他の組織より少ない。
なので界隈では少数派能力者という「当たり」がいないことから「くじ引き」と呼ばれ蔑まれているんだとか……世知辛い世の中だ。
「組織は常に能力者を欲している。能力者が少ないプレイスは特にな……」
「うっ……期待しないでほしい……」
「お前の色字は強い能力だ。期待も大きくなるさ……着いたぞ。ハトさん、さっき偶然無所属の能力者を見つけたので連れてきました。」
するとドアが開き、金髪碧眼の美女が現れる。
「あらイワシちゃん、お手柄よ!後でボーナスね!そっちの子がその能力者の子?かわいいわね!」
イトウを見てみると、ガッチガチに固まっている。
だろうな。初めてハトさんを見たら皆その美貌に酔いしれる。
俺は少数派能力の影響で熱を上げることがないから見破れたが……まあ、今のうちに教えといてやるか。
「騙されんなイトウ、この人こんなナリだけど男だぞ。」
「嘘ぉ!?」
「も〜イワシちゃん、なんで言っちゃうの?まあいいけどね!それより、貴方はイトウちゃんと言うのね!うちの組織で働く気はな〜い?」
「?…………?……?」
「言葉失ってんな……ハトさんの少数派能力は『同性愛者』。同性の生物に触れることで対象の疲れを取ったり傷を直したり出来る能力だ。外見や性格は少数派能力に大きく影響されるから、ハトさんは常に色気を放っているんだ。」
「ど……どうりで……」
「二人共、体が傷だらけだし疲れも溜まってるでしょ?私にまかせて!」
と言うとハトさんは俺とイトウの頭に手を乗せて少数派能力『同性愛者』を発動させる。
すると、なんとも言えぬ心地よい感覚に襲われ疲れが取れていた。
「ふぅ……ありがとうございました。」
「なんか知らんけどめちゃくちゃ気持ちよかった……すごい力ですね、ハトさん………」
「ふふ、当然よ!貴方達の為だもの!」
「悪いねイワシ、俺は一足先に大人に」
「やめとけ。ハトさんを狙ってる奴は大勢いるから『ハトさんに手を出してはいけない』っていう協定があるんだ。許可なく手出したら殺されるぞ。」
「やめときます」
「私はいつでもOKよ?」
「ハトさんもからかわない……全く、さてイトウ、プレイスの施設をお前に案内しよう。来な。」
「あ、うん……」
「うちの組織はいい子たちばかりだから安心してね、イトウちゃん!」
イトウはチラチラとハトさんの方を見ながら付いて来た。
プレイス本拠地2階、執務室を出て階段を降りる。
「先程通ったがここがロビー。外から来た依頼人などは最初にここで待って頂く。」
ソファーが幾つかあり、天井にシーリングファンが回っている、ありきたりな感じのロビーだ。特に言うこともない。
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