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アウラ・エクス・マキナ  作者: 革安太郎
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 ごぽごぽっ ごぽごぽん。初めて耳にしたのは空気が水の中で踊るような音、体は浮いているようで足がついていない、ゆっくりとまぶたを開くと視界がぼやけている。

 ここはどこなのだろう?目を動かして周囲を見てみるがぼやけてよく見えないおもむろに手を動かそうとしたところで苦しさが伝わって来た。


 (苦しい、いっ息が出来ない――)


 もがく様に手足を動かすとヌルッとした膜のようなものに右指が引っかかる。苦しさがどんどん強くなっていく中引っ掛かった場所に左手も突っ込んで全力で両側に開く。

 ざぱっと水が流れ出しその勢いで自分の体も外に流しだされる。二メートルほど流されたところで体が止まり体を起こした、ゲホッコホッっと咳こみずぶ濡れの体が空気に触れて少しひんやりとして冷たさを感じた。肩が上下していたのでしばらく呼吸を整え、胸いっぱいに空気を吸い込んだところで少しだけ気持ちが落ち着いた。


 「ここは、どこ?僕はいったい?」


 顔を上げて振り返るとそこには自分が今まで入っていたと思われる繭の様な装置がありビーッビーッ!と音を発していた。なんなのだろうこれは?近付いて触ってみると文字が表示された画面がブツンと消え装置もヒュウゥゥゥゥと気の抜けそうな音を最後に動かなくなってしまった。

 寝起きでボーっとしているのか考えがまとまらない。僕はだれだっけ?そこでようやく自分がだれで何でこんなところにいるのかが分からないことに気がつき周囲をキョロキョロしてみる。

 古い遺跡のような建物は天井まで十メートルはあり部屋は正方形で真ん中に先ほどの装置があり装置の向こう側には石で出来た扉がひとつ、反対側はテラスになっているようで光が差し込んでいる。


 「何も思い出せない。なにか、誰かと話していたようないないような」


 ブツブツ一人でなにかを思い出そうとしばらくそのままでいると突然足場がグラっとゆれ建物全体がゆっくりと傾きだしたのだ。えっ?ちょっと?とっさになにかにつかまろうとしたが僕はその場ですってんころりんと転んだ。床に垂れていた粘液と自身の体についていた粘液は僕と床との摩擦力を奪い取りアレよあれという間にテラスの方へ――

 そして手すりをつかみ損ねた僕は青い空へと放り出された。


 「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 雲を何枚も突き破りどんどん落下速度が上がっていく。体は見えない何かに鷲掴みにされているようでまったく身動きが取れない。辛うじて見えたのは大きな大陸、真ん中に巨大な山脈が斜めに走り左手の方向に海、右手の方向に大きな町が見え真下には森が広がっていた。もうそこまで地面が近付いていてくる、もうだめだそう思い僕は目を瞑った。

 



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