悪友たちの夕べ -ビスター目線-
男子のわちゃわちゃ楽しいですよね。
ちなみに、男子の歳と家柄を補足します。
★クレール=ジョビニア 20歳(公爵家嫡男)王都に程近い草原エリアを領地とする
★ビスター=エタローン 20歳(侯爵家次男)北西の鉱山エリアを領地とする
★ゲイル=コンタージュ 25歳(侯爵家嫡男)東の港エリアを領地とする
お兄ちゃんが一番年上さんです。
「よお!遅くなった!って、クレール潰れちゃったのか?おーーーい。」
そこに現れたのは、コンタージュ家嫡男ゲイル=コンタージュ。
ミルクティー色の短髪、琥珀色の瞳に知的な黒縁メガネが光る。
外套を入り口付近の物掛けに掛けると、酔いつぶれたクレールに近づいた。
「ゲイル!久しぶりだな。」
片手をあげ親しげに挨拶する。
「あぁ。久しぶりだ。去年の秋ぶりだな。」
その手に軽くハイタッチして、ニィと笑う。
「今日は随分遅い到着だったな。」
いつものゲイルなら、今季の貴族領地の情報を集める為、早いうちから合流するのに。
今回は宴もたけなわな時間だ。
「あぁ…。胸糞悪い馬鹿貴族が、俺の可愛い妹を傷物にしやがったんだ。だから俺はあんな男を婚約者にするのは嫌だったんだ!!あー、そんで、そいつに報復してきた。」
「傷物って、その男に襲われたとかか?でも婚約者なんだろう?手出してもよくねぇ?」
「ちげーーーっよ!左手に傷を作ったんだ。まぁ、もう大丈夫だが…。そんな奴に、妹は渡せない。婚約は破棄になった。」
「……シスコン。」
「うっせい。」
ゲイルは、10歳離れた妹をそれは可愛がっている。それは奴の親侯爵家夫妻も同じで、俺たち男友達にも合わせた事はない。
なんでも、俺たちは“よくない虫”にしか見えないらしい。
ゲイルはまだ胸糞悪いのか、酒を煽りながら、ぶつぶつ言っている。
「でも、いいのか?貴族社会で婚約破棄なんて、女側に不名誉な噂着くだろ?」
貴族社会の決まりごとには、極力鈍感でいる俺でも分かる。
婚約を破棄する場合、たいてい女側が立場が弱い。次の相手を探すにしても、その噂で中々決まらないこともあるらしい。
「 この俺が、そんなことさせるわけない。 」
「……そーかよ。」
一瞬、その部屋の空気が冷えたような錯覚を覚えた。
ゲイルという男は、本当に恐ろしい男だ。
こいつだけは敵に回したくない。
俺は、ゲイルの酒のグラスに自分のグラスを合わせた。
「やっぱりシスコンじゃねーか。」
俺は、シスコンゲイン(悪友)に、苦笑するしかなかった。
おまけで、
☆ラフィニア=コンタージュ 15歳
10歳も離れた兄妹なら、お兄ちゃんシスコンになっちゃいますな。
次話でヒロイン目線に戻りましょう!