表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーンゴーストⅡ『コルセニーの紋章』  作者: ゆめあき千路


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/75

066:銀の護符は闇に隠された秘密を語る④

 護符が記憶しているアイミアの半年間の軌跡を解析する。一気に読み取った情報の塊を丁寧にほぐし、始まりから終わりまでを、順を追って整理していく。

 ユニスの脳裡に鮮やかな映像が展開した。


 その夜も『セルレイ』は大勢の客でにぎわっていた。クリスタルシャンデリアがきらめき、音楽が流れ、店内には強い酒の匂いが漂っている。

 店の奥の個室で、屈強な男達が乾杯していた。

 アイミアは、そこへ堂々と入って行った。裏社会の情報屋を通じ、コルセニーの使徒の首領へは、ツナギをつけてあった。

「まっとうな表の護衛戦闘士様が何の用だい。この店の裏の顔をわかっていて俺達に声をかけたんだろうな?」

 髭面の首領はニヤニヤしてアイミアを歓迎した。アイミアは美女だ。守護聖都フェルゴモールの腕利き女護衛戦闘士(ガードファイター)としても顔が売れている。

「あら、その理由は仲介人に聞いてくれたんじゃないの」

 アイミアは軽く笑い、ここへ来るために用意していた嘘の事情を繰り返した。

 危険な護衛戦闘士の仕事から引退したい。

 そのためには、手っ取り早い方法で、まとまった金が欲しい。

 フリーで仕事をする護衛戦闘士にはありがちな理由だ。

「あんた、大貴族の御令嬢じゃなかったか?」

 首領はジロジロと、値踏みするようにアイミアを眺め回した。疑われているのだ。アイミアは微笑みで返した。

「名門貴族と言うだけで、爵位と財産を相続した者以外は、自分で稼がないと生活できない程度に貧乏なのよ。貴族にはよくある事情だわ」

 アイミアの出自は守護聖都の貴族の中でも名門中の名門だ、とユニスは聞いたことがある。だが、守護聖都の貴族社会は閉鎖的だ。庶民が知り得るゴシップやスキャンダルは大海のほんの一滴。大貴族の御令嬢であるアイミアの普段の生活なんて、ユニスですら知らない。強盗団ごときが調べたってわからないだろう。

「私は『コルセニーの紋章』に興味があるのよ。一口乗らせてくれないかしら」

 新しい古代理紋の発見は、一攫千金と同義語だ。金が欲しくて遺跡に入る人間なら、誰でも一度は考える。自分が未知なる古代理紋の発見者になることを。

「古代理紋を扱えるシェイナーは帝国でも限られているわ。当てはあるの?」

 アイミアは魔物狩人バシルを推薦するつもりだったようだ。アイミアはプリンスの指示で動いていた。コルセニーの使徒にプリンスが招かれ、セルレイを訪れるその日、強盗団を一網打尽にするという計画の一部だった。

 ユニスは眉をしかめた。

 どこかの時点で、時空軸の改変が起こっている。

 タイムスリップする以前の時間では、プリンスは魔物狩人バシルに変装して、セルレイに来ていた。その時、コルセニーの使徒は魔物狩人バシルを仲間に勧誘したと、プリンスから聞いた。

 時空軸の改変前にコルセニーの使徒と接触を持ったのはプリンスだ。

 だが、時空軸の改変後は、アイミアになっている。そして、コルセニーの使徒は、魔物狩人バシルを勧誘するどころか会ってもいない。

 ユニスは胸の奥がざわめいた。改変の起点はどこだろう。妙に気にかかる。それがわかれば、この時空間の、こんがらがった謎が(ほど)けるような気がするのに……。

「あんたが仲間になりたいなら、やってもらいたいことがある。あんたが守護聖都で信用があるのも好都合だ。うまくやってくれれば、みんなが儲かるいい話だ」

 首領は上着のポケットから一枚の写真を出した。

 それは、ユニスを撮影した写真だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ