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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
7章 組織を作ろう
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73話 ついに上京するおっさん少女

 広大な基地というか更地内にポツンポツンと存在する畑と建物。その中の一つ、豪邸の玄関前に三人の美女と美少女が佇んでいる。


 二人のメイドにうきうきとした可愛い表情を見せているのは、この基地の主であるレキぼでぃである。そわそわとしている感じも見せている。


 周りが見たらほほえましく思うだろう。現に銀髪メイドはホンワカと口元によだれを垂らしながらカメラで撮影している。どこまで落ちるつもりのメイドなのだろうか。


 そんな黒髪黒目、眠たそうな目をしている庇護欲を喚起させる子猫を思わせる可愛い小柄でしなやかな身体のレキぼでぃである。その姿を見かけたら振り向いて確認するだろう美少女だ。


 操作している非道なおっさんがいるとかいないとか。


 そわそわしながら空中のウィンドウを見つめる遥である。装備は多少変更しており、ブースト装備が欲しかったので追加として今までの服に追加改修してある。前の装備と同じく装甲が脚と腕についており、展開するとブースト使用可能だ。


「さてさて、ウィンドウに拠点が光りましたよっと」


 見つめていたウィンドウには、マップが映し出されており拠点が光り輝いている。そして今までと違い周りの拠点のいくつかが光っていた。新市庁舎コミュニティと水無月コミュニティである。


 先日新市庁舎コミュニティに行ったときに、ナナからバリケードの再設置が終わったと教えてもらったのだ。ナナは随分嬉しそうな表情で、これで皆安心して住めるとレキぼでぃに話しかけていた。


 そして、しばらくしてから水無月コミュニティもバリケード設置終了と教えてもらったのである。


 その結果がマップに表示されている。完全に安全になり攻略戦を行わないと落とせない拠点としてシステムに認識されたのだ。


 遥が待ち望んでいた拠点が設営されたのだ。


「では、新スキルを取りますね。ファストトラベル習得!」


 レベルのない珍しいスキルである。その効果はオープンワールドのゲームをやったことがある人間なら知っているだろう。敵が側にいなければ、拠点に瞬時に移動できるスキルである。ゲーム毎に仕様は違うが移動が面倒というプレイヤーが拠点にそのスキルで移動すると、画面には表示されていませんが、自動で歩いて移動しましたよという便利な機能が発動し、次には選んだ拠点に移動しているのである。


 その際に移動したことにより時間経過が発生するゲームもあるが、遥が取得したタイプは時間が経過せずに移動できるタイプである。ちょっと不便なテレポートである。


 空間念動というテレポート系が覚えられるスキルもあるのだが、これならばスキルレベルがないうえに1で取得できるのでお得なのだ。これで残りスキルポイントは3である。早急にレベル上げが必要な状況だ。


 ただし、使用するには移動先の拠点が完全に安全であるということとレーダー施設が必要であるという条件が存在した。


 そこでレーダー施設を設営して、豪族に完全に安全な拠点を作成するように依頼したのだ。これから先に進める際にも、同じような小拠点が作成できれば移動時間がかなり短縮されるのである。


「おめでとうございます。マスター」


 相変わらずのニコニコ顔でパチパチと可愛いおててで拍手をしてくれるナイン。


 ありがとうございますと、遥もレキぼでぃの可愛いおててで拍手をする。


 サクヤは御馳走さまです。と呟いて撮影をしている。もはや遠慮する気はないらしい。


「これで移動時間が短縮できるから、行動範囲も大幅にアップしますね。そろそろ都内に移動したいと思います」


 レキぼでぃの眠たそうな目で二人のメイドを見て、レキぼでぃの可愛らしい声でそう宣言する遥。そのための施設なのだ。強化されているだろう敵を倒すための支援基地なのだ。かなり投資をしているので、回収しないといけないのだ。


 それにぶっちゃけ移動がそろそろ面倒になってきたおっさん少女である。よくある中盤ぐらいに進むと、移動が面倒だから飛空艇が欲しいね理論である。おっさん少女だけの理論かもしれない。


「お気を付けください。都内の敵は今までの敵とは比べ物にならない強さをほこるでしょう」


 珍しく撮影をやめて、真面目な表情をして心配気に遥を見つめるサクヤ。


 サクヤに真面目な表情をされると一気に不安になる遥である。だが、これ以上の強さを求めるのであれば必要である。レアなアイテムとかもいっぱいあるだろうしとゲーム脳なおっさん少女。


「大丈夫です。無理はしませんので、サポートをよろしくお願いします」


 遥も真面目な表情でメイド二人に答える。


 はい、と頷く二人のメイドの姿を見ながら遥は言い放った。


「では、ファストトラベル使用! 移動先新市庁舎!」


 その瞬間、スキルは発動して目の前は真っ暗になり、瞬時に新市庁舎のバリケード前に到着したレキぼでぃであった。



 バリケード前に設営されている扉前に到着した遥である。監視所の人がびっくりしている表情なのが確認できる。


「申し訳ありませんが、扉を開けていただけないでしょうか?」


 レキぼでぃでニコリと微笑んで扉を開けてくれるようにお願いする。


 扉を開けてやれという指示をだす声が聞こえて、分厚い鉄のドアが開き始める。


 遥がバリケード塀と一緒に渡したバリケード扉である。ぎぎぃと音がして電動式の重々しい音を立てながら開いたので、テクテクと中に入る遥。


「なんだ、嬢ちゃん。今日は行商じゃないのか?」


 肩に銃を担ぎながら、監視所の一人が近づいてのんびりとした口調で聞いてくる。もうレキぼでぃが引き起こす超常の力になれたのか、いきなり現れても動揺していない。


「いえ、今日は新たな指示が出ましたので、そのために来ました」


 近づいてきた人に、何でもないように答えて遥は新市庁舎に移動する。ちょっと挨拶をしてから移動するつもりである。


 周辺には人々が騒々しく何かの仕事をしており、和気あいあいとしている。


 その人々を見ながら、随分人が増えてきたのだなと感じる遥。もう町と名乗ってもいいレベルまで増えている。まだまだ生存者を集めているのだろうか。


 シムな町づくりでも人々が増えてきたら嬉しいおっさんである。すぐに電力やらインフラ関係が足りなくなり収入を増やすために一気に税率を上げて人口が減少したもんだと、思い出しながら玄関前に到着した。


 知り合いがいないかと、周りをキョロキョロとしたところに椎菜がレキぼでぃを見つけて走り寄ってきた。


 笑顔を見せて挨拶する椎菜。なにか洗濯物でもしていたのだろうか? 手が水で濡れている。


「こんにちは、レキちゃん。今日は行商?」


 皆、行商と聞いてくるなぁと苦笑をして答える遥。


「いえ、今日は新たな指示が下りましたので、その一環として豪族さんか誰かにご挨拶できたらと思いまして」


 眠たそうな目をしながら、椎菜を見てリーダー格を見なかったか聞いてみる。


「また、戦うお仕事?」


 それを聞いた椎菜は顔を曇らせて、こちらを窺うように顔を覗き込んで問いかけてくる。


「はい。今回はかなり遣り甲斐のある仕事になる予定です。頑張りますよ」


 小首を可愛く傾げて椎菜の問いかけに微笑んで返答する遥。


「そっか…。無理しないでね? 気を付けてね? 怪我しないようにしてね?」


 心配してくる椎菜。だが、この身体はチートなレキぼでぃだ。何より遥が信頼をしているのだ。


「大丈夫です。問題ありません。このミッションもすぐにクリアする予定です」


 そしてレベルを上げていくのだ。もっと強くなって凄い武器とかも作るのだ。コレクター魂が騒ぐぜと心中に思うゲーム脳な遥である。 


 椎菜に挨拶を終えて、新市庁舎内の大会議室まで移動する。多分あそこなら誰かがいるはずである。


 大会議室に行ってみると、ワイワイと地図を広げながら話し合う人たちがいた。残念ながら豪族はいない。ゴリラ警官隊長がいるだけだ。後、ナナもいた。


 入ってきた遥に気づいて、皆が注目する。ナナが話しかけてくる。


「こんにちは、レキちゃん。今日はどうしたの?」


 首を傾げて、人懐こそうな犬を思い出す笑顔で、よく来たねと嬉しそうな表情と声でナナが聞いてくる。


「こんにちは、ナナさん。今日はこの間のお願いの準備をしていただくように依頼しに来ました」


 ゴリラ警官隊長が真面目な表情で、レキぼでぃを見ながら聞いてくる。


「この間のお願い? もしかして小拠点の件か?」


 レキぼでぃでこくりと可愛く頷いて、その通りですと答える。


「私は都内に偵察命令を受けました。小拠点を作成できる場所を見つけたら、その周辺を浄化していく予定です」


 遥の答えを予想できていたのだろう。顎に手を当てて唸るゴリラ警官隊長。


「レキちゃん! 都内にいくの? あそこは危険じゃない?」


 ナナがその言葉を聞いて心配気に尋ねてくる。だが、その行動を変えることは絶対にしないのだ。だってかなり投資したんだものと遥は思う。


「問題ありません。この任務は絶対に必要であると言われました。まずは小拠点の候補地を探す予定です」


 ナナを見返してしっかりとした声で返答する遥。ここでごねられると非常に困るのである。


「むぅ~。私が手伝えることがあったら、何でも言ってね! レキちゃん」


 そして気を付けるんだよと、ぎゅぅと抱きしめてくるナナ。以前に抱きしめられた時とは違い石鹸のいい匂いがするし胸がぽやんと触れているし嬉しいおっさん少女である。


「都内か…。予想通りではある行動だな。我らもそちらの要望通りに小拠点を作成する兵を用意しておくが、敵が弱体化したと確定してからしか動けないのは了承してほしい」


 勿論ですと、ナナに抱きしめられながら頷く遥。


「死なないでね? 気を付けるんだよ。ちょっとでも危ないと思ったならすぐに逃げるんだよ?」


 心配気に言ってくるナナを見ながら、これ以上、レキが死ぬフラグを建てないでほしいとちょっと心配する遥である。アニメとかではこのセリフで見送られた人間は大体死ぬパターンなので。


 しかし死ぬつもりなど毛頭ないのだ。


 行ってきますと笑顔を見せて、都内に向かう遥である。


 最初の小拠点候補は上野である。あそこの不忍池周辺である。




 数時間後、フラグ通りに大ピンチになる遥である。












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