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友好を深める気ある?

「お兄さん、ウチはホテルじゃないんだけど?」




「正直悪いとは思ってる。だからその言い方はやめろ」


 夏休みだから夜更かししてたのか、良い子は寝る時間なのにまだ起きていた楠木の家に来たらそう責められた。こんな夜中に女を連れ込んでるんだから反論し辛い。


「そんな…他の女がいるなんて…私の事は遊びだったんですか?」


「お前も何言ってやがる」


 遊びも何もまだ出会って一時間程度だろうが。


「ちょっとしたお茶目じゃないですか。楽しくいきましょうよ」


「どっからその余裕が出てくるんだ…」


 お気楽だなこいつ。見捨てて帰っても大丈夫だったかもしれん。


「ひどい…あんなに優しくしてくれたのに都合が悪くなったら捨てるなんて…」


「今すぐ外に放り出してやろうか?」


 頭痛くなってきた…。ジュースを奢ってやっただけだろうが。


「漫才はもういいから。とりあえずその娘を泊めてあげればいいのね?」


「申し遅れました。星宮七瀬と言います。よろしくお願いします」


「私は楠木楓よ。まあ一晩好きに過ごしてちょうだい」


 自己紹介してる二人から目を離し時計を見るといつの間にか日付けが変わっていた。そろそろ帰るか。


 楠木には今度何かしら埋め合わせしないとなぁと思いつつ二人に声をかける。


「それじゃあ俺は帰るわ。楠木には今度何かしら埋め合わせするから後は頼むな」


 そう言って帰ろうとすると星宮に服を掴まれた。


「待ってください。初対面の人と二人きりにするんですか?」


「俺とも初対面だろうが」


 ましてや男だぞ。いないほうがいいだろ。


「まあまあ、いいじゃないですか。私とあなたの仲でしょう?楠木さんとも友好を深めようと思うので同席してください」


「だから出会ったばかりだろうが。つーかこれから何かするのかよ。寝ろよ」


 楠木に目を向けると苦笑している。


「まあせっかく友好を深めようとしてくれてるんだし、私はいいよ?夏休みだし」


「ありがとうございます。それじゃあ何をしましょうか?」


「案も無しに言ってんのか」


 こいつその場のノリだけで生きているのではなかろうか。


「ならトランプとかパーティーゲームでもする?」


「パーティーゲームがいいです。私の友達はあまりゲームをしないのでソロばかりなんですよね」


 そう言って二人でゲームを漁り出す。つーか星宮もゲームするんだな。


「これにしましょう」


 しばらくして星宮が取り出したのは桃○郎電鉄だった。友情破壊ゲーじゃねぇか。友好を深める気ある?








「眠い…」


 ソファから体を起こし、外を見るととっくに日が登っていた。


 結局あの後友情を育んでいるんだか破壊しているんだか分からないままゲームに熱中し、共謀やら裏切りやら共倒れの果てに決着はついた。資本主義の真髄を感じ取れるよくできたゲームだぁ(錯乱)。


 流石に帰る気力も湧かなかったのでリビングのソファで仮眠をとったのだが、予定より寝てしまった。


「おはよー、お兄さん」


「おはようございます」


 しばらくボーっとしていると楠木と星宮が起きて楠木の部屋から出てきたが、二人とも眠そうだ。


「おはよう、起きてきて早々で悪いが俺はもう帰る。帰って二度寝する」


「私も帰ります。楠木さん、泊めていただきありがとうございました。このお礼はまたいずれ」


「気にしないでいいわよ。私ももう少し寝るわ。またねー二人とも」


 楠木に見送られつつ外に出る。


「月読さんもありがとうございました」


「おう、それじゃあな…」


「見つけましたわーーっ!」


 星宮と別れの挨拶をしてると誰かがこちらを見て大声を出した。寝不足の頭に響くからやめてくれない?


「ようやく見つけましたわ!説明すると言ったまま音沙汰なしというのはどういうことですの!」


 でかい声を出しながらこちらに近づいてきたのはお嬢(笑)だった。そういやこいつのこと忘れてたな。




 帰って寝たいんだけど帰らせてくれないかなぁ。無理だよなぁ(諦め)。

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