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第六話
「ちょっと待てよっ、どういうことだ!説明しろ!アラン、何か言えよ!」
アランの前日の言葉が思い出す。
「…悪いな。今まで世話になった。けどあんた、口調がまるで違うな。流石詐欺師だ。よく今まで俺を騙せてたな」
軍事裁判によってアランに言い渡された刑期は三十七万年。死刑制度がないのだ。
三十七万年の禁固刑にするのなら、いっそのこと死刑にでもすればいいのに、と思いながら、四人がかりでこちらに来るのを止められている元詐欺師の男の顔を眺めた。
「アラン‼」
「じゃあな、詐欺師」
両脇にいる軍服の男逹に小突かれ、それだけを言うと前を向く。
あいつは今にも泣き出しそうな顔をしていた。