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始まり1

「すごいね。これ。とんでもなく、すごいね。一瞬ですごく遠くまで来ちゃうよ」


 あどけない顔の少年が、その感情のままに、少し上ずった声で言う。長いまつげの下の丸みを帯びた目は興奮にうるうるしており、更に言葉を続ける。


「どうしたの? タナトス。すごい景色だよ」


 自らの腰に抱きついて震えている年かさの少年に対してであった。対して、ヒュプノスの方はその乗っている筋斗雲きんとうんの上にすっくと立っている。


「ほらほら。見てみなよ」


「勘弁してくれ」

 そもそも変声期ゆえの不安定さに、更に恐れが乗れば、それは悲鳴に近いものとなる。


「なんで? だって僕ら翼があるじゃない。タナトスも飛んでたよね」


「自分の翼で飛ぶのとは訳が違う。こんなもの、いつ落ちるか分かったものではない。それに、俺は自分の身長以上に飛んだことはない」


「まあ、僕と違って、タナトスは飛ぶのが嫌いなんだというのは、何となく想っていたけど。そんな理由があったんだね」


 筋斗雲は森のこずえの上を飛んでおれば、確かに高い。


「平気だよ。もっと高く行くよ。筋斗雲。上へ飛んで」一瞬ののち「うひゃ。危なかったね。落ちるところだったよ」

 雲の端をつかんで、そう言うヒュプノス。筋斗雲は飛ぶ前に1回宙返りする。なので、それに備え、ヒュプノスは腰を低くし、雲をつかんでおった。そのおかげである。


 タナトスはどうやら、声も出ないらしい。きつく目をつぶっておった。有翼の2神は上半身、裸である。ヒュプノスの陶器のような白い胴体に、やや浅黒いタナトスの細くはあれ筋肉はしっかりついておる腕が、食い込んでおった。必死でしがみつくゆえである。


本作は『運ゲー野郎のモブ転生――ダンジョン連合vs運営政府 』からのスピンオフ作品となりますが、読んでいなくても、楽しめる作品になるよう、書くつもりです。上記作品の後半において、ヒュプノスとタナトスは敵役として登場します。

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