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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
五章

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78/102

第78空間 それこそファンタジーな要素

「もう表示されてないけど、10万点で出て来たものは他にもあったんだ」

「何ですか?」

「まあ、色々なんだけど、武器とかもあった。

 銃とかな」

「ジュウ…………銃ですけ?!

 拳銃とかライフルとか」

「ああ、それだ。

 俺が見たのはライフルと拳銃が何種類かだったけど、間違いなくあった」

「それって……」

「ようやく見つけたんですね」

「ああ、ようやく見つかった」

 皆、驚いてはいるが新発見だからというのとは少し違っている。

 前々から、銃弾が購入可能であるのは分かっていた。

 車の燃料と同じく、1万点で何発かまとめて入手出来るような形になっていた。

 しかし、それを撃ち出す銃がなかなかあらわれないので、誰もが気にしていた。

 それがついに姿を見せたのである。

「そんな値段だからすぐには手に入らない。

 けど、確かにあったよ」

「すげえ……」

「それ、凄くないですか」

「手に入ったら、戦闘が楽になりますね」

 全員、考える事は同じだった。

 だが、トモキは素直に頷かない。

「けど、弾丸の値段が高い。

 そう簡単に使えないだろうな」

 問題はそこである。

 結局、消耗品である弾丸を使う以上、ボウガンと同じような問題が出て来る。

 連続射撃の速度や飛距離に威力は格段に向上するだろう。

 だが、矢や弾丸の保有数までしか使用できない。

 必然的に使える数に限界が生じる。

 それに、単純に使用回数だけの問題でもない。



「一発あたりの値段を考えると、それでモンスターを倒しても割にあわないしな」

 持っていれば確かに戦闘が楽になる。

 遠距離攻撃の有用性はボウガンが示してくれている。

 それ以上の性能を持つ銃器であれば、更に簡単にモンスターを倒せるようになるだろう。

 だが、一発の値段がモンスターよりも高いのであれば全く意味が無い。

「急いで倒さなくちゃならない時とかならいいよ。

 でも、貢献度稼ぎでそんな事をしてちゃ全然割にあわない。

 使うほど貧乏になるんじゃ、普段のモンスター退治じゃ全然使えなくなる」

 そこが難しい所だった。

「確かに」

「それもそうですね」

 他の者も、自分のステータス画面を開いて購入可能品を見ていく。

 そこにある弾丸をの値段と購入可能数を見て眉を寄せる。

「1万点でこれって事は……一発100点以上って事ですか」

「弾丸の種類によるけど、20発や50発で一組ってのがほとんどだな」

「モンスターって、一体あたり100点くらいだったよな」

「こりゃ、全然割にあわないわ」

 もちろん、離れた所から一発二発で倒せるなら、本当に緊急時などには役に立つ。

 だが、あくまで緊急時の為の手段となってしまう。

 常備品にはなるかもしれないが、常用する事は出来ない。

「こりゃ、すぐに手に入れるってわけにはいかないですね」

「そういう事だ。

 手に入れるにしても、大量の弾薬を確保しないとやってられない」

「その為に1万点ですしね」

 戦闘がより簡単になると思ったが、導入はしばらく見送るしかなさそうだった。



「まあ、それだけじゃない。

 他にも色々とあったんだけど、それよりももっと気になるのがあった」

 全員の目が再びトモキに集まる。

「何があったんですか?」

 尋ねる声に、トモキは静かにゆっくりと答えた。

「超能力」



 一瞬、沈黙が支配する。

 そして、誰もが互いに目を向け合う。

 言ってる意味が分からなかったのから、意味を理解してから戸惑ったのへと移行していく。

 そんな仲間の様子を見ながらトモキは言葉を続けた。

「正確にはもっと別の言葉だったと思う。

 魔法とか、そういう感じだった。

 でも、確かにあったんだよ、身につける事が出来る技術の中に」

「……えっと」

「それって……」

「どういうのなんで……」

 口々に戸惑いと疑問が上がってくる。

 だが、それにトモキは、

「分からん」

と一言で答えた。

「身につけたわけじゃないから効果は分からない。

 何がどんな風になるのかも想像できん。

 もしかしたら、本当に魔法とか超能力とかが使えるようになるのかもしれん。

 けど、今は全く分からん」

「じゃあ、またそれが出て来るまでお預けって事ですか」

「そうなるな。

 とにかく身につけてみない事にはどうしようもない」

 技術も物品もそうだが、基本的に使ってみるまでどんなものかほとんど分からない。

 物品の場合、関係する技術があれば使い方などが思い浮かぶが、技術だとそうはいかない。

 事前にこういった内容であると分かってないと、どんな内容なのかほとんど分からない。

 何せ説明らしきものはほとんどない。

 簡易的な説明書はあるが、事細かに全てが書かれてるわけではない。

 技術については、

『身につければ該当する知識や作業方法などが身につく』

といった程度の説明しかない。

 なので、トモキが見つけた超能力や魔法などの技術も、その内容がどういったものなのかは全く分からない。

「単なるオカルト知識って事は無いですよね」

「その可能性もあるな」

 10万点も使ってその程度という可能性もある。

 それくらい技術というのは博打的要素が強いものがあった。

「まあ、また10万点貯めるまで頑張るしかないな。

 大分先の事になりそうではあった。



「でも、これで色々な物が手に入るのは分かってきたな」

 剣や鎧などを最初に支給されていたので、てっきりその技術水準の物品くらいしか手に入らないと思っていた。

 しかし、実際にはもっと近代化、現代化された様々な機器が手に入る。

 入手に手間取るが、全く手に入らないわけではない。

 わざわざ自作する手間をかけずに済みそうではある。

 もっとも、莫大な手間をかかるれば自分達で作り出す事も可能ではあるだろう。

 それだけの技術と道具と材料を揃える事が出来ればであるが。

 事実上不可能に近い。

 銃にしろ自動車にしろ、極めて初期のものならともかく、多少なりとも近代的なものとなると自作は難しい。

 材料の品質や工作の精度を確保出来ないからだ。

 それが出来るようになるためには、多大な基礎技術と製造する為の機械(道具)を揃えねばならない。

 そしてより優秀な道具を作るには、やはり優秀な道具が必要になる。

 今のトモキ達にそれらを用意するだけの余裕は無い。

 点数は必要だが購入出来るというのはかなりありがたい事だった。



 そこからトモキ達は一旦帰還する事にした。

 礼によって、分かった事を他の者達に伝える為に。

 自動車が手に入ったので、帰還は本当に簡単に出来た。

 今まで二ヶ月をかけて移動していたのが、わずか一日で到着したのだ。

 一日中走りっぱなしになったが、今までの移動時間の比ではない。

 そんなトモキ達の帰還をカズアキ達は驚いて迎えた。

 この話はファンタジーです。

 文明の利器がどれだけ出てきても、ファンタジーです。



 明日19:00に更新予定。

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