表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/82

第47話「屋台を見て回ろう」

 花火の前に腹ごしらえも兼ねて屋台を見て回ることになったオレ達。しかしこの屋台での真の目的はただ1つ! 櫻井さんに風車(かざぐるま)をプレゼントすることだ!


 前にテレビで風車を回す可愛い女の人の姿を見た。そこから考えたのだけれど風車をフーフーする浴衣姿の櫻井さん、もう想像するだけで顔が赤くなりそうだ。


「修三君、大丈夫? 顔赤いよ? 」


 実際赤くなっていたようだ、櫻井さんが心配そうに顔を覗き込んでいた。


「あはは、大丈夫だよ! それよりさ、櫻井さんは何か屋台で買いたいものはあるの? 例えば風車とか風車とか風車とか」


 さり気なく彼女に尋ねると唇の近くに人差し指をあてながらしばらく考えた後に答える。


「残念だけど風車ってここの屋台にはなかったと思うよ」


 何ですと! ? 風車欲しいってバレているばかりかこの店にはない? 花火はたまに家族で見にきてはいたけれど屋台はあまり訪れないので知らなかった! というかこの流れだとオレが風車欲しいみたいになってない! ? ええいもうヤケだ!


「そっか~それは残念だったなあ、じゃあ何か食べるために見て回ろうか」


 彼女が微笑んだのを肯定と捉えて屋台を端から見て回る。金魚すくいにお面、綿菓子、たこ焼き、チョコバナナ、リンゴ飴、焼きそば、お好み焼き、かき氷と豊富に並んでいた。


「よし、たこ焼き食べよう櫻井さんは決まった? 」


「じゃあ私もたこ焼きにしようかな」


 こうして2人で並んでたこ焼きを購入する。しかしここで1つ問題が発生した。


「何処で食べればいいんだろう」


 食べる場所が見当たらないのだ。男同士ならともかく立ち食いは櫻井さんにはさせられない!


 オレがそうして悩んでいるのを見て櫻井さんが手を引きながら言った。


「こっちに飲食コーナーがあるんだよ」


「そうなんだ、知らなかったよ」


「修三君ここのお祭りで見かけなかったからね~」


 彼女がどこか懐かしそうな眼をして呟いた。


「櫻井さんってもしかして大学の時も毎年来ていたの? 」


「まあね~」


 新しい発見だ、櫻井さんって意外とお祭り好きだったんだなあ。


「ところで修三君、そのリュックサックの中には何が入っているの? さっきから気になっていたんだ~」


 彼女がオレのリュックサックをみつめて尋ねたのですかさず答える。


「夢が入っているんだよ」


「何それ~」


「まあ、もうすぐ分かるから」


「そうなんだ、じゃあ楽しみにしておくね」


 何故オレが今日リュックサックを背負ってきたのか。それはこの中に入っている者が関係している。何とこのリュックサックの中にはレジャーシートと………………ゴミ袋が入っているのだ!


 屋台を回るとなれば何かを買うことになるだろう、そしてそれを食べるとなると必ずゴミが発生する。そこで櫻井さんがごみの処理に困ったところでさり気なくオレがリュックサックを開けゴミ袋を取り出す。彼女はなんて気の利く男なのだと惚れることだろう!


 そんな会話をしながら歩いていると飲食コーナーに到着する。それから数秒足らずでオレの視線はある一点に釘付けになった。


 飲食コーナーには敷かれたブルーシートの上に長机と椅子、そしてゴミ箱があった。


「ご、ゴミ箱! ゴミ箱? ゴミ箱! ? 」


「修三君、ゴミ箱がどうかしたの? 」


 首をかしげながら尋ねる彼女を前にオレは下見を怠ったことを悔いるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ