特急
掲載日:2026/04/18
⚠希死的表現を含みます。自殺、自傷行為を推奨する意図はありません。ご注意ください。
特急電車が通過する旨を伝えるアナウンスとメロディが鳴る。部活も補習もない私は授業が終了次第、誰とも話さず、ざわめく教室を抜け出した。
私がコミュ障、というのは勿論だが、人と関わりたくないのも、いつもの放課後の様子に繋がっているのだろう。
やや型落ちの車両は、付け替えられたらしい白色の光を島式ホームにもたらす。車両が風を切る音、レールと車輪が擦れる音、車輪がレールのつなぎ目を越える音、早くなる私の鼓動。
「ここに飛び込んだらどうなるかな」
けれどもそんなスーサイドは成立しない。
このような高速の巨体は人間の無意識に否応なく語りかけるのだ。鉄道模型とはまるで違う。
体は動かせない。
通り過ぎる車体の内は水彩絵の具に水をかけたようにぼやけて見えなかった。




