215話 おっさんは褐色少女の発見に驚く
こっちよ、こっちとさりげなく手を握って連れ出そうとする叶得。顔が真っ赤になっているので全然さりげなくないよねと考えて応接室を開けると、どやどやとドアの前に集まり、耳をそばだてていたおばちゃん連中が、あらあらおほほと笑いながら解散していった。
「なによ。なんでみんなドアの前にいるのよっ! もぉ~」
叶得は照れながら言うので説得力ゼロである。こういうところから噂は拡散するんだねと呆れる遥。まぁ、仕方ないだろうと嘆息して、真っ赤になりながらも手を離さない褐色少女に連れられて歩く。
そんな遥をチラチラと見ながら、小声でこちらの顔を窺うように尋ねてくる叶得。ぎゅうと繋いでいる手を強く握ってくる。
「ねえ、おっさん? レキからなにかを聞いていない? 山間での出来事とか」
恥ずかしそうに、されど聞いていてほしいなぁという期待を持って確認してくるお年頃の娘さん。
おっさんは不思議そうな表情をして聞き返す。
「いや? レキからはなにも聞いていないな。なにかあったのかね?」
レキからはなにも聞いていない。聞いたのはというか、修羅場に巻き込まれたのは遥であるからして。嘘は言っていないと誤魔化すおっさんだ。
むぅと唇を尖らせて不満そうな表情を作る叶得。がっかりと肩をおとして、小声でブツブツと呟く。
「あの娘ったら、さり気なく伝えてくれても良いじゃない。ちょっとは親友の恋路を応援しなさいよねっ」
妥協して親友は良いだろう。美少女と親友は嬉しい限りだと思う。だが恋路ってなにかな? おっさんはわからない。たぶんナナシさんという人との恋路だろう。ナナシさんモテモテですね、いつか会ってみたいなぁと現実逃避をしたのであった。
それにあの会話がそのまんま意中の相手に伝わったらやばいのではなかろうか。相手に脈がなかったらドン引きの内容である。なにしろ体力自慢をもしていたのだからして。
はぁ〜、この娘はしょうがないなぁと微笑ましくて、つい笑ってしまう。そして、悪いけど事案になるから無理だよと内心で謝る遥であった。事案ではなく、ウィンドウ越しに見ている美少女と戦闘民族な美少女が怖いんでしょうというツッコミはなしだ。怖いに決まっているでしょと逆ギレして誤魔化すので。
そうこうして、ようやく目的地に到着したらしく立ち止まる叶得。そこは工房裏の日当たりの良い裏庭であった。家庭菜園をしているのか、満遍なく様々な野菜が実っているのが確認できた。
叶得はこちらへとフフンと得意気な表情になり、裏庭を指し示す。
「これが世紀の大発見よ! なにが大発見か、わかるかしら?」
腕組みして平坦な胸を反らして、遥を試してくる褐色少女。
だが、裏庭には野菜しかない。そこそこ実っているが、なにかおかしいところがあるだろうか………。
不思議に思いながら、首を傾げていたが、すぐにおかしいところに気づいた。まさかと思いながら叶得へ鋭い視線を向けて尋ねる。
「野菜か? まさか、速成栽培の方法を見出したのか?」
ちょっと強めの口調で、叶得へと近寄り顔を近づけて尋ねる。おっさんの基地のように速成栽培の方法を見つけたのだろうか? ちなみにおっさんの農園はいまや1時間で植えてから豊作で実ります。見ていてテレビの植物成長の早送りみたいなシーンであるから、かなり気持ち悪い。
だってあっという間にぐにょぐにょと育ち、花を咲かせ実を生らせるのであるからして。牧場をメインにした物語ゲームでは夜にこんな不気味な成長がされていたのだろうか。その場合、あのゲームはほのぼのスローライフゲームではなく、恐怖のホラーゲームになりそうな予感。
叶得は、顔が近い遥を見て、顔を真っ赤にして私が目を瞑って唇を突き出したらどうなるのかしらとかピンク色の妄想を考えていたが、真剣な表情で聞いてくるので、そんな場合じゃないか。チャンスはあとねと思い直し答える。
「方法っていうか素材ね。この土をレキが言っていた北海道ダンジョンから持ってきたのよ」
土を指し示して教えてくる褐色少女を見て、それは盲点だったなと驚嘆する遥。おっさんが驚く姿を見るのが珍しいので、それだけ大発見だったと嬉しく思いながら説明する叶得。
「ほら、ダンジョンって野菜系のミュータントが多かったでしょう? きっとあんなに多かったのは土のせいだと考えたの。土も安全だと大樹からは教えてもらったし、試したらあっという間に野菜が育ったわ!」
「………土か………。なるほどな、盲点だった。私たちはついつい敵から入手できる素材ばかりに目を向けていたが、なるほど、あのダンジョンは野菜系のミュータントを育成するために、土が速成栽培の力を持っていたわけか………」
ちらりとウィンドウ越しにナインに確認の目を向ける。ナインは叶得の発想に感心しながら返事をした。
「ゲーム感覚では考えない盲点でしたね。たしかに野菜系がメインのダンジョンであれば、豊かすぎる土壌が存在するわけです。それも数年で消える力ですが」
ふむふむと頷き、ナインが褒めるぐらいだから、かなりの大発見だと感心する遥。
「さすがだ、叶得君。君をスカウトして良かった、これは大発見だ」
ん、と照れながらも頭を差し出してくるので、仕方ないなぁという表情で内心は美少女を撫でて良いのかしらんと恐る恐る叶得の頭を撫でる牢屋行き確実な業の深いおっさん。
エヘヘと頭を撫でられて、猫のように目をつぶり嬉しそうな表情の褐色少女。なんとおっさんはなでぽを覚えたのだろうか? たぶん違うのであるからして、他人に試す気はナイン以外にはないおっさんだ。
だが。頭を撫でている所作も叶得の次の言葉で止まった。
「これで農家の人たちは苦労しないで、簡単に豊作になるわね。それどころか街に野菜が溢れかえるわよっ!」
その言葉を聞いて、その内容を考察して、その影響にゾッとして、冷たく硬い口調で返事をする。
「だめだ。この土はこのままでは農家に流通させることはできないし、やらせるつもりもない」
いつになく冷酷な声音であるおっさんを疑問顔で尋ねる叶得。
「え? なんで? 皆が農業が楽になるのよ? 食べ物だって今まで以上に安くなるわ!」
そう言うだろうなぁと、ため息を深く吐く。なにしろ夢のような素材だ。
「前に聞いているだろう? あらゆるミュータントの力はレキによって浄化されると」
遥の言いたいことに気づいたのだろう。青褪めてギクリと身体を強張らせる叶得。
「その様子だと、気づいたようだな。そうだ。この土は数年しか効果はもたない。素材回収のために、まさかダンジョンを放置しろとは言わないと思う。ならばこれらは使用できない。農薬や肥料のように恒常的に手に入るものではないんだ」
言われた内容を耳に入れて、叶得は神妙そうに頷き口を開く。
「………そうね。もしも不慣れな素人農家がこれを使用して、簡単に野菜を育てることができたら、土が手に入らなくなった時が大変ね。きっと阿鼻叫喚の悲惨な収穫へと変わるでしょうから」
「あぁ、この土は素人でも簡単に野菜を育てることができてしまう。今のこの畑みたいにな。手に入らない土を使い続けることはマイナスにしかならないんだ。この土の存在を知っている者は他にいるのか?」
その言葉に叶得はかぶりを振って否定してきたので、ホッと安心して胸を撫で下ろす。
「………ううん、まずおっさんに伝えたかったから、この土の実験は誰にも言ってないわ……。不幸中の幸いね」
がっくりと肩をおとして、自分がやってきたことが危ない実験だとわかり項垂れる。
「はぁ………。私、無駄なことどころか危ないことをしていたのね。安全性は確認しても、実際に使うとなるとどうなるのかも確認しないといけないとは思いもしなかったわ」
「そうだな。希少な今だけでしか手に入らない、いや、もしかしたら他の地域でも同じような物があるかもしれないが………。どちらにしても恒常的に手に入れることができないのであれば仕方ない」
うんうんと偉そうに語るおっさんであるが、家には山ほど同じような土がありますよとは教えない秘密主義だ。
「それに、このままでは使えないというだけだ。使いようはあるのさ」
ニヤリと悪そうに口元を曲げて笑い遥は新たな方法を伝えるのであった。
ガヨンガヨンと大きな音がして、ワーカーアントがトラックから土を運び出し農地へとばら撒く。未だに耕作中である場所である。種まきが終わったところは人間の手で丁寧に土を被せている姿が見える。
数日後、開拓中の畑へと土を撒いているのだ。無論、ダンジョン産の土をそのまま使うつもりは毛頭ない。
「ふ〜ん。単に肥沃にするだけの土ねぇ。こんなことを大樹はできるのね」
叶得が地面の土を見ながら、遥へとどことなく嬉しそうな表情で話しかける。
それにたいしてなんでもないような素振りで遥も畑を見ながら答える。
「本部の科学者は有能だ。あっさりと作ることができたよ」
アントが次々と土を運び出すのを見て、まだ春で良かったよと思いながら返答する。
「農地でもなかった土地を耕作するのは大変だ。栄養もない土壌なのだし、素人だからな。この土は栄養のある肥沃な土壌へと変えるだけの物だ。数年間、収穫があまり見込めないだろう土地が普通の畑と同じになった。ただそれだけの代物だ」
「凄いことよね、それって。なんだかこんなにあっさりと作られちゃうと私がしていたことが無意味に思えるわ…………」
珍しくしょげている叶得。まぁ、気持はわかるが。こんなにあっさりと肥沃なる土が作られたのだ、レキがそいやっと、可愛らしい踊りをしながら調合で作った土。肥沃なる土だ。やせ衰えている土地に使えば普通の畑レベルにまで回復する超常の土である。
ちなみに作っていたのはレキ。きっとそうであると信じている。作るのが途中で飽きたので、踊りながら作っていたのだが、きっとレキである。
しかし叶得は思い違いをしているので、改めて教える遥。
「君がいなければ、そもそも土を改良しようとは考えもしなかった、優秀とはただ単にある物を加工や改良できるだけの者を言うのではない。新しい発見や発明をする者も優秀なのだ。いや、この場合は天才か?」
慰めるわけではない。この娘は観点が違い、発想も想定外だ。きっとレアな発明家にゲームならなっていただろう。
「だからこそ、大樹の科学者ではなく、君を頼りにしているところもあるのだよ」
偉そうに語るマニュアル通りにしか作れない発想力の貧困なおっさんである。科学者とはすなわちおっさんのことを言うので、頼りにできないことは明白だ。常に攻略サイトを必要とする遥であるからして。
だが、おっさんは頼りにできませんよと真実を語ったのに、叶得は耳まで顔を真っ赤にして照れながら遥へと視線を向ける。
「そ…それって、私が頼りになるということよねっ! おっさんは私の方を大樹のお偉い科学者よりも選ぶということよねっ!」
叶得は身体をくねくねとさせて、なんだか軟体生物になったのかな?
そんな奇妙な物を見るような遥の視線には気づかずに、なおも照れながら話を続ける褐色少女。
「わ、わかったわ! これからもおっさん専属になってあげるから安心してよねっ! え、と、人生の専属ににも……」
なんだか最後まで言わせるとまずいよねと、鈍感主人公を演じたかったが、小心者のおっさんにはメンタル的に無理そうなので、諦めて口を挟もうとすると
「ナナシさん、奇遇ですね。お仕事ですか?」
後ろから聞き覚えのある、さらには聞きたくなかった声がしてきた。
あ〜、マジですか。なんでここにいるんですかと、振り向きたくなかったが、渋々振り向く。もちろん演技スキルが発動しているので、ゆっくりと余裕のある態度で振り向いたように見せる。
予想通り、そこにはモデル立ちをしていた美女の玲奈が立っていた。
フフと綺麗な微笑みを見せて口を開く玲奈。
「聞きましたわ。今度は苦境に喘ぐ北海道からの避難民を助けるために大樹で作り上げた土を持ってきて、タダで農地に撒いているとか」
「あぁ、そうだな。日位さんだったか? これでなんとか避難民も楽になればよいかと考えている」
両手を合わせて、頬にそえて首を傾げて玲奈が褒めてくる。
「さすがはナナシさんですわ。その手腕は私がこのコミュニティに来てから、すぐに耳に入りました」
「いや、今回の発見はここの叶得君がしたものだ。我々は少しばかりの助けをしただけに過ぎない」
遥の言葉を聞いて、叶得が得意満面な表情で両手を腰にあてて玲奈を見て言う。
「ふふん、私はおっさんに頼られているからねっ!」
その言葉にピクリと不愉快そうに眉を上げるが、すぐに微笑んだ表情に戻し、にこやかに語ってくる玲奈。
「叶得さんのお話も色々聞いておりますわ。イロイロとね」
玲奈の言葉に内心で疑問に思う。なんだかイントネーションが変じゃない?最後の方?
「どうでしょう、大樹は今かなりの人材不足なのですよね? 外部との交渉をまとめているナナシさんがお一人でここまで来るぐらいに。よろしかったら私を雇っていただけませんか? 絶対に失望はさせないと思います」
柔らかな口調で言ってくるが、ようは社長に直談判して雇ってくれと言っているようなものだ。よくそんな胆力あるね、おっさんは絶対に無理だよと考えながら、冷酷な視線で返す。
「駄目だな、私は君のことをまったく知らない。使えるかどうかもわからない人間を雇うほど酔狂でもない」
あと、ナインさんが怖いんですとは副音声の言葉である。実に情けない。
返された言葉に深く頷いて余裕の態度を崩さない玲奈。
ん? おかしいな、物凄い圧力をかけて雇用しろと言ってくると思ったのにと拍子抜けする。
「もちろん当たり前です。雇用をこれでされたら拍子抜けですわ。なので、私は自分の優秀さを示すことにしました」
「優秀さとはどんなことなんだね?」
疑問に思うよ、どうやって優秀さを示すことができるんだろうと、ついつい聞き返してしまう。
ぽよんと叶得とは違うふくよかな胸をはって、玲奈は教えてくる。
「今度の劇場に入る劇団を取りまとめたのは私です。ほそぼそと働く合間に劇をしていた者たちを劇団まで纏めたのは私なんです」
えぇっ! と内心で驚く。マジかよ、劇場が欲しい、劇団はあるからと豪族に頼まれたので、おっと市民の要請ですねとシムな気分で気軽にポチリとボタンを押下して作ったのだが、玲奈が纏めた? この短期間で?
「それは本当かね? それならばたいしたものだが」
「はい。今の私は劇団の経営顧問という職についています。そして、その噂を聞いたお店をやりたい人などが声をかけてくれるようになっています」
遥の関心を得たのだと確信して、ニコリと受付嬢みたいな綺麗な笑みを浮かべる玲奈。
ふむふむと顎を撫でて今の内容を現在抱えているこの街の問題も含めて考える。
ちらりと玲奈を見ると視線に気づいてニコリと微笑みを返す美女。だが、そこは問題ではない。経済観念が金持ちの視点、すなわち経済を回そうと考えることができる人間なのではと予想したのだ。そして、避難してから、全然時間がなかったはずなのに、ありえない早さでの契約の取り纏め。有能な人間だということだ。
なにしろ金持ちはエゴが強かったのか、今のところ生き残っているような人間は見たことがない。いや、孤島にいたけど死んじゃったし。
それならば、豪族が言っていた雇用なども、ディーが言っていた仕事がない現状も少しは良くなるかも。
どうも苦手そうな相手だが、そんなことは気にしている場合ではない。
なので、おっさんは指をパチリと鳴らして、口元を薄く笑いに変えて玲奈へと話しかける。パチリと鳴らせたのは演技スキルのおかげだと言うのは間違いない。今まで指でかっこよく鳴らせたことはないので。
「よろしい。裏付けを取らせてもらうが、真実味がありそうな話だ。雇おうではないか。銀行の課長としてな」
いきなりの役職スタートに、玲奈は僅かに驚きながらも、頬を紅潮させて深々とおじぎをしてきて
「ありがとうございます。大役慎んでお受けします」
嬉しさを隠しきれない声音の玲奈へと忠告しておく。
「ふむ。君は銀行の中では支店長に次ぐものとなった。下からの恨みや妨害があるかもしれない。そして、君には融資関係に多大な権限を与えることにもする。この街がどう発展するか? 人々が幸せに暮らせるか? そしてそれをどう大樹への利益へと変えていけるかを君はやっていかないとならない。部下を上手く纏めて、街の復興を利益を含めて考えなければならない。それでも課長を受けるかね?」
少しばかり脅しを含めた声音で再確認するも、玲奈は気合の入った表情でこちらへと話す。
「大丈夫です。きっと私を雇って良かったと思わせます。これからの私の活躍ぶりを期待して待っていてください」
自信満々な玲奈を見て、なかなかの胆力だねぇと感心をする。おっさんには絶対に無理なやり方だ。
そう考えていたら、トスンと腰に叶得がしがみついてきた。顔を真っ赤にして恥ずかしながらも、警戒心丸出しで玲奈へと、フシャーと牙を見せる猛獣な感じで大きな声で宣言した。
「就職できて良かったわねっ! 私もナナシと一緒に期待してあげるわっ! まぁ、私の働きには負けるだろうけどねっ」
両手を遥の腰に回して、胸を当てるようにぎゅうぎゅうとしがみついてくるが、残念無念まったく胸の柔らかさを感じない。でも、褐色少女からは良い匂いがするし、胸の柔らかさを感じなくても、身体全体の柔らかさを感じて照れるおっさんである。
そして、他人の目が気になる社会的地位を大事にするおっさんでもあった。こんなの他人に見せられないと、慌てて周りを見渡すと、なぜか、少し離れたところにディーが佇んでおり
「フヒヒ。昼ドラを含めた脚本が新たに浮かぶわ。フヒヒ」
メモメモとメモ帳にアイデアらしき内容を書いている模様。なんだか劇団関係の娘っぽいので、ちょっと困りますよ、肖像権の侵害ですよと叫びたい遥。いつの間にかナナシと呼び捨てに叶得からはされているし。
なんとか逃げようとするも、目の前のハンター美女も怒りの表情で叶得を睨んでいた。視線だけで人を殺しそうな感じである。
「今はその場所を楽しんでおきなさい。すぐに奪ってやるから………」
玲奈の呟く恐ろしげな声も聴こえてくる。これははぐれた銀色のスライムの出番だよと、この間みたいにカサカサと逃げ出したかったおっさん。
「ナナシッ! すぐにもっと凄い発明をするから、今度は泊りがけで来てよねっ!」
「あら? お子ちゃまはどれだけ調子に乗るのかしら?」
「フヒヒ。私の天使様降臨編にでてくる悪役にピッタリ……」
タダダダダ、おっさんは逃げられなかった! 修羅場からは逃げられない!
もぉ、誰か助けてくれと内心で悲鳴をあげるおっさんなのであった。
 




