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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第87空間 変化

 燃料代と成長・備品の分を稼いで再び進む。

 特に変わる事もないまま同じような景色と同じようなモンスターが出てくる。

 そのはずだった。

 だが、そこに変化がでてきていた。

 走行距離が4万キロを超えるあたりから、敵の数が多くなった。

 気のせいかと思ったが、確かめてみたら確かに増えていた。

 トンネルの前に陣取り、どれだけ出て来るのかをみてみたら、今までより明らかに数が多い。

 一度に出てくる敵の数が若干増え、次の一群が出て来るまでの間隔が短くなっている。

 これまでは一日に20体から30体の間で推移していたのに、この時は一日に40体まで増えていた。

 気のせいかと思って一週間ほど確かめてみたが、結果は変わらない。

 下手したら今までの二倍ほどにもなるだけのモンスターが出現している。

 そのせいか、空間内での遭遇率も上がってるような気がしていた。

 夜間の見張りでも、襲撃を受ける回数が増えている。



「何かあるな」

 明確すぎる変化に、トモキは原因があると感じていた。

 それが何であるか分からないが、これだけ増加してるだけの理由が何かある。

 それ程難しくもない問題であるから、答えが出て来るのも早い。

 原因が何であるかまでは分かってないが。

「とにかく、もうちょっと先まで進んでみよう。

 何かあるかもしれない」

 幸い、数は増えてるが強くなってるわけではない。

 今のトモキ達のレベルなら十分に撃退可能な範囲である。

 多少の無理をしても、先に進む事は可能だった。

 むしろ、出来るだけ多くの事を探っておきたかった。



 その後も先に進むごとに敵は増えていった。

 空間内で遭遇する数も増えている。

 それも、一度に二体以上の集団の場合が増えた。

 今まではほとんど一体で動いていただけに、この変化には驚いた。

 走行距離が4万5000キロ、空間数にして900カ所になる頃には、更に大きな変化が訪れる。

 今までより強力なモンスターが紛れるようになってきた。



 見た目はそれほど大きな変化はない。

 姿形はほぼ今までのモンスターとほぼ同等である。

 巨大な犬というか狼というか。

 クマとまで行かないまでも肩幅も横幅も厚みもある体格で、場合によっては後ろ脚で立ち上がる事もあるモンスター。

 それらの中に違いが出てきた。

 一つは、体の厚みと全長・全高が今までのものより大きなもの。

 力が強く、トモキ達であっても一撃を食らえば吹き飛ばされかねない程の剛力の持ち主である。

 もう一つは、細身のまま全長・全高が伸びたもの。

 体格の割に筋肉が引き締まってるついてるのか、動きが俊敏である。

 攻撃を当てづらく、それでいて一気に間合いを詰めてくる。

 どちらも全く対処が出来ないわけではないが、今までのものよりも相手にするのが難しくなっていく。

 数が増えたところに加えて、強力な個体が加わった事で戦闘の難しさは一気に上がった。

 だが、その分の見返りも多少はあった。



「貢献度そのものは増えてますね」

 モンスターを倒し終わり、全員の獲得貢献度を合計してみると、そうなってるのが分かった。

「やっぱり、あいつらが出てきたからですかね」

「多分そうだろうな」

 強力なモンスターが出てきてからこうなっている。

 強い敵を倒せば、その分だけ貢献度も増えるようだった。

 ただ、増加幅はそれほどでもない。

「前よりは少し増えてるってところですかね」

「全部あわせても、何百点かくらいの違いしかないよな」

 強力なモンスターの数はそれほど多くはなく、今までよく見てきたモンスターの中に一体か二体が混じってる程度だった。

 一日で何体か遭遇するくらいである。

 その為、貢献度の増加にも気づきにくかった。

 たまたま貢献度が今までより多い気がして調べたから分かったくらいである。

「でも、モンスターが増えた分の方がよっぽど貢献度の増加になってますよね」

「まあなあ……」

 それを考えると、強くなってる分だけ手間がかかるのは痛手である。

 数の増大も問題であるが、その中に強力なのが混じってると更に面倒になる。

「どうします?」

「とりあえずここで敵を倒していこう。

 燃料代も稼がないと駄目だし」

 走り続けたせいで残りが少なくなってる。

 撤退するにせよ、更に進むにせよ、ある程度稼いでおかねばならない。

「ありがたい事に、今までより簡単に稼げる」

 物事を前向きにとらえながら、トモキ達はモンスター退治に取りかかっていった。



 敵の数が多いので、二手に分かれるのはとりあえず控えておいた。

 強力な個体も混じってるので、更にレベルを上げてからでないと危険である。

 実際、六人全員であたらないと危険なほどモンスターは出てきていた。

 トンネルの向こう側からだけではなく、空間の中を徘徊するものもやってくる。

 トモキ達を狙ってるのかは分からないが、そもそもの数が多いのか遭遇率は以前よりも高い。

 稼ぎも大きいが気を抜けない。

 だが、だからこそこの奥に何かがあると確信も出来た。

 これだけモンスターが増大するだけの何かが。

(行ってみるか?)

 考えてみる。

 ここから更に先へと進み、何があるのかを確かめてみようかと。

 だが、この人数でそれをやるのはまだまだ危険に思えた。

 レベルを上げればどうにかなるかもしれないが、この先に何がいるのか分からない。

 どれだけレベルを上げれば良いのか、どういった技術を身につければいいのか。

 それに、適切な道具は何なのかも不明だ。

 それらを調べる必要があるが、だからといって危険をそのままにしておきたくはない。

 出来るだけの対処方法を用意し、危険を低下させて事にあたりたかった。

(帰るか)

 決断を下す。

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