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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
14章 北海道に行こう
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198話 おっさん少女の強制労働所での戦い

 先手をうったのは、コマンドー婆ちゃんであった。素早く腰から下げているホルスターから短銃を抜いて、こちらへと銃身を向けたのだ。


 マジかよと、おっさん少女は驚愕した。たぶん力比べになると考えていたのだ。一葉港のチンピラ自衛隊みたいに殴りかかってくると考えていたのだ。


 しかし違った。コマンドー婆ちゃんは恐ろしく真剣な表情でホルスターから抜いた銃でこちらを撃とうとしていた。周りの4人の爺さんも短銃をホルスターから抜いている。


 その姿は老いたる凄腕ガンマンという感じだ。ここは西部劇の世界かな?


 苦笑いをしながらも、実はのんびりとその姿を観察していた遥。動きがスローモーであくびが出るほどだからだ。


 もはやおっさん少女を不意打ちでも人類は倒せないのだからして。


 他の周りを囲んでいる青年たちは呆然と状況の変化についていけずに眺めているばかり。


 先程鍛えた奴らだからと、コマンドー婆ちゃんが言っていたのは青年たちに遥たちの意識を向けさせるブラフだとわかる。


 なるほど一騎当千は伊達ではないねと、小さく笑うおっさん少女。どうやら凄腕なのは間違いない。


 こちらが女子供しかいないのに、躊躇なく銃を抜くのは、かなりの修羅場を越えてきたのだろう。


 だが残念。普通の人ならそれでやられていた。視線と銃身の向きから腕を狙っているのがわかる。手加減をしているつもりらしいが、それでも子供に対して酷い話だと考える中身は年齢不詳なおっさん少女だ。


 ダンと銃声がして、コマンドー婆ちゃんが撃った銃弾が遥へと迫るが、常人ではないが、もしかしたらその速度に人間が到達できるかもという絶妙な速度で地面を蹴る。


 チュインと遠くに躱した銃弾が地面を抉るのを見ながら、遥は素早く囲んでバイクを盗ろうとしていた青年の陰に壁にするように隠れる。


 アインもシノブも遥の意図を読み取って、やはり絶妙な速さで青年たちの間を縫うように走り、銃弾を回避していた。


 スタタと走り抜けて、ターン。そうしてもう一度青年たちの間をすり抜けて戻る。とうっとジャンプしてバイクに飛び乗り、ドルルルルとエンジン音をさせて発進させる。さすがに周りに仲間が右往左往しているので撃たないコマンドー婆ちゃんチーム。


 そのままドリフトターンをして、周りの青年たちが慌てて避ける中、ぎゅるぎゅるとアクセルターンをしたあとに、その場を3人は離れた。離れた途端に銃弾が飛んでくるが、不可視のシールドがその攻撃を防ぐ。


 その様子を見て、チッと舌打ちする目の良すぎるコマンドー婆ちゃん。空中で銃弾が防がれたところが見えたらしい。そのままおっさん少女へと怒鳴ってくる。


「随分面白いバイクに乗っているじゃないか、お嬢ちゃん」


「いえいえ、ドリフターの標準装備ですよ。最近のドリフターの流行りなんです」


 キィッとバイクを停めて、満面の笑みで答える遥。なにもかも予想外なのは久しぶりである。まぁ、おっさん少女の演技以外は。


 なので楽しくなってきたねとウキウキと思いながら尋ねる。


「ちょっと美少女たちへいきなり銃を撃つなんて、酷いのではないでしょうか? こちらは一所懸命生き残ってきた、か弱い女子供ですよ」


「ハッ! 生き残ってきただぁ? 嘘をつきな! あんたらは薄汚れた格好をしていてもわかるんだよ! のほほんと苦労をしないで生きてきたエリート様の匂いがプンプンするんだ! どうやらどこかのスパイたちってところさね?」


 なかなかやるじゃんと感心しながら、楽しくて微笑みを浮かべる。もはや映画の世界、映画の世界に入り込んだよとおっさん少女は喜んだ。もちろんアクション世界だ。おっさんならばどうなるかは想像に任せようと思う。そしてのほほんと生きてきたのはおっさんのデフォルトスタイルなので仕方ない。


「驚きました。まさかいきなりばれるとは想定外でした。今までは上手くいっていたんですが」


 自信満々にニヤリと笑うおっさん少女。いったい、いつ、どこで、上手くいっていたのか教えてほしい一言である。もしかしてアホな美少女を演じていたとでも言うつもりだろうか。あれはどう見ても素である。


 バラバラと囲むように散らばり、老人たちは背負ったアサルトライフルを取り出して、こちらへと構える。容赦はないらしい。


 遥は余裕綽々な表情で、コマンドー婆ちゃんへ問いかける。


「これでも私たちが勝ったら、先程の取引は有効なのですか?」


「あぁ、もちろんさね! あたしらに勝てたらね!」


 そう答えて、引き金をひくコマンドー婆ちゃん。それを合図に爺さんたちも撃ち始める。タタタと銃弾が数発ずつ放たれる。


 フルオートでなく、セミオートでの銃撃だ。戦いに慣れすぎている老人たちである。


 しかし超科学のバイクを上手く捌き、蛇行しながらぎりぎりで回避する。目の前を銃弾が通り過ぎるのを見ながら、コマンドー婆ちゃんたちから離れる。


「楽しくなってきました。こんな凄いアクションになるとは思いませんでした!」


 ワクワクしすぎて、ふんふんと鼻息荒くおっさん少女は興奮する。かっこいい! OKな牧場での戦いみたいだと面白がるゲーム脳だ。


「ボスどうするんだい? どうやって倒すんだい?」


「えぇ、倒し方にこだわりますよ。なにせ、あれだけの戦意を見せてきた人たちは初めてですので」


 今までは絶望の中で生き残ってきた人々ばかりであったので、助け合いが当たり前の世界であった。まぁ、善人ばかりが生き残ってきたと思われるので当然かもしれない。


 だが、1年の月日は人々をすこしばかり変えてしまったようだ。このコマンドー婆ちゃんたちのように。


 やはり新ステージは楽しいねと、小さく笑みを見せて話を続ける。


「森林での戦闘としましょう。あちらがコマンドー婆ちゃんなら、こちらは乱暴な美少女軍団ということで」


 乱暴な元兵士が戦った古き第一作の映画を思い出しながらアインとシノブに笑顔で告げる。了解したとこくりと頷く二人。


「了解、ボス」


「お館様のおっしゃるとおりに」


 またもやシノブがお館様呼びとなったねと思いながら、森林へとバイクを進めるのであった。




 森林には見張りが等間隔で配置されている。その見張りは今しがたコミュニティから戻ってきたバイクを呆然と見ていた。特に止める掛け声もしないで、警告を出すこともせずに。


 そんな見張りたちへコマンドー婆ちゃんたちが走ってきて、威圧感を与える怖い形相で怒鳴る。


「ここからバイクで行った3人はどこだい?」


「あ、所長………そこ、そこに………」


 見張りが指さす先にはバイクがポツンと森の少し入った場所に置かれている。もちろんあの危険な少女たちの姿は見えない。


 あれは一目見て危険なやつらだと、コマンドー婆ちゃんたちは判断した。なにせバイクが動いていることも異常なら、薄汚れている服装のくせに疲れた様子もなく楽しそうに周囲を観光でもしているようにしていた3人組だ。怪しまない方がおかしい。


 そして、自分の力に自信満々なことがわかるリーダーと思われる子供のような少女。口ぶりからも自分を倒せる人間がいないと思っていることがわかる。姿かたちは薄汚れているかよわい少女だが、内面は自信に満ち溢れた凄腕に見えた。


 すぐに挑発したところ、戦闘に勝てば取引を自由にさせろというから、真っ黒なのは確定。恐らくは北からのスパイではなかろうかと判断したが………


 顎に手をあてて考える。あの少女たちの言動を。そしてバイクの異常な力を。なにせ銃弾がバイクに接近すると弾かれたのだ。なにがしかの力を持っているとわかる。見たことの無い、想像もつかない技術だ。いったい少女たちはどこから来たのだろうか。


「どうも、あの少女たちは北の連中じゃないみたいだね………。たしかにあいつらが車両を動かせるようになったとは聞いていないが………。それならどこからの奴らだい?」


 かぶりを振りながら、余計な考えを捨てて戦闘に頭を切り替える。周りにいる頼もしい仲間へと視線を向けて言う。


「よし、森の中に入るよ。あいつらは凄腕なのは間違いない。充分気を付けるんだ」


 子供相手でも、このコミュニティを脅かすやつは許さないとコマンドー婆ちゃんたちは森へ銃を構えながら入っていくのであった。




 ふんふんと機嫌よく鼻歌を歌いながら、小柄なる美少女は木の上にいた。上といっても上すぎる。木の先端近くにいたのだから。木の先端近くの小枝に乗りながら、その小枝はしなることもない。


 森は生い茂り、木の先端まで見ることは不可能である。ある程度高い位置から見るしか発見は不可能だ。


 同じようにアインたちも他の木の先端近くに待機していた。


 森林の出入口を見ると、アサルトライフルを構えて、均等にばらけながら慎重に歩いてきたコマンドー婆ちゃんたちの姿が見える。


 その様子を見て、ウキウキとした声音で呟く。


「わかっちゃいます。狩りを楽しむ宇宙人の感情がわかっちゃいますね。光学迷彩をしながら攻撃を仕掛けたら、凄いびっくりするでしょう」


 泥だらけの兵士に負ける宇宙人だが、おっさん少女は狩人をする宇宙人よりも強い、そう確信していた。恐らくはプラズマライフルを連射されてもかすりもせずに倒す自信がある。


「ですが、ここは強者の余裕というやつです。映画だと大体足をすくわれてしまう役柄ですが………。さて、私はどうでしょうね」


 そして、アインたちへと視線を送り、考えに考えぬいた作戦を伝える。


「手加減です。アクション映画の乱暴な主人公並みの力であの人たちを倒しましょう。そうしましょう。というわけで、アイン、シノブ、できるだけ無傷で倒してくださいね」


 輝くような無邪気な笑みで作戦を伝えて、アインたちが頷いて地面に降りていく見ながらおっさん少女も降りていくのであった。


 それは作戦じゃなくて方針でしょうとツッコミをする人はいなかった。ただ、カメラドローンがふよふよと浮いておっさん少女の無邪気なる戦いを撮影していたのみである。




 何メートル間隔というのだろうか?的確に相手が援護できる位置に5人の老人は離れており、警戒しながら移動していた。


 鍛えすぎていて、映画のように一人ずつ消えていくといった感じは無理である。すぐに他の人間に気づかれるであろう。


 映画のように上手くはいかないですねと、シノブは思いながら隠れながら老人が通り過ぎていくのを見ていた。


 一番端にいる老人だ。恐らくは端に位置するということは、凄腕の中の凄腕。コマンドー婆ちゃんは真ん中で指揮をしながら歩いているのが見える。


 そっと手を動かして石を投げると、老人の上にある小枝がわさわさと揺らぐ。すぐさま老人は揺れている小枝付近にセミオートでの射撃を行った。必要最低限の銃撃。タタタ、タタタと6発の銃弾が小枝付近を貫く。映画の雑魚兵士のように無駄にフルオートでの連射はしない。


 眼光鋭く小枝付近の動きを見ながら、木の陰にすぐさま隠れようとするが


「ふふ、凄腕の兵士は反対に動きが読みやすいですね」


 木のうろから、ぬっと手が伸びてきて首を掴む。いつの間にか木の中から滲み出てきたようにシノブが現れて首を掴む。驚愕して反撃をしようとする老人だが、頚動脈を押さえて数秒。あっさりと気絶して崩れ落ちる。


「忍法壁隠れです」


 偽装を使っただけだが、忍法と言い張るシノブ。これをおっさん少女に聞かれたら、サクヤは頬をムニーンの刑確実である。なにせ、どこからともなく忍者漫画を持ってきてシノブへと悪戯そうな笑顔で色々教えたからである。しかも忍者漫画といっても今どきの凄い派手なラーメンの具のような名前のやつではなく、抜け忍が追手と戦う凄い古い漫画である。


 そんなサクヤに教えられたことを素直に使っているシノブであった。


 銃撃の音に気づいて、こちらへと2人がフォローとして銃を向けてくるが、木の陰に隠れてしまった老人の姿が見えない。大丈夫かと一気に近づくこともなく、無言でじりじりと警戒しながら歩み寄ってくる。


 他の老人たちは周囲を警戒しているのが見える。


「本当に鍛えられていますね」


 ふ~、とその動きに感心しながら息を吐き、シノブはスッとまた草むらへと消えていくのであった。



 反対側から、銃撃音が聞こえて老人は銃撃音の方をちらりと見てから周りを警戒した。陽動かもしれないと考えたからである。だが、そのちらりと視線を向けたのが致命的であった。


 いつの間にか赤毛の少女が目の前にいた。眼前でにやりと笑い、拳を突き出されたと思ったら顎へと攻撃をうけてふらついて倒れるのであった。


「やれやれ、常人の少し上の力って、いまいち加減がわからないよなぁ」


 困った表情でアインはふらついた老人を見る。そして、倒れこんだ老人の頚動脈を押さえて気絶させる。


「まぁ、死にはしないよ。たぶんな」


 そうしてゆらりと動き、また森へと消えていく。


 コマンドー婆ちゃんは端の仲間が倒されたことに気づいた。恐ろしい手際だ。予想通り鍛え抜かれた兵士なのだろう。よく実戦経験豊富な兵士の方が強いと言われる。もちろんその通りだが、では鍛え抜かれた兵士が実戦経験をするとどうなるか?


 あの少女たちは鍛え抜かれた兵士だ。恐らくはその容貌で今までのコミュニティへ潜入してきたのだろう。何が目的かはわからない。だが、あっさりと負けるのは矜持が許さない。


「ここは私たちが守ってきたコミュニティなんでね」


 そう呟いて、銃を強く握りしめ周囲を警戒するコマンドー婆ちゃんであった。


 


 その宣言を聞いて、遥は草むらの中で思った。このコマンドー婆ちゃんはかっこいい! 凄いよ。まさか発言までかっこいいとはと感動した。拍手かな? 拍手していいかな? と草むらに隠れているのに拍手をしようと考えるアホな美少女である。


 小動物のように隠れながら見ていると、シノブたちの方へと向かう二人、援護できるように一人が後ろに、もう一人が前衛を務めている二人がいた。不意打ちが難しい位置であるが、関係ない。チェックメイトである。


 ほいっと後ろの老人が草むらの近くに来た時、遥は躍り出て、地面を軽く蹴りふわりと浮く。カモシカのような脚をしなやかな鞭のようにしならせて、老人の首元へと蹴りを打ち込む。


 老人は銃を向けようとするが遅かった。おっさん少女の蹴りを受けて崩れ落ちる。


「ふっ、3日ほど寝ているのだ。筋肉老人よ」


 レッグラリアットをぶちかまして、にやりと笑うおっさん少女。にやりと笑う姿も美少女なので可愛らしい。そして古すぎて、このネタがわかる人はいないと思われる。


 もう一人がこちらへと振り向く際に、その隙を逃さずシノブが振り向いた老人の後ろに飛び出して首元を押さえる。


 漫画や映画のような気絶のさせ方である。現実では無理でしょうという感じだが、ゲーム仕様の力を持っている三人には簡単にできることであった。


 老人が全員倒れ伏して、おっさん少女は満足げにコマンドー婆ちゃんへと視線を向ける。


「どうでしょう。そろそろ降参なさるお時間です。負けを認めていただけますか?」


 ドヤ顔を相手に見せながら映画の俳優っぽいよねと、内心で先程からワクワクしっぱなしのおっさん少女である。これだけの戦いは珍しいのであるからして。


 その問いかけへの返答はアサルトライフルの射撃であった。弾道を見るに倒れ伏した老人にも自分たちにも当たらない。恐らくは老人たちから切り離すための射撃である。


 そんな攻撃では動くことはしませんよと、動揺せずに微動だにせず、遥は懐かしの短銃を取り出して、ビシッと腕を伸ばして余裕の笑みで引き金をひく。


 コマンドー婆ちゃんは素早く体を翻すが目標はお婆ちゃんでないのだ。放たれた銃弾は正確に未来予知のような弾道で体を翻したコマンドー婆ちゃんのアサルトライフルへと命中した。


 ガキンと音がしてアサルトライフルがコマンドー婆ちゃんの手から弾かれる。僅かに驚愕の表情を浮かべるが、素早くハンドガンを腰から抜こうとするコマンドー婆ちゃん。遥は再度銃撃を行い、抜いたハンドガンをも吹き飛ばす。


 今の自分はXYZで助けに来る街のハンターだよと、ついニマニマしてしまう。それほどの凄腕の銃撃であった。まぁ、銃術はレベル8である。こんなことは朝飯前だ。


 だが、惜しいかな。子供のような小柄な少女ではガンマンごっこをしているようにしか見えなかった。もちろんカメラドローンは撮影中。あとでプリントされて家の壁に貼られてしまうかもしれないシーンであった。というか、たぶん変態メイドはリビングルームに拡大して貼るだろう。


 うぐぐと呻き座り込むコマンドー婆ちゃんへと銃を戻して、てってこと歩み寄る。眠そうな目を相手に向けて


「どうやら私たちの圧勝の様子。これで取引は成立ですね」


 コマンドー婆ちゃんの前まで近づくと、コマンドー婆ちゃんの手のひらがキラリと輝いて、遥へと振りかざされる。


「反則だよ。イカサマだ。最初から私たちに勝ち目はなかったんだろう?」


 隠し持ったコンバットナイフで、遥へと攻撃をしたコマンドー婆ちゃんは苦笑いをして睨んできた。


 コンバットナイフは、遥の差し出した人差し指にて先端を押さえられていた。無論、その綺麗な人差し指はナイフを抑えていても傷一つ負っていない。


 ふふっと小さく笑みを浮かべて、遥も答える。


「そうですね。最初からわかっていたはずです。バイクの力を見たときに。とぼけても無駄ですよ?」


「あぁ、残念ながらわかっていたよ。そしてバイクを捨てても勝てると思っている奴らなんだ。この結果もね。それでも戦えると思ったんだけどね」


「映画のように、技術で劣った主人公が勝利するのはかなり難しいと思います。たぶん体を泥だらけにしても無意味ですから」


 抵抗を諦めてドスンとあぐらをかいて、コマンドー婆ちゃんが座り込む。遥は野花が咲くような微笑みでその姿を見て、これ以上戦うつもりは無さそうだねと思いながら返答する。


「さて、では仕切り直しといきましょうか。謎のドリフターがここでの交易を自由にすることを許す。自由に出歩いて問題なしということでいいですよね?」


「あぁ、まだそれを続けるつもりなら問題ない。だけどね、私たちはこのコミュニティを守ってきたんだ。方法は非難を受けるだろうが、それでも守ってきたんだ。その矜持を見せるかもしれない行動をするんじゃないよ?」


 うんうんと頷いて、ではここのコミュニティで一番気になることを聞こうと眠そうな目でコマンドー婆ちゃんへ尋ねる。


「自衛隊の人たちはどこに行ったんですか? どうやら武器を置いていったようですが」


 気になることの一つである。何が起こったのかしらと、面白い内容かなと思いながらおっさん少女は問いただすのであった。

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