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第九話・臨時のミスコン開催!? 金田の決意

 目の前の美少女に俺は思わず見とれてしまった。

 初めて自分の女装した時も衝撃だったけど、金田の女装に衝撃を受けた。

 彼の性格に会わせた黒いロングヘアーのウィッグはウェイブが微かに掛かっていて口元は薄いピンクの口紅が薄く塗られてる。

 元々自信無く不安そうにしている彼の弱々しい雰囲気を一転させて可憐という言葉を生み出していた。

 服装は白いカーディガンにスカイブルーのワンピース。ワンピースは裾にフリルが控えめにあり、言ってしまえば上品なお嬢様と言える雰囲気を醸し出している。

 絶対似合うとは思っていたが、これは想像を遥かに越えていた。

 文也先輩が初めて女装した時からある意味女装専用とも言えるここファンクラブ室のお姉さま着替えスペースに集まった俺達は金田の見事までの変身ぶりに一同言葉を失っていた。

「き、奇跡だわ……」

 そう言うのは文也お姉さまファンクラブ時代から会長を続ける永井聡美先輩だ。

 先輩自身、女性として綺麗な人だ。

「凄いな……」

 これはお兄さんだ。

 今日、彼の女装ために文也先輩と共にやって来た。

 ちなみに文也先輩と俺はすでに女装済み。

 何故なら初めて女装した時に文也先輩が言っていたんだけど元気付けるためとのこと。

「予想以上です!」

 なおも少し上気した表情で金田を見ていた。

 で、当の金田はこれまた恥ずかしそうにしているのだが、それが返って女の子の恥じらいに見えて不思議と魅力になっている。

「あ、あの、は、恥ずかしいんだけど」

 っぐ!

 こ、この威力は凄まじい。

 思わず抱きしめたくなる!

「まこちゃん、可愛い!」

 で、文也先輩は躊躇いもなく抱きついてるし。

 ちなみにまこちゃんは金田の事で、誠だからまこちゃんだそうだ。

「呼び名はまこ姉さまね!」

 永井先輩はもうノリノリで金田の手を握って腕を上下させてる。

「なあ、なおはこうなるのを予想してたのか?」

「そうですよ、ゆう姉さま。金田君を初めて見たときからピンと来てたんです!」

 握り拳を作って力説する。

 さすがは親衛隊隊長、見立てが違うな。

「桐島さん、みんなを」

「はい、会長」

 なおは会長の指示で待っていた一部のメンバーを呼びに行く。

 間もなくメンバーを引き連れて戻って来た。

 役員クラスと親衛隊だ。

 入ってくると金田を見て固まる。

「き、奇跡です!」

「お姉さまが三人になりました!

 これはお姉さま三姉妹です!」

「金田君、似合い過ぎよ!」

 ファンクラブの役員クラスと親衛隊は大興奮に包まれる。

 もうこれ以上にないというくらいだ。

 金田とは言えば彼女達に困惑している様子だ。

 確かに金田の威力はヤバい。

 正直、性別なんて関係ない!と言いたくなる。

 金田が俺が彼女ならと言った時とは違って、純粋に可愛いと思うのだ。

「ねえねえ、金田君。わたしって言ってみて?」

 永井先輩の催促に金田は真面目にも応える。

「え、えっと……。わ、わたし」

 めっちゃ恥ずかしそうにしながらのせいで、ファンクラブ一同が悶絶する。

「か、可愛いよ! もうダメ! ヤバいわ!」

「ふみ姉さま、ゆう姉さまとはまた違った魅力がぁ!」

「か、金田君。ゆうちゃんの方を向いてお姉さまって呼んでみてくれない?」

 お、俺を呼ばせるのか!

 それは色んな意味でヤバい気がするんだが……。

 俺の心配をよそに金田は俺の方を向く。

 元々、俺よりも背が低いせいもあり少し上目遣いになる。

 しかも恥ずかしさがMAXなのか、目が少し潤んでいるじゃないか。

 この時点ですでに俺は金田パワー、いや、まこちゃんパワーにやられる!

「お、お姉さま……」

「!?」

 無意識なのか、わざとやってるのか、手を胸の前で握りながら呼んで来る。

 そのせいで何かお願いをしてる妹のように見えてし仕方ない!

 俺は何とか絶叫しそうになるの堪えるが、もうショート寸前だ。

「もう妹としか言いようがないです!」

 なおが鼻を抑えながらそう叫ぶ!

 凄いことになるとは言っていたが威力が半端じゃない!

 そしてここでようやく金田がまともに口を開いた。

「そ、そんなに僕って可愛いの?」

 何気ない本人の言葉のはずだった。

 それが一人称が僕のせいでぼくっ子のように見えてしまう!

「ヤバいくらいに可愛いわ!」

 永井先輩が鼻にティッシュを詰めながら親指を立てる。

「会長! 臨時のミスコンを開催しましょう!

 まこ姉さま、いいえ。まこちゃんをゆう姉さまの妹キャラとしてデビューさせるんです!」

 役員の一人が拳を強く握ると力説。

 それに賛同する役員、親衛隊のメンバーもやりましょう!と口を揃えた。

 だが、意外にもすぐに会長は首を縦には振らなかった。

「皆の気持ちは分かるわ。でも、それはわたし達だけでは決められないの」

 当の金田の気持ちを無視するわけには行かない。

 だが、会長の回答は俺の斜め上を行っていた。

「理事の方々にお伺いを立てないと駄目だもの」

 と言うのだ。

 だから俺は思わず反論してしまった。

「って! 先輩、金田の気持ちはどうするんですか! 本人だって嫌がりますよ!」

 しかし、これには俺の経験則から言った強烈な現実に口を閉じざるを得なかった。

 それは。

「あら、ゆうちゃんだって理事の人たちに脅されたから女装しているんじゃなかったっけ?」

「っぐ……」

 そうなのだ。

 俺とて女装でミスコンを望んでやった訳じゃない。

 理事長を筆頭に大の大人が退学処分を縦にして俺に女装を強要したんだった。

「だから、わたし達だけで決められないのよ。

 ゆうちゃんがそれを一番誰よりも分かってるはずだわ」

 トドメを刺された。

 俺はもう何も言えなかった。

 金田が俺を見る目も何か哀れんでいるように見える。

 しかし次の瞬間、衝撃的な宣言を金田がした。

「僕は大丈夫だよ。それに杉田君だけにこんな重荷を背負わせられない」

 俺はその言葉にはっとして金田を見た。

 金田は照れくさそうに俺に微笑を向けるだけだ。

 馬鹿野郎が、俺にことを気にして女装なんてしなくてもいいのに。

 こうしてファンクラブの提案が理事長に渡されて、理事会により臨時ミスコンテストが開催されることになってしまったのだった。

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