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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
3章 初めてのコミュニティを助けよう
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21話 おっさんは新たなるマイハウスを確認する

 呆然とマイハウスをみているおっさんがいた。


豪邸である。庭付き、ガレージ付き、家庭菜園付きの上流階級の人間が住んでいそうな豪邸である。


その豪邸の持ち主。冴えないおっさんの遥が眼前にあるマイハウスを見て呆然としていた。


「え? なんでこんなにでかくなっているの?」


あまりにもでかくなっているマイハウス。よくよく見てみると両隣と後ろの家とその両隣。合わせて5軒の隣家を侵食して豪邸化している遥の家であった。


「拠点拡張をしました、マスター。少しマテリアルは使いましたがこれで最低限の住み心地となったはずです」


ふんす、と可愛いドヤ顔で遥に伝えるナインである。


最低限の拡張でこの豪邸かよ。いや、俺の家は最低限にもなっていなかったの?


一応マイハウスに自信をもっていた遥である。ウサギ小屋に日本人は住んでいると外国人は言うらしいが、かなり立派なウサギ小屋だぜとプライドがあったのだ。


まぁ、おっさんしか住んでいなかったので、可愛いウサギからするとおっさん小屋と一緒にするなと批判をしてきそうな感じであるが。


「とりあえず必要な建物として作成しました。これで様々なクラフトができますし、探索から帰ってきたときの疲労を取るジャグジーバスも完備ですよ」


まだ、ジャグジーバスを諦めていなかったかと遥は思ったが、クラフトが全部できるのは嬉しいと思った。

これで様々なクラフトがツールを使用してできるのである。今までとは一味違うお酒が造れるかもしれない。


二日酔いをチートなスキルで乗り切れたおっさんの感想がお酒作成というダメな考えであった。


 しかし拡張されたマイハウスを見て思う。


これもう10年ローンどころじゃないよね? もしこの豪邸の建築費を求められたら、俺払えないよ?


いい歳した独身のおっさんである。銀行も新たにローンを組むことを渋るだろう。


もはや宝くじに全てを賭けるしかないかと、今までの宝くじで1万円以上当たったことのないクジ運のないおっさんであった。


全てはお酒を飲んで寝てしまい、ナインにクラフトを全委任してしまったダメなおっさんの責任である。


お酒は怖いね。やっぱり飲みすぎはダメだな。と昨日がぶ飲みをしていた遥は心で思う。やっぱやめときゃ良かったと。


サポートキャラを信じるのは危険であったのだ。


今までの言動と行動から十分予測できたはずなのに、ついついお酒を飲んだテンションで信じてしまったおっさんである。


 まぁ、メイド二人と添い寝もしてもらったし、差し引きトントンかなと思い始めたおっさん。


これからも同じことを繰り返すであろう思考であった。


「マスター、家の中を見ていきましょう。新しい設備がいっぱいありますよ」


と、遥の袖をくいくい引っ張りながら、行こう行こうとアピールする金髪ツインテール。


そのアピールにおっさんが抵抗できるはずもなく、うんうん行こうねと鼻を伸ばしてナインに連れられて家の中に入るのであった。


隣人が戻ってきたとき、なんと説明しようかと考えながら。


 もはや10年占有して自分の物にするしかないと、たしか10年以上占有してその土地の請求が無ければ自分の物にできるんだよねと浅い法律知識を思い出した遥である。おっさんは法学部卒業の学歴を持っているのだ。まぁ、ほとんどおっさん脳からデリートされている。元々法律の知識なんか持っていない可能性もある。法学部とはいっても、法律のスペシャリストになるわけではない、さぼりが多かったおっさんである。





 家の中に入った遥が見たところ家具の類はほとんど変わっていない。


今までの家具の中に見たことが無いものがちらほらと見える。部屋も大きくなっている部屋と新たな部屋が作成をされた模様だ。


リビングも拡張されており住みやすそうである。


ただ、広すぎておっさんは少し落ち着かない。社長の家にでも遊びに来た感じで緊張感がある。


ふかふかのソファに浅く座ったりする常に小心者の心を忘れないおっさんであった。


確認していったところ、台所には小さなコンロが置いてある。ちょっとぼろい。戦後の安アパートで使われていたコンロみたいである。


さすがに戦後まもなくは生まれてもいなかったので、その感想は昔みた映画からだ。おっさんの経験は映画、ゲーム、小説からできております。


「これは料理作成ツールですね。これを使用すれば今までとは違う食料を作成できます」


ナインがちっこい指をコンロに指さしながら遥に教える。


ちっこい指をみて可愛いなぁとホンワカしながら遥は聞き返した。


「今までもひととおり作れたと思うんだけど?」


レシピも馬鹿みたいに多かったしねと心の中で呟く遥。


「今までとは違います。これからはステータスアップ系の食料が作成できるのです」


ニコリと可愛く微笑むナイン。


なるほど、と遥は思った。ゲームによくある食べたら一定時間はステータスや耐性がつく系だとわかった。

それならば、まずゆで卵からかな。あれは力が上がったはず。そして道端でゆで卵売りの露店を作ろう。


他のゲームでの料理の性能を思い出し余計な考えまでしてしまう、料理のクラフトにわくわくする遥であった。


装備作成ツールは変わらなかった。次に見たのは調合ツールである。


新たな部屋に調合ツールは置いてあった。


「これ?」とツールを見て聞く遥。


16畳はありそうなでかい部屋である。恐らく調合した薬品を置いたりする雰囲気を出すためだろう。理科室に設置してある棚や洗い場らしきものがある。


ただ、ツールはしょぼかった。


ポツンとビーカーと試験管、アルコールランプと小学生が実験で使いそうなしょぼいラインナップであった。


「これで調合することも可能です。これからは回復薬を作ることもできますよ」


前は、徐々に微回復する薬しか作れませんでした。と教えてくれるナイン。


 そういえば調合スキルは使ったことが無かったな、と消耗品はなるべく使わない遥は思い出した。

と、いうかレキぼでぃになってから使ったことが無い。ダメージを受けたのは、おっさんがゾンビに噛まれて死んだときだけである。あれは回復薬より蘇生薬が必要な場面であった。


もちろんエリクサーは絶対にクリアまで使わない。使うことがあるときは使わないで済むようにレベル上げをするかやり直すおっさんであった。現実でもその行動スタイルを変えることが無さそうな感じである。


ガレージは作成した車両などを保管しておける場所であるらしい。遥は自動車免許は持っていたが、車は持っていなかった。


違反0というか最近は運転も0なゴールドなおっさんである。


これからは車両を使うこともあるのだろうか。燃料消耗系は少し嫌だな、となるべく歩こうと考えるレキぼでぃなら大丈夫なはずである。とチートなキャラの力を利用する気満々な健康志向かもしれないセコイ遥。勿論おっさんが長距離を歩くときはタクシーを呼びます。


最後に案内してもらった家庭菜園を見ていく。まだ何も植えられていないのだろう。肥沃そうな菜園が広がっている。


まぁ、農業などやったことのないおっさんである。ゲーム的にたぶん肥沃でしょと思っただけであるが。


「家庭菜園は野菜その他を色々育てることができます。最短でできるのは3日でできる蕪ですね」


ナインの言葉に、どこの牧場の物語だよと突っ込みたい遥。


3日って、超常すぎる。何しろ毎日観察されたら気持ち悪いレベルで育つであろう。絶対に他人に見られたくない育成である。ゲーム的すぎるでしょと思ったのであった。


そしてその他色々って何を育てることができるのか怖くて聞けない、聞きたくないことは聞かないことでいずれ後悔するスタイルのおっさんである。




 一通り見た遥。他にも書斎の効能とか風呂の効能とか倉庫の効能とかあったが、わかりにくい効果であったし困ったときはナインに聞こうと相変わらずダメな他人頼りのおっさん。倉庫は無限にアイテム保存ができるのがわかったぐらいである。


ゲームをやるとき基本ツール以外の細かいツールはよくわからないので使わなかったのだ。ゾンビを大量に倒しまくる記者のゲームでも飲み物とかよくわからなかったので作りもしないでクリアした遥である。


 ようやく見て終わったので、やれやれとナインが出してくれるコーヒーを飲みながら最後にステータスボードを確認しようとする遥。因みにいまだにサクヤは起きてこない。だんだんだらしなくなってくるダメな銀髪メイドである。


ステータスボードを見ると拠点はこうなっていた。


拠点:マイホーム

維持コスト:0

防衛力:3

防衛兵:なし。

スキル:拠点聖域化


「3?」


結構な豪邸になったのだがと、防衛力が低いと思う遥。


「はい。2は2000、3は3000のマテリアル(小)がかかりました」


平然と怖いことを言うナイン。


慌てて保留してあるマテリアルを確認したところ、2000体以上倒したゾンビ他色々で溢れかえっていたアイテムポーチは枠がスカスカの寂しい状態であった。


「おぉ」とかなり減ってしまったアイテム量を見てがっかりする。


どうやら昨日の宴は、ぼったくりバーであったらしい。やはり美人のお酌は危険だと改めて思った財布がスカスカになってしまった感じのおっさんがそこにいた。


後、拠点拡張の時は起こしてほしかったと思う遥であった。


普通は「拠点拡張!」とか叫んで主人公が拠点拡張をするんじゃないの? それで拠点がでかくなって「おぉ~、さすがご主人様」と周りが言うんではないだろうか?


寝ている間にそのイベントは終わった模様の脇役なおっさんである。











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