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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
2章 初めての生存者と遊ぼう
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15話 おっさん少女はスケルトンと戦う

 そろそろ立体駐車場が見えてきた遥たち一行。まだまだ細道から行くので時間は掛かりそうだが見えてきたので精神的に楽になったのであろう。


ナナはこの周辺にゾンビたちがいない理由を教えてくれた。


「白バイ隊員の先輩がね、自転車でゾンビたちを引き連れて誘導してくれたんだよ。ゾンビたちをスイスイ避けていきながら、誘導していく姿はかっこいいよ!」


 なるほどと遥は思った。

映画のテンプレである音をたてて誘導の技である。

白バイ隊員なら映画と違って途中でゾンビに捕まることも少ないであろう。


白バイ隊員は昔テレビで見たが物凄い運転技術であった。バイクの性能も物凄いらしい。自転車でも大丈夫なのだろう。

漫画で暴走族がその腕前で白バイ隊員をぶっちぎる光景があるが実際にはあっさり捕まるだろうと思われる腕前だった。


 まぁ遥がその腕前を持っていても、ゾンビの誘導なんて絶対にお断りだが。


 自動車免許しかない遥はそう思った。


 白バイ隊員の勇気すげ〜と。


 因みにバイク免許は絶対に転んで大怪我すると思って取らなかったおっさんである。


 そして気づきたくないことに気づいてしまった。


 トレインされたゾンビはどこに行ったのかと。


 国道をテクテク歩いていたおっさん少女に擦り付けられたのではないかと。


 「う〜ん。まぁ仕方ないか」


おっさん少女の気配感知では白バイ隊員は見なかった。


多分引き離した所で、遥とゾンビは出会ったのだろう。


 あれでレベルも上がったしと、おっさん少女が上から目線で許そうと考えている時にもっと気になることを女警官が言ってきた。


「その間に物資の補充をしているんだよ」


パンパンのリュックを揺らして窃盗を誇る女警官である。


捕まえる方がそれを誇って良いのかと遥は思ったが、もっと重要なことをナナが教えてくれたことに気づいた。


「物資の補充? ゾンビを排除していかないんですか? 救援は?」


聞きたいことを全部聞くおっさん少女。


 誘導したということは、排除できる武力が無いということ。そして物資の補充ということは救援物資の輸送体制ができていないと思われたからだ。


遥は政府が復興を始めたのだと、先程考えていたのだ。


苦笑しながらナナは教えてくれた。


「ちゃんとした救援は無いよ。現状は私たちのグループが独自に行動しているだけなんだよ」


まじか、と遥は思った。


 警官の姿をしていて、警官らしい行動をしていたので油断した。生き残っている只のグループだったのかと。


遥はいつも油断をしているのだが。


「ごめんね、期待させちゃって。ちゃんとした政府の救援隊だと思っちゃった?」


申し訳なさそうな顔で、こちらを見るナナ。


「いえ、私が勝手に勘違いしたのです。申し訳ありません」


とバカ丁寧に頭を下げて謝るおっさん少女。


この謝り方なら、相手も強く言えないだろと思うサラリーマンなおっさん少女であった。


「ううん、私も警官の制服だしそう思うのは無理ないよ」


慌ててナナも謝り返す。


いえいえとお互いに謝り合うことに無駄に時間を使う二人だった。




 後数回細道を曲がれば立体駐車場というところで、遥は気配に気づいた。


いつもとは違う気配だが、この気配はミュータントだ。


横のイタリアンレストランの方から数体の気配がする。


ナナに教えるか迷う遥。気づいた理由を聞かれるかもしれない。


まだミュータントは店内にいて、物音もしていないのだ。気づく理由が無い。


教えるか迷う遥の前に、先にミュータントが行動をした。


あと少しでイタリアンレストランの前を通るといったときに、ミュータントが飛び出してきたのだった。


カチャカチャと物音をたてながら。


身構える二人。


そして叫ぶ遥。


「なんでスケルトンウォーリア?」


出てきたミュータントはシミターにバックラーを装備したスケルトンであった。


ゲーム的敵キャラであった。



 出てきたスケルトンウォーリアは3体。ゾンビより遅そうである。


「気をつけて!」


ナナは叫んで先頭のスケルトンウォーリアの首元にサスマタを食い込ませる。


そしてあっさりと首を支点にスケルトンウォーリアを転がし思いきりその頭蓋骨を踏み潰した。


続いて斬りかかってきた右のスケルトンウォーリアの右腕をサスマタで叩き落とす。


ぐるりと体を回転させながらサスマタで吹き飛ばした。


「すごっ!」


ちょっとこの女警官強すぎない?と、思いながら残りのスケルトンウォーリアに向かう遥。


上段からのスケルトンウォーリアの斬りつけを鉄パイプで受け止める。


「うにゅにゅ〜」


ぷるぷると腕を震わせ、私頑張って防いでます感を出す遥。

勿論防いでいる声もあざとさを狙っているおっさん少女。


ちょっとおっさんぼでぃでは絶対に言えない姿であった。


頑張ってください、ご主人様!と両手を胸の前で握りしめハラハラしながら応援をしている銀髪メイドがウィンドウに映っている。


ハラハラではなくハァハァかもしれない。


小声でカメラがあればとか言ってるし。


シミターを受け止めた遥は、パワーはゾンビが上だとわかった。レキぼでぃならデコピンで倒せそうな感じである。


だが、それをやったら人外認定されるだろうと苦戦している感じを見せているおっさん少女であった。


ナナがスケルトンウォーリアを軽々と倒しているのを見たからもある。さすがに殺られそうなら全力でないにしても助ける所存であった。


「はぁっ!」


かっこいいかけ声とともに二匹目を倒したナナが救援に来る。


サスマタで足払いを仕掛けて、倒れたところを頭蓋骨を踏み抜くという流れるような攻撃で倒した。


戦いが終わり、遥を見ながらナナは


「私、多少護身術が使えるの」


と照れながら言うのであった。


多少使える=達人並な主人公な女警官がそこにいたのであった。


因みにおっさんでは多少=全くできませんである。



 かなり驚いた遥であったが、気を取り直してお礼を言う。


「ありがとうございます。強いんですね」


ニッコリと微笑んでもみる。


多分微笑んでいるよね? と微笑んだことなど最近無いおっさんは演技をしながら考えていた。


おっさんが微笑むと周りに体調を心配されてしまうのである。


体調ではなく、頭の心配をされる可能性もある。おっさんは悲しい生き物なのである。


 だが今は適当に作ったにもかかわらず、可愛い美少女にできたレキぼでぃの笑顔である。

適当に作ったにもかかわらず、上手く可愛い美少女ができたことに少しゲームの意思も最近はあったのでは無いかと疑っているが。


多分男性キャラを作成しようとしたら女性キャラにするまで確定ボタンを押下できなかったのではないかとも思っている。


何しろサポートキャラがあれだし。


「これぐらい、慣れたから大丈夫」


とナナも笑顔で返してくれたのであった。


そしてウィンドウからはバタンという音とサクヤがレキの微笑みに負けて倒れる姿が見えた。


かなりどうでもいいことであった。



 トテトテと隠れながら歩き続けてようやく立体駐車場の前についた。


あれから何体かスケルトンウォーリアが出てきたが、ナナが全て瞬殺したのだ。


ナナ曰く骨を砕けば倒せるので、ゾンビより楽らしい。


なるほど、ゾンビだと思いきり頭を踏んでも潰せないだろう。

グニャッとなるだけに違いない。


乾いた硬い頭だからこそ砕けるのだろう。


おっさんにはそれでも砕けないだろうなとも思う。


踏みつけたらツルッと足を滑らせてスケルトンの横に仲良く倒れるだろう姿が幻視できた。


潰せるのはバイオ的ゲームのチートなキャラとレキぼでぃぐらいだろう。


 立体駐車場前についた遥たちは簡単に中に入れないだろうことがわかった。


スケルトンウォーリアが入口前の車でできたバリケード前にたむろしていたのである。


そして杖を構えてボロボロのローブを着ているスケルトン。即ちリッチっポイのもその後ろに1体見えた。


「まぁ、そうなるよね」



ゲーム的にも、簡単には入れないよね。と諦めの溜息をして遥は戦う準備を始めたのだった。




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