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第四話 想像できない

「ポイントに着いたよ」

「あなたが連絡をしてくる時点でそんなことは分かっているわ。良いから状況報告」

 相変わらずな彼女のきついお言葉。僕は犬よろしく素直に従う。

「ここは見たところ大丈夫。サンプルを持って帰るから、精密な分析をよろしく」

「あなたによろしくされる云われはないわ」

彼女は電話を切った。

 普段の毒舌に慣れきってしまったせいか、今日の彼女は少し優しいのではないかと一瞬錯覚した。

 いけない。洗脳されてきている。

 僕はあたりを見渡す。緑が一面に広がっていて、灰色の世界は見られない。だけれど、どのくらいこの景色が続くのかはわからない。

 煙草を取り出そうとして、また胸ポケットを探る。

 そうだ、煙草は切らしていたんだった。

 僕は独り言ちた。

「煙草の葉すら税金がかかってなくても高級品、ね」

 ジープから、サンプル採取用のキットを取り出す。

 僕には一つの疑念があった。

 帰りのジープを駆りながら考える。窓の外にはまだ緑色の草花。心なしか彩度が低いそれらの緑に、夕日の赤色が入り混じる。

 一つの疑念。それはもしかしたら彼女はすでにこの問題を解いているのではないかということだ。この未曾有の危機、それを引き起こしている問題の答えを。

 そう思うにはいくつかの理由がある。

 一つ。ただの使いっ走りの僕ですら、植物の緑色がどのようにして生まれるか仕組みを知っていること。

 二つ。同様にただの使いっ走りの僕ですら、この現象の増加の挙動が、一般的なバイオマスの増加挙動に似ていると分かること。

 三つ。上記二つの理由から、この現象の原因が植物に対する病原体のパンデミックであることが想像できること。

 僕ですら。彼女なら、尚更ではないだろうか?

 もちろん、非常に美しい机上の空論が、現実に則さないことは往々にしてある。あるのだが。

 どうしても僕にはこの問題を解けない彼女が想像できない。

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