このワンミスは一生許さない
「四条大河、きみに二度目の人生をあげよう」
あー、こういう系かー
真っ白い部屋、なんかぼやけてよく見えない人影、すげえ威厳がありそうな声。うん、これ俺知ってる。異世界系の奴だ。小説で見た。
うーん。自分の死因は何だろう?
「感電死だよ。不運にも君は海水浴中に落ちた雷で死んでしまった」
あー、思い出した。そうか感電死したのか。友人と一緒に海水浴に来ていたのになんか悪いことしたんじゃないのかなぁ
「めちゃ他人事だよね!?え、そんなフラットな性格なの!?」
「そりゃ死んだんならもう仕方ないですよね、で二度目の人生って?」
「うむ。テンプレ的な話なのだがね。「あー魔力足りない系世界なんすね」って人のセリフ取らないでくれる!?」
あるある。魔力足りなくて魂と一緒に送る系の奴良くみる。地球は石油枯渇してて異世界は魔力枯渇してるのね。どこも一緒ね
しかし、異世界か。剣と魔法のファイナルなファンタジーな世界はとても憧れだ。ドラゴンがクエストする世界もモンスターをハンターする世界でもいい。胸が高鳴る
魔法使いとかいいなぁ魔法使ってみたい。
「え。魔法が使えるマジシャンがいいのかい?変わってるね…?」
「へ、むしろ王道だと思うんですけど、こう火を出したり瞬間移動したり、動物を使役したり……」
「ふむ。調べたら出来そうだね、なるほど…」
「あとはどこからともなくものを出したり…」
「あー。それは良くあるよね。あれ不思議だね」
「不思議……?まぁ魔力は使ってみたいっすね」
「ふむ、じゃあその辺はこういうかんじにして……でけた」
急にすごい光を放つ光の玉が飛んできて体の中に入ってくる。「ジョブ獲得しました転移します」と脳内でアナウンスが流れる
「ふむ、我ながらいい出来じゃね?あとは転移し終わった歩いて200メートル先にある街から始めるといい。
言葉やお金は日本と変わらぬ、エンという単位で使われておる。貨幣しかないがな。日本からきた転移者が文化を広めたので和洋ファンタジーみたいな世界観じゃな…街の名前がたしか…ウタマルとか言っておったわ」
ウタマル…なんか聞いたことあるような…まぁ細かいことはいい。
なるようになるしかない。
転移開始!
「あ、やべっ」
え?
眩い光に包まれて目を開けると、見知らぬ道にいた。
目の前には大きな壁が見える。たしかに和洋ファンタジーな作りをしている。
こういう時にはまずは状況把握、ステータスはみれるのだろうか?
頭の中でステータスオープンと唱えると、目の前にウィンドウみたいなものが出た
名前 タイガ シジョウ
年齢 20
持ち物 100万円(初期投資金額)
旅人の服
衣装
「ん?衣装??」
衣装を出してみると、そこにはマジシャンがよく来ている赤と黒のタキシードが出てきた。
「え?」
衣装:神域のマジシャンの衣装 対火対刃対腐対凍ありとあらゆるシチュエーションでも完璧にショーをこなすプロの心意気を感じる一枚、これさえあれば舞踏会から大道芸までオールオッケー
「え、ちょっとまってなにこの無駄な性能!?え、大道芸って何!?」
慌てて職業を確認する。魔法使いにしてほしいってちゃんと頼んだはずなのに…
職業:奇術師
魔力を消費して奇術現象を魔法で再現する。これさえあれば合コンでもとっさにウケを取れる。
「おおおおおおおおおおおおおおおいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!」
その森に絶叫が響き渡った。