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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
2章 初めての生存者と遊ぼう
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18話 おっさん少女は猿軍団と戦う

 遥はビルの壁下から出てきたミュータントを見て推測する。


サクヤは現代病からゲームじみたミュータントが生まれると言っていた。


確かに当たっていると思う。それに加えて崩壊した世界のイメージが強いのではないかと。


 崩壊した世界のイメージとは何なのか? 滅亡した世界とは違うと考える。

滅亡した世界では何もない。もしかしたら悪魔王だけ生き残っていたり最終的な進化を遂げた少女が宇宙船になっていたりするかもしれない。


だが基本的には何もないのだ。生命体は何もいないのがデフォルトなのだ。


 対して崩壊した世界とは何なのか?


 そこは過酷な世界。しかし何とかして生き残ろうとする人間が存在している世界なのだ。


舞台が、中世ならゴブリンや巨人が人間を食事にしている世界?

現代なら核で崩壊したミュータントが大量にいる世界? それらが崩壊した世界であると遥は思う。


 現代ならそれらをイメージするのに苦労はしない。何しろちょっと探せばそれらを扱う映画やゲームが手に入るのだから。


 例えば目の前の猿が崩壊した世界からイメージできるように。



 猿は2メートルぐらいのゴツい体をしていた。各所をメタリックな機械に覆われコンバットナイフを装備している。


目前の3体の猿は壁から登ってきたのである。


「モンキー!」


と叫びながらジャンプをしてこちらに襲いかかってきた。


賞金首に、なっていそうな猿軍団である。


 こちらも既に武器を身構えていたゴリラ警官隊長。


ジャンプに合わせてショットガンを猿の胴体に撃ち上げて最も近かった一体目を吹き飛ばす。


因みにゴリラ自衛隊長は、拠点が違うので少し前に別れている。


今はゴリラ警官隊長である。


ドカンドカンと周りも撃ちまくりコンバットナイフを振らせること無く猿たちを全滅させた。


「おかわりがくるぞ!」


そのまま次を待ち構える人々。


「モモンキー!」


おかわりの猿たちが3体来る。


今度はグレネード装備の猿たちである。

こちらを見て即グレネードを投げつけてくる!


メジャーデビューできそうな球速である。


「ハッ」


かけ声をあげ、グレネード上に飛び出る遥。


「たりゃぁ〜」


可愛いレキぼでぃで、可愛らしくない見事な構えで鉄パイプを振り抜く!


カキーン、カキーンと全て弾き返して、猿たちの顔にぶつけてみた。


食らった猿たちはよろめいて立ちすくむ。その僅かな時間でグレネードは起爆し猿たちは吹き飛んだのだった。


見事猿たちは引退したみたいである。


「やったね!」


ナナが遥を見て喜ぶ。


「まだ来ますよ!」


遥は気配感知に先程よりも、かなり大きな反応があったのだ。


「ウッキー!」


3メートルはあろう大猿が最後によじ登ってきた。

右腕に大型マシンガンを持ち、腰にもナイフやらグレネードを装備しており体にはプロテクター、顔にでかいゴーグルをつけている大猿であった。


どうやら最後であるらしい。

そしてボスでもあるのだろう。


ズシンと大きな音をたてて屋上に着地した。


「撃てっ!」


強い声で指示を出すゴリラ警官隊長!


再び銃弾の嵐が大猿に向かう。


しかし今度は先程とは違う結果となった。


大猿が左腕を構えると瞬時に半透明な盾が展開されたのだ。

展開式のライオットシールドな感じである。


敵が超能力を使ったことが遥にはわかった。


銃弾は全てライオットシールドらしき盾にめり込み止められる。


「ウッキー!」


と、盾を構えたまま叫ぶ大猿!


「ご主人様!さっきのはサルモンキー! 目の前の大猿はデカサルモンキーと名付けました!」


どうでもいいことを叫ぶサクヤ!


サクヤはどうでも良かったがデカサルモンキーの叫びは、遥以外には効果がバツグンであった。


 周りの人々が武器を取り落としバタバタと倒れ始めたのだ。


どうやらデカサルモンキーの咆哮はスタンか麻痺系の超能力だったみたいだ。


ゴリラ軍団対猿軍団は猿軍団の勝ちとなった模様である。


引き続いては美少女対大猿に演目は変更である。


「ありがちな攻撃だねっと」


遥は瞬時にデカサルモンキーに近づいた。


トドメを刺そうと盾を消し去りマシンガンを構えたデカサルモンキーの懐に飛び込んだ。


デカサルモンキーは即座に遥に照準を合わせてマシンガンを撃とうとしたが、遥は銃口に鉄パイプを突き入れた。


銃弾は鉄パイプに当たり弾き返される。


銃口内で銃弾は暴れまくり大型マシンガンはあらぬ方向にその向きを変える。


銃口は鉄パイプの先が入るかわからないほどぎりぎりだ。


美少女な高スペックレキぼでぃは針孔に糸を入れるがごとく精密に鉄パイプを突き入れたのであった。


ちなみにおっさんは針孔に糸を入れる際は補助器具が必要となります。


 マシンガンが弾き返されてもデカサルモンキーはひるまずに腰を落としまわし蹴りを小柄なレキぼでぃに叩き込もうとする。


遥はすぐに鉄パイプを持ち替えて防ぐが、大型のミュータントからの高威力の攻撃を防ぎきれずに吹き飛びビルの隙間に落ちるのだった。




 吹き飛んだ遥はビルの隙間に落ちていった。


ビルとビルの隙間は3メートル弱、すぐに体勢を立て直し漫画みたいな行動をとり始めた。


すなわち、ビルとビルの間を三角飛びをしながら降りるという荒業である。


小柄なレキぼでぃの体が忍者がごとく、壁の間を飛び跳ねる。


しゅたっと可愛い音と共に地上に着地するのであった。


遥がビルの屋上を見上げると、ドカーンと物凄い音がした。


吹き飛ばされる前に、デカサルモンキーの腰にあるグレネードのピンを抜いていたしっかりものの遥である。


見事にデカサルモンキーが吹き飛んだ音がしたのであった。


「やったか?」


しっかりフラグを建てようとする遥。

言わなくてもいいことを言うおっさん少女である。


 勿論、フラグはしっかりと回収され屋上からデカサルモンキーは降りてきたのである。


ズズンという音と共に着地するデカサルモンキーを横目に遥はダッシュしてその場を離れる。


物音で集まってきたのだろう、目前にはゾンビたちがビルの陰から出てくる。


それらを華麗な回避でかいくぐり、どんどん皆がいたビルを離れる遥。


ジャキッと後ろで音がする。


ちらりと後ろを見るとマシンガンを構えるデカサルモンキーの姿があった。


ドラララララという音と共に周りのゾンビが弾丸の嵐により吹き飛んでいく。


遥はすかさず右前にあるコンビニの窓に体を叩き入れて回避したのである。


ガシャーンという音と共に窓が砕けて遥がコンビニに入り込む。


電気の通っていないコンビニは薄暗く、奥に飛び込んだことにより遥の姿は全く見えない。


ドスドスという足音がしてデカサルモンキーがコンビニ前に追いついてくる。


そのまま中に入らずにマシンガンを撃ちまくった。


またもドラララララという音がして商品も棚も吹き飛んでいく。


 しばらく撃ち続けてようやく撃つのを止める。デカサルモンキーは先ほどの敵を倒したと確信して死体を確認しようと中に足を踏み入れる。


と、物音がして可愛い声がした。


「戦車はもっていないですが」


ニコリと笑って、遥はボロボロの服で店の奥から出てくる。


よく見ると服は弾丸の穴でボロボロだが体は傷一つついていない。


ちなみに黒下着も傷一つついていない。


レキぼでぃの周りはうっすらと歪んでいる。


遥はコンビニに入るとすぐにエンチャントサイキックをかけたのである。


「戦車を上回る力と装甲は持っているのです」


その言葉と威圧感に後ずさるデカサルモンキー。


「超技鉄パイプスラスト!」


まったく前回の反省を生かしていない遥は、打つ前にまたもや技名を口にだして攻撃する。


鉄パイプはその姿を歪ませデカサルモンキーを貫かんとする。


デカサルモンキーは盾を展開するが、超技の前に耐え切れずその体と共に砕け散るのであった。


「やれやれだぜ」


肩をすくめて、いつになく調子にのるおっさん少女。


「やれやれですね。ご主人様!」


物凄いご機嫌な銀髪メイド。


後でおっさんが確実に後悔しそうなシーンがその場にはあるのであった。




「さてさて、家に帰りますかね」


遥は鉄パイプを担いで帰宅しようとする。


その前にドロップアイテムを見ると珍しいアイテムがあった。


「ライトマテリアル(中)」、「バレットマテリアル(R)」である。


「やりましたね、マスター。バレットは強力な弾丸を作成できるマテリアルです」


ニコニコ笑顔で教えてくれるナインである。ようやく遥と話せたこともあるかもしれない。


「強力な弾丸か、いいね!」


クリアまでマグナムの弾を使わない派のおっさんは一応喜ぶのであった。


ニコニコ笑顔のナインが可愛いこともあったし。


 遥がデカサルモンキーとの闘いで地上に落ちたのは計算内であった。


 このまま人々の拠点になんかついていきたくなかったのである。


 そのため、チャンスを虎視眈々と狙っていたセコイおっさん少女であった。


 戦闘シーンもコンビニ内で戦ったので見られていない。

もし、この後再会して大猿はどうなったと聞かれたら、コンビニにあったバナナを大猿が食べている間に逃げましたと返答する予定の遥である。


実に雑な計画性のないおっさんであった。


 だが、帰宅前に少し迷う。帰宅することをナナに教えるか否かである。


あの人の好さそうな女警官はさよならを言わないで帰宅すると、レキが死んだと思って罪悪感でダークな女警官に堕ちそうである。


ダークな女警官にはなってほしくない遥。


ダークはトラブル的な武器に体を変化できる女の子だけで十分である。


「ナナさーん。そろそろ門限なので帰りますね~!」


屋上に向けて大声で帰ることを伝える遥。


結局帰宅することを伝えることにしたのだ。


まぁ、心が壊れている少女と思い込んでいるだろうナナである。


この言葉に焦りはするだろうが、ここまで連れ戻しにはこれないだろう。


何しろ、周りにはゾンビが着々と集まってきているのだ。


屋上から何か声が聞こえたが無視をして遥は家に帰宅するのであった。











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