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柚月の選んだ新しい道の結末

光りに包まれて戻ってきたトオルと柚月。


柚月

「私は、えっと、今」

変わらず駅の事務室にトオルと柚月はいた。


「あれ。私、どうしたんだっけ」


トオルは尋ねた。

「過去を変え、未来は変わりましたか」


柚月は語り始めた。


あの後、母の反対にあいつつも、柚月は信人と結婚し、信人の実家近くで暮らし始めた。


けれど、信人の母からの宗教の勧誘がうるさく、信人との関係もだんだんとぎこちなくなってきた。


信人も、専業主婦になってほしいと言い始めて、柚月は仕事をやめた。


しかし、子供はできないまま十数年が過ぎた。


信人は若い恋人を作り、子供ができたからと言って離婚を申し出てきた。


そして、実家に帰った柚月は、母に

「私の言うことを聞いておけばよかったのよ!」

と泣いて怒鳴られたという。


そして、駅のホームで飛び込もうとしたところ、非常停止ボタンをトオルが押したのだった。


柚月はため息をついて言った。


「結局、同じ未来に行き着くんですね」


トオルはだまっていた。


柚月はつぶやいた。

「結局は何を選ぶかではないのかもしれません。人生には予期しないことが起きるから。


でも、今回私は悔いがありません。自分で決めて動いたから。


人は何でも自分で決めたことなら、結果の責任を引き受けて前に進めるのかもしれません」


そう話す柚月の顔は明るかった。


トオルは少し戸惑いつつも嬉しい気持ちで柚月を見つめた。


柚月は言った。

「これからも、辛いことはあるでしょう。


でも、もう死ぬまでの残りの人生とは思いません。


自分で決めて、自分で考えて、生きていきます。


そこできっと、出会う人がいるでしょうし、


幸せになることだけが人生の目的ではないから」


そう言うと、深くお辞儀をして柚月は去っていった。


トオルはその後ろ姿を見送った。そして、手元に残った人生非常停止巻き戻しボタンをじっと、見つめた。


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