彩乃、がんばらない
登校3日目にして早々に休んだ彩乃は、
考えていた。ずっと。
「彩乃。なに考えているんですか?」
「ん?あぁ大和か。いやーねぇ、なんか動きたくなくなってきてさ…なるべく動かないで戦える方法を考えて…」
「彩乃。そんなのはありません。真面目に戦って殺しまくってください」
「ふぁい…。でもなぁ…ちっとも面白くないんだもん…。あっ、面白くすればいいのか!あたし天才!!」
彩乃はテンションMAXで飛び跳ねる。
「彩乃!どうかしたのか?そんなに喜んで」
あきらがやってきた。
「あのね!あたしいいこと考えたの!聞きたい?ふふっ、聞きたいよね〜!」
「彩乃のいいことは、ほぼ悪いことだって分かってるから聞きたくない」
…あきらひどくない?ちょっとくらい聞いてもいいじゃん…。まぁ初めからなんと言われようと話すつもりだけどねっ!
「みんなよく聞くが良い!!」
近くにいた大和と颯汰がこっちを向く。
「あたしいいこと考えました!それは!!
彩乃ちゃん女優並みの演技力で敵のアジト見つけちゃえ&ボスを倒しちゃおう!作戦!!」
彩乃は目をキラキラさせて言った。
そう!
今回の依頼は、無断で薬を売ってる奴らを
見つけてどこの組みのやつかを調べる。っていうのなんだ!
でもさ!これアジトとボスを見つけて、やっちゃったほうがいいと思うの!うん!!いいと思う!
「……。彩乃。あなたは馬鹿なんですか?それとも馬鹿ですか?馬鹿ですよね?」
「彩乃ぉ〜。ほんとに子供だよねぇ…」
「俺はもう彩乃のいいことは聞きたくねぇ」
ちょ。おまえら3人ひどくね!?
こんなにいい作戦なのに!
「いいと思ったんだけどなぁ…。
なんでダメなのよおおおお!」
彩乃は叫ぶ。
そこに大和が言う。
「なんでわざわざ、組長のあなたがリスクを負うんですか。あなたは指揮とかやればいいものを…」
「それじゃつまらないじゃん…!前はいっぱい仕事してたのにさぁ!組長なったら椅子に座ってまとめるだけ!つまんないよおおお!たまには、あたしだってスリルとか味わいたっ…あ。」
しまった…!!本音が…。
「ほう…?スリルですか?」
「い、いや…。ほら、組のみんなが怪我したら
いやだなぁって…ははっ…」
「彩乃…。あきらめろ。もうバレバレだ」
あきらが、あたしの肩に手を置いて慰める。
「くっ…あと少しだったのに…!」
「まったく少しじゃないから〜。そんなの認めないから〜」
「颯汰もぉ!?はぁ…いいよねぇ颯汰は…。
仕事できて…」
「いや僕だってそんなに殺さないよ〜」
「殺すじゃん!スリルじゃん!ずるいよ!」
「そんなの僕に言わないで大和に言ってよ〜。
大和が仕事配分決めるんだからぁ…」
そう言って大和を指差す。
大和は逃げるようにして部屋を出ようとする。
が、そうはさせない!
「大和く〜ん。ちょっとこっちにおいで〜」
彩乃は大和の首根っこを掴んで隣に座らせる。
「…なんですか」
「あのね!お願いがあるんだけどさぁ…」
「嫌です」
くっそ。まぁそんな簡単にうまくいくはずないか。
「ふーん。そんなこと言っていいのかなぁ?
大和。あんたが寝る時にベットに一緒に…なんだっけなぁ…あれはぁ〜。そうだそうだ!
写真に収めてたからそれを見れば…」
あたしは携帯を取り出して写真フォルダを
開く。
その途端、大和が
「わ、わかりました!!彩乃!わかりましたから、
それ消してください!!」
にやっ。
「そ、そう?なら、よろしくね」
笑いをこらえながら言う。
まさかこんなにうまくいくとは…!
「彩乃…。あなたなんでそれを…」
大和が顔を青ざめながら聞いてきた。
「え?いや、前に大和に用事あって部屋に行ったら
ノックしても返事ないからさぁ。
入ってみたら、寝てたからそのまま帰った」
「な、なんで写真を…」
「面白かったから☆あと、ちょっと引いたわ」
「くっ…」
「まぁ、あたしは嬉しいよ?うん。
あははっ、嬉しいなぁー」
そんな会話をしていたら、あきらが聞いてきた。
「なぁなぁ?その写真ってやつ見せてくれよ」
「あっ、僕も見たい〜」
「えっ?別にいいけど…
大和は?」
「だ、だめにきまってるでしょう!?」
そう言ってあたしから無理やり携帯を奪い
その写真を消去した。
「なにやってんのよおおお!!!
あたしの唯一の大和への武器!!」
「ふっ…これで脅す物なくなりましたね」
「と、思った?
あたし、そんなバカじゃないんでねぇ…ちゃぁんとバックアップ取ってますよ〜」
そう言ってたUSBを取り出し見せる。
「なっ…貴方って人は…。ほんとに変なところは頭回りますね…」
「それ、褒めてねぇだろ」
そんなこんなで、あたしは敵のアジトへ侵入することになった。
さぁ…!!
楽しい楽しい時間の始まりだよ!!!