「しおり」
3話~6話の間のお話です
彼と再会した数時間後、私は枕に顔を伏して横になっていた。
どうしよう修三君と再会しただけじゃなくて連絡先まで交換しちゃった
思わず枕に回した腕に力が篭る。彼は私をみて逃げたりするかもしれないと不安はあったけれどそれどころか挨拶を返して連絡先まで交換してくれた。修三君はあのことがなかったように接してくれたけど私も中学生のときの接し方で良いのかな?
そんなことを考えながら私はスマートフォンに手を伸ばした。
〜〜
数日後、私は修三君と出会う前に落ち着こうと町の図書館の中にいた流れてくる優雅なクラシックの音楽を聴きながら本を選んでいると司書の方と目が合い挨拶を交わす。
何を読もうかな
当てもなく本棚をウロウロと彷徨っているとふと『中年探偵団』という本が目に入った。昔学級文庫として教室に設置されていた本の一冊で内容は中年の男性が探偵団を組んで怪盗と勝負を繰り広げるといったものだった。
確か最後は……どうなるんだっけ
懐かしさに駆られて本を手に取ってパラパラとめくるとヒラヒラとページとページの合間から一枚の紙が床に落ちた。誰かこの本を借りた子が貸出期限の紙をしおり代わりに使っていたんだろうと身を屈めて拾う。
「あっ……」
不意に飛び込んできた名前に良い話題ができたなあ、と思わず笑みがこぼれた。