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組長さようなら

かなりひさしぶりの更新で申し訳ないでござんすっ・・・

「ア、アメリカ??ちょっとまってよ・・・!!あたし組長だし・・・!そんな簡単に・・・!?」


「彩乃はまだ15歳なんだぞ?今日パパはお前の仕事ぶりを見て思ったんだ。この仕事は危ない」


「で、でもっ!!あたしくみちょ・・・」


「彩乃・・・。一旦、うちに帰ろう」


「わ、わかった・・・」


そう言ってあたしは、他の組の人たちを解散させ家に帰宅した。





ひさびさに家に帰った。いつもは組の本部である屋敷に寝泊りしているため帰ってきたのは半年


ぶりくらいだった。


中はきちんとした和風の家だった。ちゃんと掃除もしてある。きっと召使がしてくれたんだろう。


そんなことを考えていると、


「あきらくん、颯汰くん、大和くん。今日はもう帰ってもらっていいかな?」


そうパパが三人に言った。


「えっ。でもパパ!あきら達はあたしの大事な・・・・」


「わかりました」


そう、あきらが言った。いつも文句ばかり言ってる颯汰も、最後にはあたしの味方をしてくれる


大和も、みんな黙っていた。


「組長。また明日、本部でまってます」


そう大和が言って家を出ていった。


その日の夜、あたしとパパは夜中まで話し合った。





次の日。


あたしは本部に行って、組のみんなを広間に集めた。


みんな静まり返っていた。たぶん、昨日の夜のことを誰かが言ったのだろう。


そう思いながら、組長の座には座らずその横に立って話し始めた。


「みんな!集まってくれてありがとう。今日はみんなに報告したいことがあるんだ。


ほとんどの人が知ってると思う。あたしが組長をやめるかもって話。


昨日、父と話し合ったんだ。そして、あたしと父は一つの答えを出した。それは・・・」


みんな彩乃の話に集中していた。


そしてあたしは、小さく息を吸って言葉を吐き出した。


「私、鬼神 彩乃は本日をもって組長をやめます」


そうはっきりと、落ち着いた声で言った。


広間は静寂に包まれていた。


その静寂をやぶったのは、あきらだった。


「待ってくれよ組長!!彩乃・・彩乃が組長やめちまったらこの鬼神組はどうするんだよ!


それに!おれ、彩乃がいなくなるなんて・・・かんがえられなっ・・・」


「あきら!弱音を吐くな!それに、次の組長についてはもう考えてある」


そしてあたしは、次の組長の目をしっかり見て言った。


「あきら。お前が次の組長だ。頼んだぞ」


「えっ・・・」


あきらは呆然とし、へなっとその場に座り込んだ。


あたしは、颯汰、大和に目を向けた。


「二人とも。いままであたしのことを支えてくれてありがとう。


今度は、あきらのことを支えてあげて」


二人は、泣いていた。


二人だけではなかった。組のみんなが泣いていた。


あたしも泣いた。本当は組長を続けたい。


だけど・・・


「おまえら!!!あたし、鬼神 彩乃は組長を務めることができて本当によかった!


大切な仲間とも出会えた!!だけど、ここでお別れだ!!!


あたしがいなくても、この鬼神組を世界のトップに!!!おまえら!頼んだぞ!!」


そう言ってあたしは、逃げるように組の本部をでた。






そうして、彩乃がアメリカに旅立つ日がきた。


組の奴らには見送りなんてするな、と言っていた。そんなことされたら、組長に戻りたくなる。


荷物はもうすべてアメリカの家に送ってあった。


あとは、自分自身が行くだけ。あきらが心配だけど、あいつならやってくれる、そう信じてる。


颯汰も大和もきっとあきらを支えてあげれる。あたしが支えてもらったように。


「彩乃。それじゃ、行こうか」


パパが言った。


そして、空港のゲートを通ろうとした。


その時、


『組長!!!!!』


後ろから、大きな声でそう呼ばれた。組長。そう呼ばれた。


あたしは振り返った。そこには・・・


あきら、颯汰、大和、組のほぼ全員がいた。


「な、なんでっ・・・!?見送りはいらないって・・・!」


「彩乃!!!最後に聞いてくれ!!俺らは考えたんだ!!彩乃がいない鬼神組なんて


鬼神組なんかじゃない!!彩乃がいるからこその鬼神組なんだ!


彩乃はいつもいつも笑顔で組の全員のことを考えてくれていて!!俺らにとっては組長でも


大切な仲間でもあるんだよ!!!!」


仲間・・・・。あたしの心にすっと入ってきた言葉。


戻りたい。アメリカなんか行きたくない。みんなとずっと一緒にいたい。


あたしが心に閉じ込めていた気持ちが一気に溢れ出してきた。


「組長~!!やめないでください~!!!」


「やめないでくれよぉ~!!」


組のみんなが叫んでいた。


あたしは、我慢ができなかった。


「パパ!!!あたし・・・アメリカなんかに行きたくない!!


やっと手にいれた大切な仲間なの!!これからはちゃんと学校も行って勉強する!!!


お願いします!あたしを日本にいさせてください!!」


あたしは泣きながら頭をさげた。


組のみんなも次々、パパに頭を下げていった。あのプライドの高い鬼神組のみんなが


ひとりの少女のために、頭を下げたのだ。


パパはその様子を見て、優しく、呟くように言った。


「彩乃・・・。君は本当に、いい仲間に出会えたようだね。パパは心配だった。


たった15歳の娘が裏の世界でやっていけるのかと。だけど、これを見て安心したよ。


きっとこの人たちは、彩乃を守ってくれる。そう思った。


彩乃。日本で頑張りなさい。パパはいつでも見守ってるよ」


パパは微笑み、あたしは泣いた。


日本にいられる。この事実がとても嬉しかった。


組のみんなが抱きついてきた。


「組長ぉぉ~。ぼ、僕・・・もう一緒にいれないのかと思うと悲しくて・・・うっ・・・」


「ちょ、颯汰!!??だ、だいじょうぶ!?!?」


「組長・・・・。俺、やっぱり組長とじゃないとこの世界じゃやっていけません・・・うっ・・・」


「へっ!?!?や、大和も泣いて・・・!?」


「あ、あやのぉぉ!!!」


「ぐはっ・・・!?」


「本当に本当によかったああああ!!これでまた一緒に遊べるよおお!!」


「あ、あきら苦しっ・・・!てか、なんかキャラ変わって・・・」


『組長おお!!』


みんながそう呼んでいた。


嬉しい。素直にそう思った。


きっとこれから大変なことがまたあると思う。だけど、みんなで手を取り合い協力すれば


なんでも出来る。そう思う。


「ふふっ、みんな!!!ありがとう!!!こんな空港まで来てくれて!!ほんとに!


ありがっ・・・・・ん?・・・・空港?」


ふと、あたしは今どこにいるのかを思い出した。


そう、空港にいた。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」


あたしの悲痛の叫びはどこまでも響いた。























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