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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
五章

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第74空間 想定外の品々

「でも、おかげでこの空間の隣のトンネルは全部塞ぐ事が出来たのであります」

「そう、それそれ。

 まさかここまで進んでるとは思わなかった」

 帰ってきてびっくりしたのはそれだった。

 いつもの居住区の一つ手前まで戻ってきて気づいた事だが、トンネルの出口が塞がれてるのである。

 新たにやってきた者達が増えたので、最初の空間の隣に進出し、そこから伸びるトンネルの出口にも防備を建設したのだという。

 これでカズアキの所のトンネルはほぼ完全に安全地帯となった。

「テルオさんともう一つの所も、次の次の新人が来たあたりで同じようにするつもりであります」

 人手の増加と、全体のレベルが上がった事によってそこまで出来るようになった。

「その人手も、早くも底を突いてますけどね」

「人手不足は相変わらず深刻か」

「増えれば増えたで、その分の稼ぎをどうするか悩みますしね」

「上手くいかないもんだな」

 増えた人数を養うなら、その分の稼ぎをどこかで得なければならない。

 今の状態ではモンスターを倒すしかない。

 その為にはモンスターを探して倒すしかない。

 あちこちに拡散していかねばならない。

 人数が増える毎にこれは拡大していく。

 いずれは顔を見合わせるのも難しいほど遠く離れた場所まで展開せねばならない事態に陥るかもしれない。



「でも、多少改善の兆しも見えてきてるであります」

 料理にしろ鍛冶にしろ、それを引き受ける者があらわれてそれらが変わっていった。

 必要な材料と作業代金として渡す食料などが、モンスター退治以外の生き方を朧気ながら示している。

 モンスター退治をする者達を相手にするというのが前提であるが、そこから貢献度を物品として手に入れるようになっている。

「仕事として成り立つものが出始めてるであります。

 このままいけば、モンスターを相手にする以外での生き方が生まれるかもしれませぬ」

 まだ確実とは言い難い。

 それでも、モンスター退治以外の生き方が生まれるように思えていった。

 これが更に拡大すれば、何も全員がモンスターを相手にしなくても良くなるかもしれなかった。

「そうなるにしても、ずっと先の事であるでしょうが」

 だが、希望があるのも確かだった。

 増える人手を無理なく抱えていける可能性が今は求められていた。



「それと、こっちもこういうのが出て来た」

 先への展望が見えてきたところで、トモキも自分の発見を提示する。

 ステータス画面から物品購入画面に入り、そこに表示されたものを見せていく。

「……これは」

「発電機だよな、これ」

 表示されたものを見せながらトモキは口にする。

 それは石油を使って電気を生み出す発電機が表示されていた。

「貢献度が5万になったら出てきたんだ」

「凄いでござるな」

 驚くしかなかった。

 ただ、その声にはどこか「やはり」といった響きもある。

「前々からそれっぽいのは出てたしな」

「確かに。

 電源コードや家電製品など、それっぽいのはあったであります」

 なので、もしかしたらいずれこういった物も出てくるのでは、という予想はあった。

 それが実際に出てきたのである。

「これがあれば、電気もどうにかなるだろ」

「そうでありますな。

 一台あるだけでも今までとは大きく違ってくるであります」

 電気が使えるというのは、それだけ大きな違いをもたらす。

 様々な工作機具や電化製品を用いる事が出来る。

 もっとも、それら為すためには、何万点という電動機具を購入せねばならない。

 かなり効率よく稼いでも、今のところ数ヶ月はかかってしまう。

 だが、一度手に入れれば様々な作業効率が上がるだろう。

「何とかして手に入れたいでありますな」

 カズアキは表示される物品を見つめて呟いた。



 出現したのはそれだけではない。

 様々な電化製品なども同時に出現した。

 それ以外にも様々な機械があらわれ、一同に衝撃をもたらした。

 その中でトモキが注目したものがある。

(バイクか……)

 エンジン搭載の二輪車であるオートバイ。

 それも一覧に表示されていた。

 動かすには別売りの燃料が必要だが、あればかなりの移動力向上がのぞめる。

 また、四輪のバギーもあり、こちらも草原だらのこの世界では便利そうであった。

(けどなあ……)

 一瞬、購入しようかと考えたがすぐに思い直した。

 トモキ一人で行動してるならともかく、今の段階では全く意味が無い。

 バイクやバギーを手に入れても、それに乗れるのは一人。

 せいぜい二人が限界である。

 六人で活動してる現状を考えると全く意味がない、

 全員が購入するならともかく、今のところそこまで貢献度を貯めてる者もいない。

 こんな状態なので、購入してもほとんど役立たせる事無く終わってしまう。

 後ろにリアカーでもつければ別かもしれないが、馬力を考えるととても現実的とは思えなかった。

 それに、これがあるなら、もっと便利なものもあるはずだった。

(車が出て来るのを待ってみるか)

 今一番欲しいものである。



 これだけの物品が並んでるのだ。

 自動車が出て来てもおかしくはない。

 何万点必要になるか分からないが、それを狙っていった方があとあと便利そうだった。

 とにかく今欲しいのは移動力である。

 それを手に入れる可能性があるなら、それを目指していこうと思った。

 幸い、能力の方は十分な段階にまで到達している。

 急いでどれかを上げる必要は無かった。




「そういうわけで、もう暫く貢献度を稼ぎたい」

 休養をとってる最中、仲間を集めてそんな事を話していく。

「本当にあるのか分からないし、あってもどれだけ点数が必要かもわからない。

 けど、俺はそれを狙ってみる。

 だから、また暫くはモンスター退治に付き合ってくれ」

 反対の声はない。

 誰もが望んでる事だったからだ。

 それに、レベルをもう少し上げたいとは誰もが思っていた。

 反対の理由はどこにもない。

 それに便利な道具を手に入れる可能性もある。

 もしそれが出て来たら大きな利点になる。

 探索は多少遅れるかもしれないが、それでもやってみる価値はあった。


 ファンタジーって何でもありだと思うのです。




 そして、明日19:00に続きを。

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