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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
六章

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第86空間 旅

<ここまであらすじ>


 モンスターを倒して手にする貢献度。

 これが一定値以上に貯まるとあらわれる新たな物品。

 何が出るのかを確かめるために積み重ねていったそれは、思いもしにないものを提示していく。

 発電機、バイク、自動車。

 まさかと思うような物品が出てきて困惑する。

 手に入れるためには多大な点数が必要だが、それを求める事も活動の一つになっていく。

 また、同時に発見された超能力や魔術などの技術も注目される。

 どんな効果があるのか分からないが、それを確かめるためにもモンスター退治による稼ぎを確保してく事になる。

 そして手に入れた様々な物品によって生活水準が変わっていく。

 そんな中、より奥地を目指すための旅が始まっていく。


<以上、大雑把なあらすじでした>

 出発から暫くはひたすらに車を走らせていった。

 燃料の続く限り、というのはさすがに言い過ぎだが、残りの燃料がかなり少なくなるまでは進んでいった。

 一応、緊急時に逃げ出す事が出来るくらいは残してあるが、せいぜい数十キロを移動するくらいになっている。

 空間にして120カ所。

 走行距離は6000キロを超える。

 他の者達にも貢献度1万点分の燃料を出してもらった成果であった。

 そこまで進んでトモキ達は、モンスター退治を開始する。

 予定は一ヶ月。

 それで当面必要な燃料を確保していく事になる。



 一ヶ月で手に入る貢献度は、一人あたり2万点になる。

 全員の分を合わせれば12万点。

 食事や消耗品の分もあるので全部は使えないが、それでも10万点分は燃料につぎ込める。

 これで得られる走行距離は、おおよそ1万キロ。

 かなりの距離になる。

 一日500キロ移動するとして20日かかる事になる。

 その位まで進んだら再び燃料代稼ぎのためにモンスターと戦い、貢献度を手に入れる。

 この繰り返しで進んで行く事にしていた。



 ただ、あくまでも出て来るモンスターが今まで通りであったり、地形などが居住地周辺と大差がない事が前提である。

 何かしら違いが出て来れば、そこで予定は修正を強いられる事になる。

 新しいモンスターが出てきたならば、当然対策を考えねばならない。

 倒すのが今までより難しくなてるなら、予定が予定通りに進む事もなくなる。

 行ってみなければどうなるか分からないが、それも考えておかねばならなかった。



 それでも旅は順調に進んでいく。

 出て来るモンスターもそれほど大差はなく、トモキ達の力で倒せる範囲におさまっていた。

 再びモンスター退治のためにモンスターを倒し始めた時も、これまでとの違いを実感する事はなかった。

 同じように一ヶ月をかけて燃料代を稼ぎ、更に先へと進んでいく。

 三ヶ月目はそのようにして終わり、五ヶ月目も似たような始まり方をして同様の結果を迎えている。

 そんな調子で六ヶ月目を向かえ、走行距離は合計3万4000キロほどになっている。

 しかし特に目立った変化もなく、大きな障害もない。

 先へと進む事に問題は大して存在しない。

 呆気ない程である。

 なんだこんなものなのか、と気が抜けそうになった。

 しかし、だからこそトモキは気を引き締める。

 こういった油断を誘おうとしてるのではないかとすら考えていく。

 モンスターにそこまでの智慧があるとは思えないが、可能性として一応考えてはいた。

 相手に指揮を執るだけの統率力を持ったもの、それか、作戦をたてる事が出来る才能の持ったものがいるかもしれないと。

 疑い過ぎかもしれないが、それくらいトモキは警戒をしていた。

 これだけの距離を移動し照るにもかかわらず、敵に代わり映えがない事が異様に思えたからだ。



「同じだな」

「景色がですか?」

 運転を交代してもらい荷台の方に座っていたトモキは、流れていく景色を見ながらぼやいた。

 それを聞いていたマサタカが話しかけてくる。

「それもそうだけど、モンスターがね」

「まあ、何も変わってませんね」

「そうなんだよ。

 強さも数も変わってない。

 ここまで変化が無いってのもどうなのかなって思ってね」

「確かにそうですね。

 これだけ進んで来て何にも変わってないってのもおかしな感じです」

「もっと強くなるとか多くなるとか考えてたんだけどな」

「RPGみたいにですか」

「ああ。

 進めば敵の本拠地みたいなのに近づくと思ってたんだけどな」

 その分だけ敵も増えるし質も上がる。

 そう思っていた。

 だが、今のところそういった兆候は見えない。

 これだけの距離を走りねけ、数百を超える空間を渡ってきてるにも関わらず。

 そして、終わりも全く見えない。

「どこまでこんな調子なんだか」

 時速50キロ以上で進んでも、行き止まりに行き着く事もない。

 同じような場所を同じように駆け抜けている。

 看板や標識をたて、モンスターを倒し、暗くなったら寝るという事を繰り返している。

 車の状態以上が起きてないかを確かめるために、時折立ち止まっている以外は移動しっぱなしだ。

 変わる事の無い繰り返しがこの半年ほど続いていた。



「それで、どうします。

 このあたりで引き返さないと帰るのも大変になりますけど」

 マサタカが今後の行動について尋ねていく。

「貢献度に余裕はあるんで、そんなに急いで稼がなくても大丈夫ではありますが。

 戻るにしても同じくらい時間はかかりますし」

「そうだな……」

 言われるまでもなく考えてる事だった。

 稼いだ貢献度の全てを消費してるわけではないから、燃料の方はそれほど気にする必要は無い。

 必要な分には足りないので多少は追加する必要があるが、それほど必死になるほどでもない。

 ただ、時間はかかる。

 これだけの距離を走ってきたのだから、帰りにも同じくらいの時間がかかる。

 帰る事を考えるなら、ある程度の所で見切りをつけないとどうしようもなくなる。

 めぼしい成果もないまま帰るのもシャクだが、無理して進んでも何が得られるというわけでもない。

 そもそも、何がどうなってるのかを確かめるのが目的なのだから、ここで戻っても何の問題も無い。

 何もないなら、「これだけ進んでも特に変化はなかった」と言えばいいだけである。

 それはそれで、立派な調査結果である。

 だが、トモキはそちらの考えをあえて捨てた。

「もう少し進もう。

 貢献度も燃料も余裕が少しはある。

 無くなっても稼げばいい。

 それよりも、先がどうなってるのかを知りたい」

 無理は承知である。

 だが、出来ればもっと先まで見ておきたかった。

「ここで引き返したら、次に来る時はもっと手間がかかるようになる」

 再び来るにしても、同じような手間と時間がかかる。

 それなら今のうちにもっと先まで調べておきたかった。

「皆には悪いけど、もう少し付き合ってくれ。

 どこまで行けるのかも確かめておきたい」

「分かりました」

 マサタカはそう言って頷く。

 不平や不満は出してこない。

 彼は良くも悪くも感情表現が割と平坦なので、喜怒哀楽が分かりづらいところがある。

 だが、他の者達は多少げんなりというか落胆したところを見せた。

「まだ暫く、手作り料理はお預けか」

「寝床もな。

 交代で見張りをしなくちゃならんぜよ」

「車の荷台に寝るのも、もう飽きたよな」

「野郎同士、気楽ではあるんですけどね」

 聞こえるようにトモキの前で言ってくる。

 嫌みではないのだが、言わずにはおれないのだろう。

 ある程度おさえているあたり、それらが本気でないのも確かだ。

「はいはい。

 帰ったら飯くらいはおごるって」

「よろしく頼んます」

「期待してます」

「ゴチです」

「太っ腹~」

「……一人3000点までだからな」

 上限を設定して、この話はまとまった。

 旅はもう少し続く事でとりあえずの決定をみた。

 ただ、どこまで進むのかは分からない。

 トモキも決めかねていた。

 だが、とにかくもう少し進もうと思っていた。

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