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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第94空間 追跡5

 倒した敵から核を切り取り、形を崩壊させていく。

 手にした核はトモキが受け取り、収納品に入れていく。

 操気法を身につけてから分かった事だが、モンスターの核は操気法を用いる事が出来る。

 使えば消耗する自分自身の気力などの代わりに用いる事が出来た。

 なので有効活用が出来るトモキが核を皆からもらっていた。

 現状では他に活用も出来ないので特に問題は出ていない。

 手元から核が消え、無事に収納されたのを見て、トモキ達は車に戻っていった。

 車に損害はないのでこのまま移動を開始する。

 一旦後進して丘から抜け、それから本来の道へと戻っていく。

 再び帰還の途についたトモキ達は、しかし重い沈黙を発生させていた。



(かなり強力な奴らだったな)

 運転を任せ、荷台に腰をおろしていたトモキはそんな事を考えていた。

 久しぶりに生死の境目に立たされた気分だった。

 実際、何かがまずい方向に傾いたら死ぬ危険があった。

 ここが開けた場所だったら、今頃こうして車に乗ってないだろう。

 死体となってのせられてた可能性の方が高い。

 森の中で隠れる場所があったからこそどうにかなっている。

(それでもああだったからな)

 決して楽が出来たわけではない。

 2体相手に頑張った方ではあるが、仲間が駆けつけてくれなかったら今頃死んでいただろう。

 こうして生きてるのが不思議なくらいだった。

 生きた心地など全く持てなかった。

 他の者達も同じようで、全員口をつぐんでいる。

 表情も顔に浮かんでおらず、ただ呆然としている。

 喜怒哀楽といったものが、生気すらも今は遠い。

 何も考えないどころか、何も感じる事が出来ないようであった。

(こんな苦戦、無かったからな)

 無理もないと思った。



 強いモンスターは確かにいた。

 800カ所を超えた所からあらわれた始めたものたちは、今までのものより確かに手応えがあった。

 だが、どれほど強くなったといっても、今まで出て来たモンスターは対処出来る範囲の強さである。

 レベルが上がり楽勝で戦えるようになったのが、多少手こずるくらいになったというのがほとんどである。

 歯が立たない、互角以上に渡り合うほどの敵は存在しなかった。

 だが、先程の敵はそれらを軽く凌駕していた。

 かなわない事は無かったが、死を覚悟したのは本当に先ほどが久しぶりだった。

 頭が真っ白になっていくのも無理からぬ事である。



(まあ、生きてるからいいけど)

 その一事を以て良しとしたかった。

 大怪我もない、死者も出てない。

 全員、無傷ではないかもしれないが生きている。

 疲労は大きいが、回復出来ない程では無い。

 そうであるなら、これから先の事を考えていける。

 今回、かなり手こずったモンスターとも互角以上に戦えるようになる機会がある。

 レベルが上がれば、今まで通りに手強いモンスターとも対決していける。

 上げるのに時間はかかるが、時間があればどうにもでもなる。

 落ち着く為に自分に言い聞かせているだけではあるが、嘘ではない。

 今後何ヶ月かモンスターを倒し、レベルを上げれば先ほどのモンスターにも対処出来るようになる。

 出来るようにならねばならない。

(あれで終わりじゃないだろうし)

 先ほどのモンスターが最初で最後とは思えなかった。

 数はそれほど多くはない(と思いたかった)だろうが、まだ他にも同等の強さを持つものはいると考えられる。

 だからこそ強く成らねばならなかった。

 もし先ほどのモンスターが今後も出て来るとなれば、対応できる人間を増やしておかねばならない。

 居住地の者達もレベルを大分上げてると思うが、それでは全然足りない。

 レベル10になった者がいても苦戦したのだ。

 そこから更にレベルを上げねばならない。

(レベル15……いや、20くらいは必要かも)

 手合わせした体験からそれくらいは必要に思えた。

 それも、出来るだけ早く。

(また来るかもしれないからなあ……)

 それもまたあり得る可能性、むしろ必然にすら考えられた。



 先ほどのモンスターは、トモキ達を追跡していた。

 どこからどう辿ってきたのかは分からないが、車を追いかけていた事からそうであろうと思えた。

 となれば今後もトモキ達を追いかけてくる可能性がある。

 いずれ再戦もありうる。

 それがいつになるかは分からないが、いつかその時が来る可能性は高い。

 うかうかしていられない。

 あのモンスターの足の速さは尋常ではない。

 時速50キロの自動車を追いかける事が出来るほどなのだ。

 その速度で第二陣、第三陣と続いてるなら程なく対決を余儀なくされるだろう。

 それまでに少しでも強くなってる必要があった。



 車を停め、野宿に入ってからトモキはそういった事を皆に伝えていった。

 これからもレベルアップに励まねばならない。

 あのレベルの敵がまだ出て来るなら、強さはどれだけあっても問題は無い。

 むしろ、ここで頑張らねば今後どれだけ危険になるか分からない。

 今の状態で再び遭遇すれば、ほぼ確実に負ける。

 負けるは大げさだが、この中の何人かが再起不能、あるいは死亡するのは目に見えている。

 地形的な有利を利用して何とか撃退したが、実際にはかなりギリギリでの勝利だったのだ。

 もし、開けた所で戦えばひとたまりもない。

 レベルアップは必須であった。



「それにな」

 ここが一番重要だとトモキは続ける。

「このままだと、おそらく居住地までやってくる。

 あいつら、俺達を追跡していたはずだ。

 どうやってるのか知らないが、確実に俺達をとらえていた。

 実際はどうだか分からないけど、もし本当に俺達の後をついてきてたなら、確実に居住地まで来る」

 匂いを辿ったのか、轍を見つけてきたのか。

 そのどちらにせよ、居住地まで続いてる。

 モンスターがやってくるのは目に見えていた。

「確実に倒せるようになっておかないと駄目なんだ」

 今のところ、居住地は彼等が落ち着ける唯一の場所である。

 そこを失うような事にはなりたくなかった。

 他の者達も同感のようで、無言で頷くにせよ、声に出して返答するにせよ、全員がトモキの意見に賛同した。

「ま、燃料も少ないから、とりあえず貢献度稼ぎも必要だしね」

「それもそうですね」

 今の状態では居住地に到着するまで燃料が保たない。

「だから、適当なところで稼ごうと思う。

 あと何カ所かくぐり抜けたあたりでやろうと思う」

「また、一ヶ月くらい頑張る事になるんですね」

 貢献度の貯まり具合というか、出て来るモンスターの数からすると、それくらい頑張らねば十分な燃料代を稼ぐ事が出来ない。

 しかしトモキは、

「いや、もうちょっと頑張る事になると思う」

と言った。

「なんでです?」

「今回は全員一緒にやろうと思ってるんだ」

「全員って、この全員ですか?」

「そうだ」

 それを聞いてトモキ以外が驚いた。

 今の強さなら、半分の人数でもモンスター退治は余裕で出来る。

 実際に3人ずつに分かれてトンネルの前に貼り付いてモンスターを倒している。

 強力なものがあらわれた800カ所から先では全員一緒にやっていたが、大分戻ってきた今いる当たりなら、再び少人数でやる事も出来る。

「やっぱり、今日出たあいつがまた出て来るかもしれないからですか」

「そうだ」

 短く頷いた。

「今日みたいなのがあらわれるかもしれない。

 そうなったら、全員いないとまずい。

 絶対に死ぬ」

 だからこそ、6人全員でいなければならなかった。

「気にしすぎかもしれないけど、今は全員一緒でやっていこう。

 もっとレベルを上げないと危険過ぎる」

 これもまた全員頷いた。

 誰一人反対する者はいない。

「となると、二ヶ月くらいかかりますね、燃料代を稼ぐのも」

「こればかりはな」

 一人当たりの手取りが減る分、時間がかってしまう。

 それもまた安全の為の代償として納得していくしかなかった。

 とりあえず投稿してみます。

 続きをがいつになるのかは現時点では未定。

 書かないといかんのは分かってるんですが。

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