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コンクリートジャングルオブハザード  作者: バッド
10章 体験牧場を楽しもう
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138話 姉御は自らの行いを回想し、未来を考える

 自分が今まで過ごしてきた日を思い出す。十勝早苗は過去を振り返ることはほとんどなかったが、今日はその過去を振り返る日なのではないかと考えている。


 周囲からは轟音が鳴り響き鳴りやむことはない。その中でアタシは地上を走るSF映画で出てくるような艦の中で座りながら考える。


 そもそも牧場にバイトに来たのは、自分が畜産科に在籍していたという理由以外はない。二年生になって来年は就職活動を行わなければならない。自分としては畜産試験場か畜産関係の公務員になりたいが、倍率は凄い高いし、他の会社にも就活しないといけないだろうと考えていた。


 だから、奥多摩の牧場のバイトは就活の中で少しは有利になるかなと、簡単な考えで受けた。きっと牧場でバイトをしていましたと面接で言えれば少しだけでも聞こえは良いと思ったのだ。


 これまでも、ここの牧場にはバイトにいっていたし、問題は全くないと思っていた。仕事は繫忙期に入るだけの短期バイトだから簡単だ。大勢のお客様へ笑顔で、牛さんは牛乳を毎日提供してくれるんですよとか、ここのソフトクリームは牧場の生乳だから、きっと思い出になります。お一ついかがですか? と昔からこの牧場で頑張って働いている女の子というイメージを見せながら説明して、少し家畜の世話をすれば良いだけ。


 こんな想像もできない問題だらけとなるとは予想もしていなかった。トラブルは所詮、体験ツアーに来た人からのクレームとかだろうと考えていたのだ。そういったのはオーナーに任せれば良いので本当に取り返しのできない問題なんて発生しないはずであった。


 自分が甘い考えをしていたとは思えない。まさか世界が崩壊するなんて誰も考えもしなかっただろう。思っている人は被害妄想気味な人でしかない。


 いつも短期でやっているバイトなので、勝手知ったるなんとやらで、バイトリーダーをオーナーから任されて、ツアーの女学生と母娘グループにお昼を出しているところだった。牧場の美味しいミルクや卵を使ったオムレツなどを出して、お土産によろしくお願いしますという感じの宣伝も込めたご飯を用意していた。


 わいわいと騒ぎながら、アタシは昔から頼られやすいのか、好かれやすい性格みたいで、女学生たちや子供たちと早くも軽く打ち解けて自己紹介をしていた時だった。


 いつもトラックに乗って、オーナーが注文した大量の食料品を納めてくる男性がドアを荒々しく開けて、血相を変えて牧場のオーナーはどこにいるかと聞いてきたことを覚えている。目が血走っていて、聞かれたときには顔が近くて怖かったことを覚えている。


 なんで血相を変えているのか。もしかして注文数を間違えたりしたのかなと思いながら、オーナーの場所へと他のバイトが案内していって、私は再びツアーのお手伝いをしていた。


 しばらくして、お昼を終えて牧場体験ツアーに皆を連れていき説明しようとしていたら、オーナーたちがさっきの男性と一緒にアタシに歩み寄ってきた。


「あぁ、早苗さん。申し訳ないけど少しの間、牧場を任せていいかな? すぐに帰ってくるから1、2時間かな? 体験ツアーの手順は覚えているよね?」


 何回もバイトをしてきて覚えているので、大丈夫ですよと気軽に頷いてしまったのだ。何故簡単に頷いたのか、今でも後悔している。


「問題ありませんよ。オーナー。何かあったんですか?」


 バイトに少しの時間といえど、任せるなんて普通に考えて非常識である。なので不思議な顔を浮かべて聞いたところ、オーナーはチラチラと隣の男性を微妙な表情で見ながら早苗に視線を戻した。


「あぁ、たいしたことは無いんだ。どうも通り魔が現れて大暴れしているのかな? 大量に暴れている人がいるらしいから」


「通り魔じゃないって、オーナー! 変なんだよ! 街は大騒ぎなんだ! 大勢の人を人が襲っているんだよ? おかしいって」


「わかった、わかった。君の言うとおりなのか確認するために見に行くと言っているじゃないか」


 肩をすくめて、全然その男性の話の内容を信用をしていない感じをあからさまに見せていた。目が血走っていたので、少し精神を疲れか何かでやられているのじゃないかと心配もしたものだ。


 暴動? 今時、こんな街で? アタシが不思議に思うのは当たり前で、それでも男性を傷つけないように顔にでないように、アタシは気をつけて我慢したものだ。


 きっと何かのテレビの大掛かりなイベントでもあったのだろう。スマフォで調べてみれば良いのにと思いながらも、少しの時間とはいえ、責任者にされたアタシは張り切って任せてくださいと頷いていた。面接では、バイトにもかかわらず責任のある仕事を任されていましたと書いておこうと、内心では思いながら。


 そうして、なんとオーナーは男手を全員連れていってしまった。食料品を持ってきた人が危なそうだから、絶対に大勢でいった方が良いと頼み込んできたのだ。奥さんたちを助けにいきたいのでお願いだと頼み込んできたらしい。


 そして一緒にオーナーの奥さんたちも一緒に行くと話してきた。危機感はまるで感じられず、私と同じくイベントか何かだと思っているのだろうことは明らかだった。


「お昼を食べたら、すぐに戻ってくるから。早苗ちゃんたちにお土産でケーキを買ってくるわね」


 お茶目にオーナーの奥さんたち家族も笑いながら、イベントがあったら見てみたいわねと言って一緒に出掛けていった。繫忙期だが、お昼ご飯ぐらいは良いじゃないかという話になったらしい。


「いってらっしゃーい」


 笑顔で牧場オーナー家族とついていった男性たちが苦笑いをしながら牧場から出ていくのを見送った。


 それが牧場オーナー家族を見た最後であった。結局ケーキを買って奥さんたちは帰ってこなかった。


 それから夜になっても帰宅しない牧場オーナーたち。電気が止まり、スマフォが一斉に圏外となったことでようやく異常を感じ取ったのだが、全ては遅かった。異常をいち早くわかっていても、何もできないとは思うが、それでも私たちは牧場に隔離されてしまったのだった。


 その後は、朝になってから街の遠さにウンザリしながら歩いていこうという話になり、様子を見に行った私たちだが、街へと歩いていくまでもなかった。その途中、途中で車が放置されており、窓ガラスが割られて、体を突っ込み中の人を口も体も真っ赤にしながら歯をむき出して喰らうゾンビたちを見た。フロントガラスは血がまるでケチャップをぶちまけたように真っ赤になっており、とても現実とは思えなかった。


 まるでゾンビ映画そのものであった。恐怖に駆られた私たちはすぐに牧場に戻り、もう誰も見に行こうとは言わずに、救援隊が来るまで待とうという意見が出てきて、皆はそれに従った。


 何しろ、牧場は電気とガスが使えなくても、水は使えるし、なおかつツアーの人々などへの保存食料品などが大量にあったのだ。森の奥にあるためか、ゾンビたちもここまでは来なかったし、立て籠もるには絶好の場所である。


 そして、バイトリーダーのような感じであったアタシは、周りに頼られて流されるままにいつの間にか牧場の責任者となったのであった。





 自分の意思の無さに、口元を曲げて苦笑いしてしまう。すぐに救援隊が来るなんて信じていた楽観的な当時のアタシを殴りたい。


 映画だってそうだったではないか。いつまで待ったって救援隊なんて来ない。頭の片隅では理解していたが、被害妄想が過ぎると検討すらしなかった。いや、きっと検討したくなかったのだ。誰も彼もその考えは持っていたが、それを口にすると本当に救援隊が来なくなると思い、意見すらもなかった。


 そして私たち以外に生存者たちのコミュニティがあるとはわかったが、当時の私は刈谷コミュニティはいやらしいことをする気満々である若者たちがいる危険なグループ。間宮コミュニティはこちらの話をけんもほろろに話を聞かない自分たちのことしか考えていないグループだと思っていた。


 実際は自分たちが仲間外れにされているだけだったなんて思いもしなかった。


 あれからしばらくしてようやく救援隊が来た。待ちに待った救援隊だ。食料が厳しくなり、積雪による寒さも厳しくなってきた時にようやく不思議な美少女と共に救援隊が来たのだ。


 最初は薄汚れた痩せた少女だと思っていた。だが、気づくと痩せてもおらず、肌も傷一つ無さそうな綺麗な黒髪に天使の輪を作る可愛い美少女であった。何故最初にそんな印象を持ったのかはわからない。


「はぁ~、我ながら情けないね」


 轟音が響く中、皆が体を抱え震えている中、アタシは呟く。リーダーとか言われながら、自分は何もしていない。ただ、流されるまま、この口調と頼れそうな印象を相手に与えていただけ。


 体育座りで顔を膝に押し込めて、自己嫌悪に陥っていると外で聞こえていた轟音が無くなった。無くなる少し前に物凄い揺れと、先程までの轟音を上回る近くからの爆発音がした後に、静かになったことに気づいた。


 まだ、外からは呻き声とガンガン壁を叩く音が時折聞こえて銃声が響くが先程の砲撃音は無くなった。


「どうやら、逃げ切れたみたいね。敵の砲撃範囲から逃れることができたんだわ」


 常日頃、アタシのカバーをしていてくれる本当のリーダーである美佐江さんが安心したようにアタシに話しかけてきた。


 本当のリーダーはこの人だ。いつも判断の成否は美佐江さんにアタシはこっそりと聞いていた。自分では判断なんか、こんな状況だ。つくわけも責任が取れるわけでもない。常日頃、こっそりと頼っていた。


「そうですね。まだ壁を叩く音は聞こえますが」


「それはたいした問題じゃないと思うわ。この分厚い装甲をゾンビたちが破れるとは到底思えないし」


 美佐江さんは口元を僅かに安心した微笑みへと変えている。確かにこの分厚そうな装甲を打ち破れるほどゾンビたちは力はないだろうとアタシも頷く。


「やっぱり段ボール箱は最強なんだね!」


 美加ちゃんが立ちあがり、腕を振り上げて興奮した表情で叫ぶ。美佐江さんは苦笑いだ。確かにこの艦は茶色であるから段ボール箱に見えると言えば見えるかもしれない。美佐江さんは美加ちゃんにこの後の説明が難しそうな問題を抱えたのかもしれない。


 アタシもその発言を聞いて苦笑いをする。そういえば、あの少女はやけに段ボール箱を推していたと思い出したのだ。


 そうした私たちへと人込みで溢れており、狭い隙間を通って刈谷の爺さんと間宮さんが、人込みを縫いながらこちらに来たのが見える。


「すまない。ちょっといいか、早苗よ?」


 なぜか刈谷の爺さんはいつもアタシを名前呼びだ。昔バイトを始めたときからの知り合いだからだろうか。何を聞きたいのかわからずに、とりあえず話を聞くべきかと頷く。


 美佐江さんが表情を硬くしているので、何を聞かれるか予想がついているみたいだと思った。そういう人の機微はあんまりわからないのがアタシだ。豪快に笑って、馬鹿みたいに前向きに頑張ればいつもなんとかなったから、あんまり細かいことは苦手なのだ。


「君たちは救援隊が来ることを知っていたな? だから君たちだけはちゃんと荷物をもっている」


 内心で怒りを抑えているのが丸わかりであろう硬い表情で間宮さんが尋ねてくるので、あぁ、そういうことかとわかった。確かに、うちのグループはみんなリュックを持っていた、いざという時の荷物を持ってきたのだ。


「違うよ。アタシたちはいつでも救援隊が来たら逃げ出せるようにしていたんだ」


 本当は少女が来てから美佐江さんの意見で決めたのだが。多分美佐江さんは少女が救援隊の偵察員か何かだと察しがついていたのだろう。そのことから救援隊がいつ来ても良いようにしていたのだ。全く頭の良い人だと感心する。


 アタシなんか、少女が来てからの奇妙な現象だけど考えるのが面倒になって思考停止していた。あの少女のコントのような行動もそれなりに理由だ。全く私はリーダー失格だと自己嫌悪する。


「そんな訳があるか! 灯油も救援隊から受け取っていたんだろう! どうして教えてくれなかった? わかっていればいくらでも対応ができたのに!」


 間宮さんがついに怒りで顔を真っ赤に染めて、強い口調で責めてきた。刈谷の爺さんもこちらの返答を待って、じっと鋭い視線を向けている。


 まぁ、アタシでも怒るだろう。間宮さんの怒りは当然のことだ。この寒さで難渋しているのに、救援隊が来たことを隠して牧場コミュニティだけ物資を受け取っていたと思われるのだから。


 さすがに少女が段ボール箱から出してくれたので、救援物資とは思いませんでしたとは言えない。アタシがどう弁明しようか考えている時だった。


「あら、レキちゃんが言ってたじゃないですか? 貴方たちは私たちをいないものとして扱っていたと。間宮さん、いつ話し合いをしようと私たちに申し入れをしてきたんでしたっけ? 申し訳ありませんが、記憶にないのですが」


「そ、それは謝る……。だが、この状況だから、そのだな……」


 美佐江さんの言葉に痛いところを突かれたと詰まる間宮さんと刈谷の爺さんが疲れたような溜息をついた。


「仕方あるまい。私たちも悪かった。逃げられただけでも儲けもんじゃろう」


「しかし、刈谷さん。政府の救援隊が来たことを隠されるのは、ちょっと酷いんじゃ……」


 二人が言いあうように、顔を寄せる。あんまり良い雰囲気じゃないことがわかる。


「まぁまぁ、間宮さんもお爺さんも命があっただけでも儲けもの。それに私たちもちゃんと持ってきましたよ」


 私たちの話し合いを見守り、静かに聞いていた周りの人の中から、お婆さんがいたわるような声音で、こちらに声をかけてきた。刈谷の爺さんの奥さんだ。


「ちゃんとタンス預金はもってきましたので、大丈夫よ」


 お婆さんはご老人ならではの安心できる皺だらけの微笑みを向けてくる。


「タンス預金って、円が使えるのだろうか……。どう思いますか? 刈谷さん」


「そうじゃな、政府がこんな立派な艦で助けに来てくれるぐらいだ。多分使えるのじゃないだろうか」


 確かにこの艦は凄い高価そうだし、これを避難民救援に使えるのであれば、もう復興もそれなりに進んでいるのかもしれない。刈谷の爺さんの予想を聞いて、その言葉に周りの人々も反応して口々に話し合いを始めた。


「私もお金と通帳とハンコをもってきたわ」

「俺もいざという時のためにお金だけはもってきた」

「俺のへそくりももってきたのか、母ちゃん! いつばれてたんだ」


 いざという時のためにお金は持ってきたみたいだ。アタシはあんまり持っていない。当たり前だ。どこの人間が泊りがけのバイトで大金を持ってくるというのか。ツアーの人間だって同じだろう。持ってこれるのは地元民だけだ。

 

 話が逸れて、間宮さんも刈谷の爺さんもこちらへと責めてくるのを止めた。こちらが現金も通帳も持っていないことが状況的にわかっているからだ。復興が始まっているのであれば、役に立つのはリュックに入った缶詰や毛布ではなく、現金だからだ。


 自分たちの方が恵まれていると想像できた途端に、そそくさと間宮さんが離れていき、刈谷の爺さんだけはこちらに話しかけてきた。


「早苗よ。いや牧場コミュニティの面々も何かあれば手伝うぞ。難民キャンプに着いたら相談しようじゃないか」


 そう言って刈谷の爺さんは離れていった。相も変わらず人の好い爺さんだと、アタシはその変わらぬ態度に安心する。


「残念ながら、三つのコミュニティが仲良く暮らしていこうという、レキちゃんの行動は無意味になっちゃったみたいね」


 嘆息して落ち込んだ表情で呟く美佐江さん。仕方ないことだが、避難のタイミングが悪かった。仲良くなる前の握手すらしていないのだ。


 そうして、自分たちのような女子供だけで何ができるのかを不安に思っているうちに放送が流れた。


「もう少ししましたら、上野小拠点に到着します。そこで小休憩後、若木コミュニティへと移動します。繰り返します……」


 どうやら小休憩ができるみたいだ。余裕ができて、ほっと安心する。とりあえずは生きていくことが難しくても頑張るしかないのだ。不安なことを考えるのをやめるのはアタシの得意技だ。


「ようやくトイレ休憩かい! ちょっとこのツアーバスは待遇が悪いんじゃないのかい?」


 おどけて茶化して、みんなに聞こえるように大声で誰に言うでもなく声をかける。その言葉にみんなもくすりと笑い緊張が少しだけ抜けたように見えた。


「そういうところが、早苗さんのリーダーたるところね」


 美佐江さんの直球の言葉に照れてしまう。あんまり褒めてほしくない。何しろ考えなしのリーダーだから。


 重厚な金属が響きを上げて、ハッチを開けると自衛隊なのだろうか。制服と銃を持った人々がハッチの前に立っていた。


「パパ! お仕事終わったの?」


 ハッチに並んで迎えに来ていた自衛隊の人を見て、突然に美加ちゃんが叫んで、ハッチから飛び出すように走って出ていき、先頭にいた自衛隊の人に顔を輝かせて嬉しさいっぱいで抱き着く。


「美加! 生きていたのか……。美佐江も生き残っていたのか!」


 表情を驚きに染めている自衛隊の人。周りの奥さんグループの中でも何人かが驚きの声を上げて自衛隊の人に駆け寄っていた。


 美佐江さんも驚きで表情をいっぱいにしていたが、すぐに目から涙を流し始めて言葉を発した。


「あなた。仕事が終わるのが遅いのではないかしら?」


 言葉を詰まらせながら、泣き声での語り掛けに、恐らくは以前に言っていた美佐江さんの夫なのだろう人がやはり涙を目元に溜めながら答えた。


「あぁ、待たせたな、すまない」


 そうして、きつく両手を背中にまわして二人は抱き合った。感動的なシーンだ。生き別れの家族が会えた瞬間だ。私も釣られて幸運な家族を祝福して涙を少し流す。


 その感動的シーンで私は思った。この蝶野さんは少しは偉い人なのかもしれない。ならば、難民キャンプでも助けてくれるかもしれないと。どうやら予想外に奥さんグループに頼れることができそうだと。


 そんな考えに陥る自分に自己嫌悪するが、まぁ、これからも頑張っていけると希望を持ったんだと、いつもの楽観的考えに至りアタシは自分を鼓舞する。


 だが、そんな希望はあっさりと違う希望に打ち破られた。数日して回収された牛や鶏、山羊を、これまたいつの間にか作られていたらしい牧場に放牧するので、その世話をするように雇われたのである。


 未来とは常に予想外だとアタシは思い知ったのだった。


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