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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第91空間 追跡2

 後ろから迫る初めて見るモンスターは、最高速度で自動車に劣るようではあった。

 しかし、路面というか地面の状況を考えて速度を50キロまでに保ってるトモキ達と距離が極端に離れる事は無い。

 それでもトモキは車の荷台にいる仲間に攻撃を指示していく。

「とにかくやってくれ。

 当たらなくてもいい、動きを少しは止められればいい」

「はいよ」

「やってみます」

 この中で最もボウガンの技術の高いシュウジとコウスケが返事をする。

 揺れる車上では狙いもろくにつけられないが、それでも牽制になればと引き金を引く。

 残念ながら二人の攻撃は外れる。

 相手も攻撃が見えるのか、二人の攻撃を避けていく。

 狙いが甘い、甘くならざるえない車上からの攻撃というのを差し引いても、やはり衝撃的である。

 これまでのモンスターは、多少強力になったものであっても、これほど簡単に矢を回避したりはしなかった。

 続けて二射、三射としても結果は変わらない。

「駄目ですね、当たりません」

「もう少し近づいたら……いや、それでもどうか分からないですね、これは」

 マサタカ・キヨヒデ・トシユキに矢を再装填してもらいながら二人が叫ぶ。

「そっか……」

 トモキはさすがに考えてしまう。

 このままでは埒があかない。

 かといって速度をゆるめて敵と距離を縮めるのも危険である。

 接近した敵がどんな行動をとるか分からない。

 もし相手の力がこちらをはるかに上回ってるなら、生き残る事そのものが難しくなる。

 しかし、何時までもこのままというわけにもいかない。



 走らせていれば当然燃料を消費する。

 車を停めた時にはその都度補給をしてるが、このまま走らせ続けたらどこかで燃料切れになる。

 一度の給油で移動出来る距離は限られている。

 燃料容量と燃費が良いのでかなり走ってくれるが、それでも永遠に動き続けるわけではない。

 また、暗くなってきたらそれこそ生き残る可能性が低くなる。

 人間の目は暗闇にそれほど適応してるわけではない。

 もしモンスターが暗視能力をもっていたら、それだけでかなり不利になる。

 そこまで時間が経過すれば疲労も溜まっている。

 例え実力で上回っていても苦戦する可能性が出て来る。

(やるなら早いうちにしないと駄目だな)

 相手を振り切れるなら良いのだが、その可能性は低い。

 なら、どこかで決着を付ける必要があった。



「やるぞ」

 後ろの者達に聞こえるように大きな声をはりあげる。

「森の中に入ってついてくる奴らを倒す。

 見ての通りかなりの速度で動くけど、森の中ならそうそう動き回れないだろう。

 そこを叩く。

 ただし、これだけ動き続けても息切れしないところをみると、かなり体力がある。

 力もそれなりにあるだろう。

 油断だけはするなよ」

「分かりました」

「了解」

「かなりきついですね」

 性格が滲み出る返事があがってくる。

 だが、拒否する者はいない。

「それと、俺も出るから、シュウジは運転席に。

 代わってもらったばっかりで悪いが、いつでも動かせるようにしておいてくれ」

「はい」

「とりあえず、トンネルをもう一つ抜ける。

 それから適当なところで森に入る。

 奴らを倒すのはそれからだ」

 再び大声で返事が上がった。



 トンネルに入ってほんの少しだけモンスターを引き離す。

 ほんのわずかだが差を広げて次の空間に突入する。

 ハンドルを、本来の道とは逆方向にきり、敵を引きつけていく。

 それから車ごと森の中に入っていこうとしたのだが、ここでとある事に気づく。

「意外と車が入れるような幅ってないんだな」

 トモキが森の中を移動してたのは車を手に入れる前になる。

 その頃は木々の間がどれだけ空いているかなどあまり気にはしなかった。

 モンスターから隠れられるかどうかは考えていたが、それが難しくなるほど隙間が多かったわけではない。

 割と木々の間は開いていたが、隙間だらけと言えるほどでもなかった。

 しかし、車に乗ってみると、その隙間がかなり狭いと感じられるようになっていた。

 あくまで人を基準にした場合に、隙間というか間隔が広いと感じられただけだったのだ。

 自動車を基準に考えるとそうでもないのが分かる。

 その中に入ってモンスターの動きを阻害しようという目論見は、この時点である程度失敗してると言える。

 それでもトモキはなるべく森に沿って車を移動させていく。

 機会があればすぐにでも中に入れるようにするためだ。

 そんな機会がないまま、車は進んでいく。

 幅の広い車体が今は仇になっていた。

 といっても、自動車が入り込めるような都合の良い空間などそうそうあるわけもない。

 軽自動車くらいならともかく、そんな車ではこの世界の未舗装の平野を進む事は難しい。

(車を捨てるか?)

 方法としてそれすらも考えていく。

 適当なところで車を停めて降り、モンスターを撃退するのだ。

 ただ、その場合モンスターが車を攻撃する事を覚悟しなくてはならない。

 相手の強さがどれくらいかにもよるが、今後の運用は難しくなるかもしれない。

 壊れる事は前提でいくしかなくなる。

 貢献度を今から10万点稼げば問題は無いが、かなりの時間を費やす事になるからやりたくはない。

(でも、このままってわけにもいかないし)

 出来ればそれは避けたいが、いざとなればそれも考えていく。

 このまま追いかけっこを続けるわけにもいかない。

 そんな事を考えてるうちに、目の前に普段は無視してるものが見えてきた。

(……そうだ!)

 咄嗟に思いつく。

「皆、何かに掴まってろ!」

 大声で警告を発してから、少し大回りにハンドルをきってその中に入っていく。



 空間中央の丘。

 その中を流れてる水の流れ。

 川や小川と言ってるその中に車を入れる。

 正確には水の流れの縁であり、水中にあるのは片輪だけである。

 車体そのものは水の中というわけではないから、動きが止まる事は無い。

 水深そのものもそれほどではないので水没する危険も無い。

 木々が無く車が進むには丁度良い状態になってるそこを、トモキは進んでいった。

 そのままモンスターが後ろからついてきてくれるよう願いながら。

 ありがたい事に、相手はそのままついてきてくれる。

「ここでやるぞ!」

 言いながらトモキは車を停止させる。

 エンジンまでは切らず、すぐに移動出来るようにしておく。

「シュウジ」

「はいよ」

 すぐにシュウジが運転席に入り、座席に膝をついて後ろを振り向く。

 手には装填済みのボウガンが握られ、射撃をいつでも出来るようにしている。

 コウスケも同様に荷台から敵を狙っている。

 マサタカとトシユキは車をおりてモンスターの前に立つ。

 キヨヒデはそこまで戦闘力が無いので二人の後ろに立つ。

 三人とも射線の邪魔にならないよう立ち、モンスターが接近するのを待っていた。

 その中にトモキの姿だけがない。

 車をおりると同時に森の中に入ったトモキは、気配を消しながらモンスターを奇襲できる位置についていく。

 しつこく追いかけきた敵との決戦が迫ってくる。

 明日も19:00公開予定

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