10P 僕の休日2
「で、何をしてたんです?こんなところで」
はっ!そうだこいつのせいで全く目標が達成できてない!
「昼寝」
「ここですることじゃないと思うんですが……」
しょうがないじゃないか……追い出されたんだもの。
「帰れない」
「何をやらかしたんですか……?」
別に何もしてない。
強いて言うなら何もしなかったからだ。
「そうだ!うちに来ません?今ちょうど親がいないんです」
何がちょうどなのかわからないのだが。
まぁ、やめておこう。
面倒なことになりそうだ。
「私の家ならゆっくり出来ますよ」
何をぐずぐずしているんだ。
さっさと行くぞ。
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なかなか綺麗な家だ。
いや、別にごみ屋敷とか想像していたわけじゃないけど。
「お邪魔します」
僕は靴を脱ぎ玄関に上がる。
そしてそのまま花音についていく。
どうやら部屋は二階にあるようだ。
階段を上って少しのところにそれはあった。
『Kanon』とアルファベットで書かれたネームプレートが扉にぶら下っていた。
「あっ!少し待っててくださいね!すぐに片付けますので」
「わかった」
そうはいうがこいつのことだ。
常日頃から片付けているような気がする。
まぁ、逆らう理由がないから普通に待つが。
………そういえば一応女の子の部屋に入るわけなんだよな。
そもそも友達の家に上げてもらうのも初めてなのだが。
緊張……はしないな、だって花音だし。
というか知り合って一週間もたってない男を部屋に入れるというのもだいぶおかしい気がする。
「どうぞ〜」
色々くだらないことを考えていたら準備ができたようだ。
さて、行きますか。
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「おやすみ」
「早い!?ちょっと!起きてくださいよぉ!?」
起きん。
一体僕が何のためにここに来たと思っているのか。
「色々お話しましょうよぉ〜!」
しない。
僕は眠いんだ。
「えぇい!」
「ぐぼぉ!?」
ボディプレスって高1がやることじゃないだろ!?
もうキレた。
完全に。
「………」
「ふっふ〜ん、参りました……か?あれ?ちょっと顔……はいつもどおりですけど、なんか怖いですよ?」
「なんのことだ」
「えぇ?なんでこっちににじり寄ってくるんですか?えっ、ちょ…待っ!ああああぁぁぁぁ……!?」
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「うぅ……顔がつぶれるかと思いました……」
ただのアイアンクローで何を軟弱なことを。
本当ならローリングソバットを叩き込んでるところだ。
流石に女子だということでやめておいたが。
「もぅ、ひどいじゃないですか」
いきなりボディプレスも大概だと思う。
自分の性別と僕の性別わかっているのか?
「家に友達を上げるのなんて初めてだから、いろんな遊びが出来ると思ったのに〜」
「しない」
「ええぇ〜〜!やりましょうよ!トランプとか!オセロとか!将棋とか!チェスとか!人生ゲームとか!野球盤とか!モン○ンとか!」
ふざけるな。
僕がなんのためにここに来たと思っている。
休日をゴロゴロと優雅に過ごすためだぞ、そうでもなければこんな横に歩く騒音公害がいる場所に来るわけがない。
というかこいつ日が経つにつれ、遠慮が無くなっていく。
もう男子高校生のおふざけレベルで絡んでくる。
そして妙に多趣味な上、男が好きそうなものに偏っている。
だから女友達が出来ないんだろうな。
馴れ馴れしさが半端じゃない。
もういっそ帰ってやろうか、出費は痛いが漫画喫茶のほうがもう少し静かだろう。
「もう1人でボードゲームやるのは飽きたんですよぉ……」
………少しだけ、本当に少しだけだぞ?