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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
3章 初めてのコミュニティを助けよう
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28話 おっさん少女は新情報に困惑する

 平時なら異常に映るだろう光景が駅前道路に広がっている。多数の警官がそこかしこにいるのである。すわ、事件かと野次馬が集まるような光景である。


 しかし、よくよく見ると異常はそれだけではない。駅前道路は一直線に駅まで敷かれているはずだった。今は曲がりくねった道路となっている。行き止まりが各所にあり、道脇に並んでいる店は同じ店が一定のパターンで並んで壁の役割を果たしていた。


 歩いている警官もおかしな感じである。国民を守る象徴であるはずの血だらけになりボロボロになった制服。顔を見れば肉が削げ歯茎が口から覗いている。白目を剥いているにもかかわらず、まるで見えているかのように前を向いている。右手に短銃を握りながら、筋肉が衰えているのだろうズルズルと足を引きずりながら何かを探すように歩いていた。


 路駐されている車を避けながら徘徊している警官ゾンビたちであった。


ガツーンという音が警官ゾンビたちの死角で聴こえた。その音は路駐の車の陰から聞こえてきたので、警官ゾンビたちは何がいるのだろうと、ズルズルと足を引きずりながらその場に集まった。


 車の陰を覗いてみると、そこにはカラカラと転がる空缶しか存在しなかった。


 警官ゾンビが集まった反対側から滑るようにその場を離れる二人の人影があったが、その存在は気づかれずに移動をしていくのだった。


 この人はどっかの蛇さんかな?遥は空缶を自分たちが隠れていた車の陰から、離れた場所に投げて警官ゾンビを集めたナナを見て思った。


 サイレントキルができそうな、行動がいちいち主人公な女警官である。名前の語呂と違い、次々とイベントらしきものに巻き込まれているように見える場面を荒らしているような荒須ナナであった。


 おっさんが車の陰から空缶を投げたら、跳ね返って自分たちの隠れている場所に戻ってくるだろう。そのまま大乱闘確実である。


 レキぼでぃは高スペックだが、投擲スキルは持っていない。ゲームキャラは持っていないスキルは使えないのだ。使えないどころか、極端に不器用になり大失敗をするのだ。仕方ないねと、おっさんぼでぃでも同じだろと誰も突っ込む人がいなかったので、そう思うおっさんであった。


 片手にサスマタ、腰には短銃、パンパンに入っているリュックを背負いながら、音をたてずにナナは先に進んでいく。音をたてずに進むのは体術スキルに適用されるのだろう。遥もなんなく静かについていった。


 それからしばらく時間が経って、死臭が覆う、人が踏み込むことを拒んでいる、周りの空間が歪んでいる駅前ダンジョンから二人は無事に脱出したのであった。




 あれからしばらく移動して開店休業状態の蕎麦屋に隠れて一休みする二人である。


 平時なら混んでいる人気の蕎麦屋である。今はガラガラでありお客は勿論従業員の姿も見えない。ゾンビが、いるかと思われたがザッと調べたところ何もいなかった。調べる際にレジ裏は気をつけてくださいねとナナに注意もした遥である。


 お座敷があり木の匂いが香りよくする店内に二人は一休みのため入ったのである。


 ふぅ〜と息を吐きリュックを下ろすナナ。ペットボトルをリュックから二つ出して遥に一つを渡してくる。


 勿論、飲んでねということなのだろう。ペットボトルの蓋をキュキュッと開けて、ドッカとお座敷に座りナナはごくごく水を飲み始めた。


 反対に困る遥である。受け取ってしまったペットボトルの水は貴重そうだ。物資調達で集めているぐらいである。水は意外と重いのだ。それなのに結構リュックには入れていたことを遥はさっき中身が散らばった時に知っていた。


 対して遥はどうか?家ではメイド達とジャンジャン水を使い最近ではジャグジーバスまで備え付けている朝倉家である。これを飲むのは、物凄い罪悪感がある。


 遥が飲まないので、遠慮をしているのだと思ったのだろうナナが飲むように勧めてきた。


 「大丈夫だよ。まだまだ水には余裕があるから」


ニッコリ笑って、だから飲んでねと勧めるお風呂に入ることもできないであろう体臭がきついナナである。


 制服は殴られた衝撃でボロボロ、血だらけになり、それに対してピカピカの体に常にメイドに磨き上げられているいい匂いがする美少女レキぼでぃ。


 もう罪悪感はマックスである遥であった。


「大丈夫です。喉はあんまり乾いてないので」


 遥はペットボトルを返そうとするが、ナナは頑として受け取らない。まぁ、それもそうだろう。最初はロータリーで警官ゾンビに囲まれているところを助けられて、次はデカ警官ゾンビに殴られて瀕死なところを癒してもらったのだ。何かお礼をと考えるのは当たり前である。


仕方ないと遥は切り札を切った。


「今、ダイエット中なんです」


ごめんなさいと申し訳なさそうな顔を見せて断るおっさん少女。


おっさん少女の切り札は切らないほうが良いカードであった。


おっさん的には、女子高生はいつもダイエットしてるでしょという偏っているかも知れない考えから言ったのだ。悪気はない。ついでに知力も無い。


 そして水にカロリーは無い。という無い無い尽くしであった。


 呆れた顔をしたナナであるが鉄の意志で抑え込んだのであろう。すぐににこやかな顔に戻して、それじゃ飲みたくなったら言ってねとようやく受け取った。おっさん少女の扱いはますます繊細に扱わないとと決意したように見える女警官である。

 

 ナナがごくごく水を飲み終わってしばらく休んだ後にようやく遥が気になっていたことを話し始める。


「ちょっと前にね、大きい箱を背負った人が拠点に来たんだよ」


 トレンチコートにボロボロの服を着た160センチくらいの背丈の大きな箱を背負った女性だったらしい。ナナたちは最初は拠点に合流しようと来た生存者だと思った。迎え入れようとした人々。しかしその人間は違った。自分を行商人だと名乗ったのだ。


 そして箱から様々な武器を取り出したのである。しかも求める対価が想像と違ったのだ。


「対価が貴金属しか受け付けない?」


 どこの武器商人だよ、それ? と怪しすぎる人間に対して遥は思った。後、ゲーム的お助けキャラかもとウィンドウに、映るサクヤをチラリと横目で見る。


 サクヤは首を横に振って否定してくる。どうやらお助けキャラではないらしい。


「でね、私たちは貴金属を集めて武器を買っているというわけ」



ランダムに武器商人は各拠点に現れるらしい。常に箱の中身を一杯にして。


ますますゲームキャラっぽい人物である。


 どこから持ってくるのか? 拠点に一緒に住まないかと人々は聞いたが、頑として受け入れてくれなかった。商売人の飯の種は言えないし、自分は流れの行商人だからと。身の危険を説いても自分の身は守れるので問題無いと自信満々な人物だったらしい。あんまりしつこく誘うなら、もうここには来ないとも言われたのだ。


 そこまで言われては仕方ないと人々は取引をするようになっていったらしい。


 因みに後をつけようとしても、いつの間にか撒かれてしまったとのこと。


 それで装備が、充実していたのかと、この間のゴリラ軍団を思い出して納得した。平和な日本だったはずなのに、幾ら警官や自衛隊員とは言えあそこまで火力が揃っている訳は無いのである。


 何しろアサルトライフルからショットガンまで装備して、敵に対して残弾を気にせずに撃ちまくっていたのだ。


 映画とかなら、撃っている最中に俺は弾がもうない!と、誰かしらが言い始めてそこから崩壊するパターンであったのだ。


 おっさんがそこに混じっていたら、即座に弾丸は尽きて隣りの相棒が追加のマガジンを渡してきても、あわわわと焦ってマガジンを取り落として死んでしまう役どころだろう。


「それで私はこの短銃を買ったの」

 

と銃の密売を堂々言う女警官。自分の職業を忘れたのだろうか。


へぇ〜、凄いですねと、遥が返答したところ次はショットガンを買うつもりなのと笑顔で言ってくる主人公なナナである。


 その話を聞いて遥は良い考えを思いついた。自分の存在がばれずにこの人々を助けることができるナイスアイデアである。


 


 新しい設定を考えて、遥はナナに話しかけるのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 知力のなさを通り過ぎて,ある意味正気じゃない遥さんw
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