組長スクールライフ4
「えっと…すいませんもう一回言ってもらっても?」
「だから、あなた鬼神組の組長ですよね?って」
うぉおおい!?なんでばれてるの!?ん!?おかしくねぇか!?まずこいつ表の人間だろ!なんで裏のことなんか知ってるんだよ!?まさかこいつ裏のやつか!?いやでも見たこともない顔だし…。ここは否定しとくべきだな。何者かもわからないし。表の人間を裏の事情で殺すわけにはいかない。
彩乃は脳をフル回転させて考える。
考えるのに0.1秒。
「生徒会長なにを言ってるんですか?私が組長だなんて…。ありえませんよ」
顔色も変えず即答する。
さすがは世界でトップに立つ組の頭だ。すぐ考えすぐ答える。顔色も何も変えずに答えるのはプロだ。
「誤魔化しても無駄ですよ。いや、でもさすがですね。動揺など一切見せずに即答するとは」
「ほんとになんのことだか…。私には分かりません」
あたしは否定し続ける。
「そこまでシラを切るつもりですか。まぁ、いいでしょう。ところで鬼神さんは、如月組っていうのを知っていますか?」
如月組?それは鬼神組の次の次くらいに強いところだ。しかし、なんでそんなことを聞く…。
「いいえ、知りませんね」
「そうですか。実は私、その如月組の組長の息子なんですよね」
…ふぁ!?こ、こいつ今なんか爆弾発言しなかったか!?息子!?ちょっとま…あっ!そーいえばあいつ(如月組組長)が息子がどーたらこうたらってよく自慢してたな!?それか!?それがこいつなのか!?
あいつ息子を取られたくないからって誰にも顔とか見せてなかったな…!嫁はたしか外人だから金髪に青い瞳もありえる。こりゃほんとなのか…?
でも裏の人間ってのは確定か…
なら話しちゃってもいっか☆
「なぁんだ、あなた如月組長の息子かぁ!」
「おや、やっと自分が組長ってこと認めてくれましたね。」
「まーね、あんたが裏の人間で如月組のやつなら話してもいいわ」
「私が如月組の息子って信じるんですか?」
「ん?だってあんた自分でそう言ったんでしょ。なら信じるわ。もしも嘘だったら、まぁ…息をすることは許されないね」
「ふふっ、ありがとうございます」
「あー、いいのいいのー」
「ところで、さっきと口調変わってますが…?」
「え?だめ?敬語でしゃべってほしいの!?」
「いえ、そのままでお願いします」
クスッと生徒会長、瑞樹は笑う。
「ところで、話って何?そのことだけ?」
「いえ、実はもう一つ」
「なになに?」
「…彩乃さん。僕と婚約してください」
「…は?」
…????な、なんて今…言ったのかな。あたしったら耳悪くなったのかしら。申し訳ないけどもう一回聞こう。
「ごめん聞こえなかった。もう一回言って」
「完全に聞こえてましたよね。もう一度言いますけど、僕と婚約してください」
聞き間違いじゃないいいいい!!
「えっと…は?言ってる意味が分からん。ん?婚約?婚約…」
「はい、婚約」
「無理に決まってるでしょーが!!!!」
バシッ!!
あたしは瑞樹の頭を思いっきり叩く。
「痛いですよ。それより、なんでダメなんですか」
「なんでって…あのね?あたしまだ結婚できる歳じゃないし!まず結婚とかありえない」
「じゃあ、結婚できる歳になったらいいんですね。分かりました」
「いやまてや。なんでそーなるんだよ。おめーの頭は花畑か」
「おめーとは、ひどいですね。名前で呼んでくださいよ」
「名前?なんだっけ」
「ほんとひどいですね…。瑞樹ですよ。瑞樹」
「あぁー!瑞樹ねー!え?なんで名前で呼ばなくちゃいけないの」
「そのほうが、親近感が湧くでしょう?僕も、彩乃と呼ばせていただきますね」
「親近感とかいらないわ…」
と、言ったところで生徒会長室の扉がいきなり開いた
「彩乃!!!こんなところにいたのか!授業はじまってるんだぞ!」
「あきら!?なぜここが分かった…」
「彩乃の匂いがした」
「きめぇ」
あたしはそう言ってあきらを冷たい目でみる。
「そ、そんな目するなよ!必死で探したんだぞ!?彩乃の匂いがすると思ったら生徒会長室って…。もう問題起こしたのかと思って俺は…」
「あきら!お説教は後で聞くから!ほら!行くよ!」
あきらを無理やり引っ張って生徒会長室から出ようとする。
「彩乃。僕は諦めませんからね」
ニコッと、さわやかスマイル。
それにあたしは答えず出て行った。
そのあと、あきらから長々と心配しただとか、問題起こしたのだと思ってとか散々言われ続けた。
生徒会長室で何してたのかと聞かれたが、何も言わなかった。言えなかったというのが正しい。
今回のことで、これからずっと瑞樹に求婚され続けるとは彩乃は想像もできなかった…。
帰宅後…。
あたしはさっそく如月組の組長、如月 一誠に電話する。
プルルルルル…
ガチャッ
「如月組組長だ。おぬしは誰だ名を名乗れ」
「なんでおめーはいっつもそんな電話の出方しかできないんだよ」
「あっれ。なんだ彩乃ちゃんかー。びっくりした。息子が誘拐されて身代金要求の電話かと…」
ほら?な?みんな?みろよ、この親バカぶり。もうキモい通り越して尊敬だよ。
「はいはい。ところでさ、あんたの息子に会った」
「な、なに!?瑞樹とか!?なにもしてないだろうな!?」
されたのはこっちだよ…。などと心の中でつぶやく。
「なんかさぁ、あんたの息子に婚約してくれって言われたんだけどどーゆーこと!?」
「なんだと!?み、瑞樹…。大人になったんだな…。今日は赤飯かな…」
「人の話を聞け」
「あ、あぁ。いいんじゃないか?瑞樹が選んだのなら俺も応援する」
こいつに相談したあたしが馬鹿でしたぁぁあ!!
そうですよねそうなりますよね!!息子1番ですものね!
「今の会話は記憶から抹消しろ。じゃあね」
「えっ?まって彩乃ちゃんどーゆ…」
ブチッ
あたしは無理やり電話を切った。
まぁ、一回言われただけだし。これから、あたしより素敵な人に出会うでしょ。
彩乃は軽く受け止め軽く考えた。
ここで、もっと深刻に考えて手を打ってれば…と、
のちのち後悔するのであった。
翌日、学校へ行こうとするあたしに大和が
「彩乃。今日から仕事ですよ忘れたんですか?」
「えっ…?し、ごと…だと?」
そこで颯汰が会話に入る。
「彩乃〜忘れたの?このまえ仕事の依頼で無断で薬売ってる奴ら全滅させようってきたじゃん〜」
「彩乃。ノリノリで賛成して作戦まで考えたの忘れたんですか?俺は覚えてますよ」
「残念ながら覚えてなっ…」
『なに?覚えてない?』
「すいません覚えてましたはい」
颯汰と大和が声合わせてまで聞いてきたから…逃れられん…!
ここで初めて、学校3日目にして早々休む彩乃であった。
「じゃあ、あたしが学校に電話し…」
「あぁ。俺がしときましたよ」
あたしに決定権はないのね!?組長なのに!もう休む前提じゃねーかよ!
「仕事…はやいね…ふっ…」
と、不気味に笑った。
若干みんなが引いていたのは見ていない。
ことした。