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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第88空間 帰還の手間

「ここらで一旦戻ろう」

 足を止めて帰りの燃料代を稼いでる途中でトモキは皆に伝えた。

「そうですね、このあたりが無難ですね」

「それで、帰りの燃料ですけど、そっちが心配ではありますが」

「ここなら上手く稼げるからどうにかなりそうだけどね」

「使ってなかった分を全部吐き出す事にはなりそうだけど」

「それで足りるかな」

 おのおの話を勝手にはじめていく。

 それを特に咎める事なく、トモキは声を聞いていった。

 彼等も帰りに必要になるものを考えてるだけで、無駄なお喋りばかりをしてるわけではない。

 放っておけば自然に話がまとまっていくので、そこは自由にさせていた。

 問題なのは、あとどれだけ稼ぐかである。

 その分の燃料は確保しないといけない。

 途中で調達する事もある程度は考えているが、稼ぐならこのあたりの方が効率が良い。

 危険はあるが、出来るだけ時間を短縮したい。

 その為にも戦闘や燃料調達にかける時間を減らしておきたかった。



「でも、帰ってどうするんですか」

 マサタカから質問が出る。

「戻ってここの事を伝えるのはいいんですけど、それからはどうすんです。

 もう一回こっちに来るとは思いますけど」

「人を増やそうと思う」

 トモキははっきりとそう言った。

「この先に進んで行くなら、人手が多い方がいい。

 レベルが高くないと困るけど、ある程度育ってるのもいるだろうし」

「近くのトンネルで稼いでるようですしね」

 今は一ヶ月に一度のレベルアップも可能となっている。

 新人はともかく、一年二年といる者達はレベル5を超える者達も多い。

「それくらいの連中が何人かいればここでの戦闘も楽になると思う。

 数は多いし強いのもいるけど、勝てないわけじゃない」

「俺らがいればどうってことないですからね」

 トシユキが自信満々に声をあげる。

 戦闘能力を中心にレベルを上げてきており、それだけなマサタカと同等と言えるほどの能力を持つ。

 また、性格も好戦的ではないにしても戦闘的である。

 必要とあれば待機や待ち伏せもするし、撤退も躊躇いはしないが、基本的に戦う事を求める携行がある。

 比較的慎重な者達が揃ってる中にあっては異色だ。

 今回もそんな事を言って皆に苦笑をさせている。

 ただ、言ってる事に間違いはない。

「確かにな」

 トモキ達のレベルの者達がいれば、さほど苦戦する事はない。

 ある程度のレベルがあるなら十分である。

「で、何人くらい欲しいんですか?」

「とりあえず二倍にくらいにはしておきたい。

 12人くらいはね」

「となると、連れてくるのも手間になりますね」

 問題なのは移動手段である。



 自動車はあるが一台だけ。

 それも六人が乗車すると余裕が少なくなる。

 荷重限界は結構大きいようなのだが、広さそのものが足りない。

 人数を増やすとなると、どうしても移動手段を拡大しなくてはならなくなる。

「もう一台増やしますか?」

「その方がいいんだろうな」

 現在の輸送力を考えると、そうするしかない。

「となると、もっと稼いでおかないといけないですね」

「今の貢献度だけじゃな」

「10万点だろ。

 あと何万点か稼がないと」

 現実問題として、すぐに手に入れる事が出来るわけではない。

 それに燃料の問題もある。

 手に入れても動かせないのでは意味がない。

 車輌と燃料を同時に入手しなくてはならない。

「でも、そうなると今までみたいに移動は出来なくなるよな」

 シュウジがその事に気づく。



「今までは俺達全員が燃料代を出してたけど、もう一台増やすとそうもいかないし」

「全員で一台に注ぎ込んでたからな」

 二台に分けたら、その分移動距離が減る。

 燃料の確保についてもこれからは考えていかねばならなくなる。

「まあ、それは帰ってからでいいだろ」

 トモキはその問題については後回しにした。

「今すぐ手に入れる必要もないから。

 今はまだ一台で十分だし」

「確かに」

「それもそうですね」

「じゃあ、帰ったら購入で」

「その方がいいだろ。

 燃料代は、新しく入ってくる連中にも負担させればいいんだし」

「それもそうか」

 まだ加入してない者達の処遇というか義務が勝手に決められていく。

「こっちに来るときに燃料代を稼がないといけないけどな」

「帰ってからすぐに手に入れられるように、貢献度も必要ですね」

 何にせよ金……ではなく点数が必要になる。

「世知辛いよな、とにかく」

「こんな所に来てまで生活費の事を考えるなんて思わなかったですね」

 それでも随分マシにはなっている。

 トモキ達の頃に比べれば。

「となると、まだもう少し稼いでいった方がいいのかな」

 帰る事は決定事項であるが、トモキは少しばかり考えを修正する。

 燃料代もそうだが、車輌の分を稼がねばならない。

 となると、今現在のこの位置で戦っていた方が時間を短縮させる事が出来る。

 今まで以上に押し寄せる敵の数はかなり危険ではあるが、儲けはそれと表裏一体である。

「きついけど、車の為に頑張ろう」

 トモキの言葉に全員が頷いた。



 今すぐ必要ではないとはいえ、購入が比較的簡単に済むように稼げるだけ稼いでいく。

 その為、一カ所で可能な限り粘る事にした。

 車輌だけでなく、燃料の事もある。

 ただ、そうなると今すぐ戻るというわけにもいかなくなる。

 手持ちの貢献度に加えていくにしてもあと何万点も稼がねばならない。

 それだけの稼ぎを叩き出そうと思ったら、何ヶ月かは粘らねばならなかった。

 ここまでは今までと大差はないが、敵が強く、出現頻度も上がった事で変更せねばならない事も出て来た。

 質も数も上回ってきたということで、トモキ達もまとまって行動しなくてはならなくなった。

 今までなら二手に分かれて別のトンネルで稼いでいれば良かったが、今はそうはいかない。

 六人まとまって行動しなければ危険でしょうがなかった。

 まして、トンネル以外にも、背後から襲ってくる可能性がある。

 それも今まで以上の遭遇率だ。

 高度してるのも一体だけというわけではない。

 最低でも二体で動いてるので気が抜けない。

 そいつらが今までより強力な個体だったらなおの事。

 その為、六人一緒というのが基本になった。

 今までのように分散して稼ぎを増やすというのが難しくなっている。



 それでも悪い事だけでもない。

 トンネル一カ所に集まっていても、今までと大差ないほど稼ぐ事が出来る。

 数が多いことの利点だ。

 捌ききる事が出来るなら、稼ぎ易い条件となる。

 それなりの人数とそれなりのレベルがなければどうしようもないが、今のところトモキ達の能力はその水準に到達している。

 燃料代の捻出が出来るくらいまで稼ぐ事はそれほど難しくもなかった。

 三ヶ月の時間をかけてある程度稼いだトモキ達は、そこから一度離れ事の次第を仲間に伝えるべく帰還していく。

 皆が手元に残してる分と稼いだ分を合わせれば、帰り道の燃料代はどうにかなる。

 足りなければ、途中で補充も出来るが、その時間をそれほど長くする事もなくなった。

 必要な分を稼いだトモキ達は、自分達が踏みつけてきた轍を逆行していく。

 自分達がたてた看板や標識を目印にして。

 明日も19:00公開予定

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