7P 僕の知り合い?
「……誰?」
「ふぇぇ!?」
うん、ホントに知らん。
こんな気の弱そうな女子僕の知り合いにいない。
まぁ、知り合いそのものが少ないのだが。
そもそも僕と知り合いになるには相当なメンタルが必要なはずだ。
(※この顔なので)
この子だと多分声をかけられない次元にいると思うんだけど。
「あのぅ……そのぅ………えぇっと……」
「…何か用?」
「ひぃっ⁉︎」
僕何か悪いした?
すっごいビビってるんだが。
マナーモードの携帯みたいになってるんだが。
まぁ、とりあえず用件は早く言って欲しいものだ。
ベラベラ話すのは好きじゃないし、荷物のこともあるんだ、さっさと済ませてさっさと寝たい。
(※まだ午後4時です)
「用件は?」
「はひぃ!?」
これで最後だ。
これで話さないなら次はない。
容赦無く無視し帰るだけだ。
「………あの……荷物が重そうなので……その…手伝えたらなって……」
………………。
この子メッチャいい子だ!!!!
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軽めのものはほとんど持ってもらいました。
「ありがとう、君は命の恩人だ」
「ふぇぇ!?そ、そんな大袈裟だよ!?」
いや、本当に助かったね。
気弱な性格だったけど優しいから僕に声をかけたみたいだ。
「で、誰だっけ?」
「ふぇぇ!?」
いや、ゴメン。ホントに思い出せない。
っていうか知らない。
「その……同じクラスの篠崎です……」
「………話したことあったっけ?」
「えぇっと……まだ一度も……」
ないんかいっ!!
「よく僕のこと知ってたね」
「……霊堂君は有名だから」
顔ですね、わかります。
「その……何回か話しかけようと思ったんだけど……少し怖くて」
顔がですね、わかります。
「あ!別に悪い意味で言ったわけじゃなくて………そのぉ……怒ってます?」
「平常運転だ、いつもこの顔なんだよ」
「そ、それは………ごめんなさい」
ほっとけ。
「もう家だ、それじゃ」
「あ、うん」
「今日はありがとう」
「別に大したことじゃないよ」
「それじゃ、また明日」
「その……また明日」
ガチャリ
ふぅ……
親切な人がいるものだ。
「兄さん、おかえりなさい、って本当に買ってきたんですか?冗談のつもりだったのに」
は?
「兄さんのことだから、『売り切れちゃってた、てへっ』とか、すぐに帰って来て土下座するかと思ってたんですけどね……」
え?
「だいたい携帯も持ってるんだし最初に確認したり、荷物運ぶ時に呼べば良かったのに」
ぇ?
この悪魔があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
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その頃
「えへへ……話せちゃった……」
1人の女の子が幸せそうに頬を緩めていた。