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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第96空間 対策対応の模索、及び日常の側面

「ま、そういう事もあるってのは分かったよ」

 元の世界との接点が少ない、関係性が薄いというのは理解した。

「今までを気にせずやってけるって事でもあるだろうし。

 ここでのこれからについて考えていこう」

 そう言って話と頭を切り換えていく。

 今はすぐにでも伝えなければならない事もある。

「急いで守りを固めた方がいいかもしれない。

 相当強いモンスターも出てきてる」

 遠く離れた場所での出来事と、帰り道に出会った強力なモンスター。

 それらについて語っていく。

 今後の対策を考えるために。



 話を聞いていたカズアキとテルオは、どんどん顔が強ばっていった。

 遠く離れた所の事であるが、出現数も強さもこの近隣より上回ってる場所の事。

 そこからの帰り道で撃退せざるえなかった強力なモンスター。

 どちらも貴重な内容だった。

 あまりにも危険過ぎるだけに。

「それは、すぐにでも対応をとらないとまずいでありますな」

「今居る者達だけでも集めよう」

 テルオが近くにいた者に声をかけ、出来るだけ多くの者に集まるよう指示を出す。

 カズアキはトモキ達から聞き出した話をまとめていき、紙に書き出していく。

 手にした情報はそれほど多くはないが、それをもとに出来るだけの対策を考えていく。

 やがて集まった者達にも情報を伝え、同じように対策を考えていく。

 誰もが真剣に新たな事態への対処を考えていった。



「それじゃ、頼むぞ」

「はいよ」

 とりあえずまとまった情報をもって伝令が走る。

 同時に、追加の人員も送り込まれていく。

 モンスターがやってくる可能性のある場所を強化しておかねばならない。

 交代の時間ではないが、急ぎ人が集められていった。

 同時に、あちこちに拡大してる戦闘場所から人を連れて帰るよう指示も出していった。

 広く薄く展開してる者達を、極力集中して配置するためである。

 今のままでは簡単に蹴散らされてしまう。

 そうなる前に、出来るだけ人を集めておかねばならなかった。

 居住地の空間の出入り口になるトンネルに集中的に配置し、更にトモキ達が通った道の方にも人を集めていく。

 モンスターが馬鹿正直にトモキ達を追いかけてくるかは分からないが、一番可能性が高い場所の防御を固める必用があった。

 他にも、出来るだけの陣地構築などをしていく事も検討されているが、そこまでやっている時間はない。

 堀や柵などは現状のままでどうにかするしかなかった。

 それらも今後は増強していく事になるだろうが。



「とりあえずこんなところでござるな」

 一通り指示を出し終えたカズアキが肩の力を抜く。

 まだまだやらねばならない事は多いが、とりあえずの手を打ったので少しだけ気が楽になった。

「ただ、レベルをあげねばどうしようもないのも確かであります」

「相当上がってるから、それなりに対処出来るんじゃないのか?」

 トモキ達が遠出してる間に全体のレベルも上がってるはずである。

 レベル10が他に何人もいてもおかしくはない。

 だが、カズアキは首を横に振る。

「レベル10になった人は確かに何人かいるであります。

 でも、その前に日常作業の方に鞍替えして、そちらのレベルを上げていった人達も多いでござる。

 戦闘が出来る人もいるでありますが、話に出て来たモンスターとやり合える人はそう多くはないでござる」

「このあたりじゃレベル5にもなれば十分モンスターと戦えるからね。

 そこまで上げる必要もないから」

「自動車や道具などを手に入れたりもしたでありますから」

「開発優先に切り替えたりもしてたしね、貢献度の使い道は」

「それでこのあたりも随分発展したでありますが……。

 なかなか上手くいかないものでござる」

 強力なモンスターの接近までは考えていなかった。

 それも、レベル10を含むトモキ達一行が苦戦するほどのものが出て来るなどとは。

 一足飛びどころか、一気に敵が強力になってしまった。

 さすがにこれは予想外すぎた。

「強くなるにしても、もう少し落ち着いたものだと思っていたでござるが」

「900カ所あたりだったらその程度なんだけどな」

「色々と予想を上回ってくれるよ、本当に」

 テルオの嘆きが彼等全体の気持ちを示していた。

 ある程度問題を凌いだと思った矢先の事である。

 今後は安全を確保した場所で落ち着いて発展をしていけると思っていたのだ。

 それがまた覆された。

 簡単には落ち着かせてくれない。

「また、戦闘能力を高めないといけないね」

「とりあえず何人かは成長に専念させましょう。

 その方法を考えないといけないでありますが」

「だとして、どうやるかだよなあ……」

 強力なモンスターに対応できるだけの人材を育成する。

 その為の方法をどうにかして考えねばならなかった。



「……お待たせしました」

 昼が夕方になり、夜に変わってから更に二時間。

 まだ続く会議にヒトミが差し入れをもってくる。

「遅くまで頑張るのもいいですけど、ほどほどに」

「はいはい」

「分かってますよ」

「肝に銘じるであります」

 それぞれがそれぞれの返事をしながら、トモキ達は夜食を口にしていく。

 トモキは久しぶりに人の手による飯にありついた。

「やっぱ美味いわ。

 弁当ばっかじゃ飽きるからなあ……」

「まだ料理を身につる者はいないでありますか」

「そんな余裕がなくてさ」

「燃料を手に入れながらだもんね」

「戦闘力を優先しなくちゃならなかったのもあるし。

 やっとこさ最近は多少の余裕が出来たかなって思ってたんだけど」

 それも強力なモンスターが出て来た事で振り出しに戻された。

 まだ、幾つかレベルを上げないとどうしようもなさそうであった。

「レベル15……余裕をみてレベル20。

 それくらいまで上げないと安心出来ないかもしれない」

「かなりきついでありますな」

「すぐにそこまで上がれる人はさすがにいないね」

 戦闘を中心に頑張ってる者達を優先して強化するにしても、随分先の事になる。

 モンスターの到着があるのかどうかも分からないが、出来るだけ短期間で対応できる人間を用意しておきたかった。

「やっぱり、一人に集中させるしかないでありますな」

 以前、自動車を入手するためにとっていた方法である。

 今も高価な道具を手に入れるためにやっている。

 戦闘は一人でやってもらい、夜間の警戒などのためにそこに数人が同行する方法だ。

 戦闘をする者だけに貢献度が集中するので他の者達は損をするが、一人を集中して鍛えるなら最善の手段にもなる。

 とりあえずはこの方法で少数の者のレベルを上げていく事にする。

 全体の底上げはそれからになるだろう。

 その順番をどうするか、誰をどのように強化するかを考えていく。



「また難しい顔をしてる」

 ヒトミがそんな三人を苦笑しながら見つめている。

 しょうがないなあ、と表情が語っていた。

「あまり無理しちゃ駄目ですよ」

「はいはい」

「分かってるであります」

「気をつけるよ」

「──口だけにしないでくださいね」

 そう言ってヒトミは彼等が会議をしてる食堂から出て行く。

「先に帰ってますから」

「ああ、おやすみ」

 カズアキがそんな彼女に声をかける。

 と、テルオがわざとらしいほど盛大なため息を吐いてカズアキの背中を押した。

「そうじゃないだろ。

 ちゃんと送っていけ」

「いや、でも、まだ仕事が」

「そんなのあとでいいから。

 家まで送ってきなさい。

 外の空気を吸うのも兼ねて」

 強引に立たせてカズアキをヒトミにくっつけていく。

 そんな三人をトモキは「あれ?」と思いながら見つめる。

 無理矢理という感じはしなかったが、いささかテルオの行動が強引に思えた。

 そうでありながらも、カズアキはそれを振り払いもせず、ヒトミは笑みを浮かべながらそれを見ている。

 食堂をカズアキとヒトミが出ていくまで見つめていたトモキは、二人を追い出して戻ってきたテルオに目を向ける。

 言わんとする事を察したテルオは、トモキの尋ねたいところを正確にくみとって答えた。

「あの二人ね、結婚したんだよ」

「…………え?」

「まだ何ヶ月……半年にはなるのかな?

 それくらいしか経ってないけどね。

 でも、なんだかんでで一緒にいる事も多かったし。

 そろそろ身を固めた方がいい年頃だったから」

「はあ……そうなってたんだ」

 全然気づかなかった。

 二人と接する機会がここ何年か少なくなっていたら気づく事もなかった。

「まさか、そうなってるとは」

「意外だった?」

「うーん、どうだろう。

 まあ、同期だし一緒にいる時間も長かったっていうなら、そういうのもありなのかな」

「まあねえ。

 ここに来て長いし。

 なんとなくそうなってたんだよね」

「どのくらいなんですか、二人が付き合ってたのって」

「そこはよく分からないよ。

 なんとなくそうなってたけど。

 いつ頃からかな」

「テルオさんも良く知らないと」

「こっちに来て一緒になるようになったのも最近だしね。

 その頃には、何となく良い雰囲気になってたよ」

 そうであるなら、もう2年や3年ほどはそういう関係の時期が続いていたという事になるだろうか。

「だったら分からないわな。

 俺、外回りばっかりしてたから」

「戻ってきても、そんなに滞在してなかったしね」

「周りがどうなってるのか知りたかったもんで」

 足を使い、車に乗ってとにかく周辺を調べようとした。

 苦労の割に手に入った情報はそれほど多くはなかったが、居住地やその周辺に留まっていたら分からない事もあった。

 だが、居住地における様々な変化については本当に何も分からないままになっていた。

 目に見えて変わっていく部分はともかく、形にならない部分はどうしようもない。

 人の気持ちや繋がりなどもその一つだった。

「でも、あの二人がね……」

 なんだかんだで長い付き合いである。

 それだけに色々と感じるものもあった。



 カズアキとヒトミ、両方ともそれほど人付き合いが得意ではなさそうだった。

 カズアキはネットでの喋り方というか書き込みそのままというか。

 特徴的な喋りでないと上手く話せない質のようであった。

 独特な話し方は、それが身についてるというのもあるが、そういうキャラ作りをしてないと他者と接する事が難しいからであるという。

 一度、口調について話合った時にそんな事を言っていた。

 コミュニケーション障害というほどではないのだろうが、対人能力がそれ程高いわけでもないらしいと感じたのをおぼえてる。

 ヒトミもヒトミでそれほど積極的な性格ではない。

 引っ込み思案というか、あまり自分を出そうとしない。

 押しつけがましくないのは美点であるが、存在感すら感じられない時があるのは多少問題であった。

 それでも時間が経過するごとに会話の流れに入ってくるようにはなったが、発言自体はそれほど多くはない。

 また、顔なじみでなければなかなか上手く話せないでいた。

 おかげで、新人が増えてからもそれほど友人は増えなかったようだ。

 そんな不器用な二人が一緒になったというのだから、世の中何がどうなるか分からない。

 あるいは、不器用だからこそ似たような性質の者同士で意気投合したのかもしれない。

 何にしても、お互いが相手を認めたのは確かなのだろう。

 夫婦となって添い遂げる程には。



「お祝いでも保っていった方がいいのかな……いかないとまずいか」

「まあ、ちょっとしたものでも上げた方がいいだろうね」

「でも、何がいいですかね」

「そこはねえ……何ともいえないね」

 こういう贈答品の選択はなかなかに難しい。

 気の利いたものをと思うが、考えすぎておかしなものになってもいけない。

 程よくさりげなく、が理想なのだろうが、それが難しい。

「モンスター対策も大変だけど、こっちもかなり難しいですね」

「それがまた楽しいところでもあるんだけどね」

 少なくとも血なまぐささはない。

 明るく楽しく考える事が出来る。

「こっちの方はそうはいかないのが辛いよ」

 そう言って机の上にひろがった様々な対策案や資料を見渡す。

 この近隣空間の繋がりと、そこに配置する人員の選考。

 一人一人の能力と、よりよい組み合わせ。

 モンスター対策の為の成長もあわせて考えると、これがかなり難しい。

 今まで決められていた交代・当番の見直しもしていかなければならない。

 やるべき事は数多い。

 それでいて、やっていて楽しいと思う事がほとんどない。

 緊張感と危機感に煽られるストレスだらけの作業である。

 なのに優先順位は最高位になるのだから質が悪い。

「なんでこんな事やらなきゃならないんですかね」

「そりゃあ、こんな所に放り込まれたからなんだろうねえ」

 テルオの言葉にため息が漏れた。

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