8P 僕の変化
はぁ…………今日もだるいぜ……
そんな感じで今日が始まった。
いつもの教室。
いつもの周囲の反応。
いつもの授業。
悪くはないけど良くもない。
僕の日常に新展開などいらないし、必要もない。
というわけで午前の授業を終えた僕はいつもの場所(※立ち入り禁止の屋上)へと向かおうとした。
弁当を持ち、廊下に出て
「あ、あのっ……一緒にお昼ご飯食べませんか……?」
新展開キタ。
----------------------------------
「あの……ここって来ても良かったんでしたっけ?」
「良くない」
「えぇっ!?」
はい、屋上にやってまいりました。
まさか僕が誰かと一緒にここに来るなんて。
輪廻転生しても無理だと思ったんだが。
そもそもなぜこの子は僕に話しかけられるのだろうか。
こんな無表情でむく……ち
いや、結構話したな。
僕に似合わず。
あれか。
あれが原因か?
まさかこんな面倒くさいことになるとは。
あの時自力で帰っておくべきだったか。
まぁこうなった以上仕方がない。
曲がりなりにも彼女は命の恩人だ。
それを面倒くさいからと言って放り出すのは僕の流儀に反する。
受けた恩はその分キッチリ返す主義なのだ。
まぁ貯めると面倒くさいことになるからとも言えるが。
それにこんな僕だ、しばらくすれば離れていくことだろう。
だって今までも『そう』だったのだから。
それまでの辛抱だ。
「そのお弁当すごい美味しそうですね!」
早速話しかけてきやがった。
「自分で作ったんですか?」
「妹」
「妹さんがいるんですか、いくつなんですか?」
「一つ下」
「中学三年生ですか?じゃあ受験勉強とか部活とか大変そうですね!」
「問題ない」
「へぇ〜……妹さん優秀なんですね!」
なんかグイグイ来るんだけど。
言ってもないこと勝手に悟ってるんだけど。
なんだこの子?
こんなじゃなかっただろ。
もっとビビってただろ。
1日で変わり過ぎだろ。
もう中身別の人だろ。
耐えようかと思ったけどもうやめた。
こういうことは悪いから余りしたくはなかったんだけど。
「私にも妹がいるんですよ、私と全然性格が違いますけど!」
「なあ」
「はい?」
「なんでそんなに僕に話しかけて来るの?」
「え、」
「もしそれが憐れみでやってるならやめて欲しい」
これは僕の本心だ。
この子は優しいからそうしたのかもしれない。
でも僕にとっては迷惑でしかない。
どちらにとっても悪いことだけだ。
何より面倒くさい。
さて……どうでるか。
ポロポロ
ん……?
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん」
ナイタ。
大号泣だ。
ヤバい、これ見られたら勘違いどころじゃすまない。
「ごべんなざいぃぃぃぃ」
「ごめん、言い方悪かった、マジで泣き止んで」
----------------------------------
「ひっく……ぐすっ」
「ホントごめん」
「いえ、いいんです……全部私が悪いんで」
急に卑屈になった、メンドくせぇ。
「本当は私が友達が欲しかったんです」
「は?」
あなたこっちサイドですか。
----------------------------------
「私、昔はもっと暗い性格で友達も全然いなくて……それでも頑張って変わろうと思ったんです」
努力するのはいいことだと思う。
僕はしなかったけど。
「でも全然友達が出来なくて……それで霊人君を見て凄いなって思ったんです、友達いないのにそんなに平然としているのを」
ナチュラルに人をけなしてきやがった。
「それでこの人は違う人種なのかなとか思ってたんですけど、意外に話しをしやすくて……それで私思ったんです!この人なら友達になってくれるかもって」
完全に友達選び間違えてます。
「お願いです!メールアドレスを教えてください!」
そしてやっぱりグイグイ来た、いきなり過ぎるだろ。
でも……ここまでしたやつはいない、か。
「はい」
僕はスマホを彼女に差し出した。
「え?これって……」
「自分で登録して、面倒くさい」
「いいん……ですか?」
「別に」
「ありがとうございます!!」
そうやってパッと花が咲くように笑った彼女。
篠崎花音
それが僕の電話帳に初めて記された友達の名だった。
「あ、一週間に二度メールしたら着拒するから」
「そんな!?」