表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/102

第72空間 可能な限りやりたいことを尊重しながら

「そうしたら、俺はこのまま戦闘を伸ばした方がいいですかね」

 この中で最も体格の良い、広田マサタカがステータスを開きながら言う。

 180センチ近い身長があるので、それも最もであった。

 刀剣の技術も伸ばしているので、戦闘技術もレベル2はある。

「俺は、戦闘とかはちょっと。

 必要だから伸ばしてきましたけど」

 そういって辞退を申し出るのは、松庵寺キヨヒデ。

 この中では最も古株に入る三番目に来た者達の一人である。

 技術もそれなりに伸ばしているが、本人はあまり戦闘に乗り気ではない。

 だからこそ他の方面に技術を伸ばしたいのだろう。

「でも、簡単には決められないよな。

 とりあえずボウガンを伸ばすけどさ」

 キヨヒデとは反対に、この中で最も新顔の一人である村瀬シュウジは何をすれば良いのか決めかねている。

 かと思えば、

「俺は修理とかやってみたいですね」

と同期の照島コウスケは自分のやりたい事をはっきりさせている。

「それなら、俺は前に出てもいいかな」

 控えめに最後に口を出した柴村トシユキは、そんな態度とは裏腹に前に出る事を希望した。

 それぞれがやりたい事、まだ決まってない事を口にしていく。

 すぐに結論が出る事ではないが、とりあえず各自の考えが出て来るのは良い事である。

 誰が何をやりたいか、やりたくない事はなんなのか、そもそもとして考えが決まってるのかどうかが分からないよりは良い。



 ただ、それらもまだまだ先の話である。

 何をどう伸ばすか、それを求められるのは一ヶ月以上は先の事になる。

 いずれその時はやってくるが、決定までの時間はある。

 まだはっきりしてない者も、その時までに決める事が出来る。

 今は先へと進み、モンスターを倒して貢献度を稼ぐのが先である。

 予定では、最後に仲間と別れた所から一ヶ月進んだ所に出向く事になっている。

 そこのトンネル前に陣取って、出て来るモンスターを相手に稼いでいく。

 成長の方向性が問題になってくるのは、その後になる。

 まだ選択を迫られてる段階ではない。



 トモキにとってはそれよりも皆の考えが聞けたのが大きかった。

 成長の方向性もであるが、そういった所に出てくるそれぞれの考えや人柄を垣間見たのが収穫である。

 この先共にやっていく者達である。

 多少なりとも人となりを掴んでおきたかった。

 それが出来たのは大きな成果であった。

(本当に、性格が出るよな……)

 発言内容には何かしらそれらが出て来る。

 何かをしたいとはっきり言えるもの。

 やりたくないものについて述べるもの。

 まだ考えがまとまらないもの。

 それらが分かるだけでも大きい。

 また、話し方にもそれぞれ性格が出て来る。

 同じ言葉であっても、声の強弱などがある。

 それらがやはり人柄というものにあらわしている。

 それらの中で一番のありがたく感じたのは、おかしな奴がいない事だった。

(あんなのが混じってたらどうしようかと思ったけど)

 かつて悲惨な問題を引き起こした馬鹿の事を思い出す。

 そういった奴は先んじて排除するようにしてるが、どこかに紛れ込んでる可能性もある。

 幸い、ここにいる者達にはそういった者はいないようで助かった。

 もしいたら、貴重な戦力を減らす事になる。

 そうなったら目も当てられない。

 それでも最悪の事態になる前に処分はするつもりでいる。

 だが、出来ればそんな人間がいない事を求めていた。

 積み重ねていく話し合いの中で、そういった人間がいないようなので、人知れず安堵をしていく。

 それを知る者は、本人以外いなかったのは救いであろうかどうか。

 それが分かるのは、陣地を越えた存在か、時が過ぎ去った後になるだろう。



 多少の不安や人知れず解決しつつある不穏はともかく、探険は順調に進んでいった。

 一ヶ月ほどして新たな空間に出たトモキ達は、そこでモンスター退治を開始していく。

 とにかくレベルを上げないとどうしようもない。

 貢献度を稼ぐべく、モンスターを倒していく。

 レベルに不安はあったが、そこは数の暴力で押し切っていく。

 確実に仕留めるトモキの存在も大きい。

 モンスター退治そのものは順調に、確実にこなしていく。

 一ヶ月二ヶ月と進むにつれレベルを誰もが上げていけるようになる。

 新人達も確実にレベルを上げ、全体の戦闘力が上がっていく。

 誰もが否応なく自分の成長方向や進路を決めねばならなくなっていく。

 特にある程度レベルの上がっている広田・松庵時の二人は待ったをかける事が出来ない。

 他の三人はまずはボウガン一択でレベル3まで上げねばならない。

 しかし既にある程度の経験のある二人はそうはいかない。

 広田はそれでも戦闘技術を上げると決めていたので良い。

 しかし松庵時はそうではない。

「どうしよう……」

 悩みつつも結論は出ない。

 ただ、そのまま放置というわけにもいかない。

「とりあえずさ、治療を伸ばしてみたら?

 暫くは戦闘をしてもらわないといけないけど、ゆくゆくはね」

 あまり良い選択とは言えない。

 治療する者が前に出て戦闘というのは洒落にならない。

 それならば、探知技術を向上させておいた方がまだ無難である。

 だが、探知は必然的に戦闘に絡む事が多くなる。

 あまり戦闘の乗り気でない者が選ぶのもどうかという所だった。

 だから、消去法で治療関係の技術を身につけさせていった。

 松庵時もそれならばと治療の技術を手に入れていく。

 それが得策と言えないのは彼自身も分かっていたが、折角のすすめである。

 あえてそれにのる事にした。



 そんなこんなで色々と面倒も起こるが、概ね順調にトモキ達はレベルを上げていった。

 モンスター退治を始めて四ヶ月、レベルもある程度上がったところで、再び探険を開始していく。

 以前より危うげが無くなった状態で。





<< 参考情報 >>




広田マサタカ

 刀剣レベル2 → 4

 回避レベル0 → 1



松庵寺キヨヒデ

 刀剣レベル2 → 3

 治療レベル0 → 2



村瀬シュウジ

 ボウガンレベル0 → 3



照島コウスケ

 ボウガンレベル0 → 3



柴村トシユキ

 刀剣レベル0 → 3



<< 参考情報 >>

 本日はここまでです。

 続きは明日19:00に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ