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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
四章

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第66空間 求められる全体の底上げ

 数日の滞在と、その間に行われた話し合い。

 今後の探険とその為の編成について語り合い、トモキは再び旅だった。

 編成はシンイチとユキタカに加え、更に新人を加えた四人。

 やはり新人育成は必要であり、その為に一人でも良いから加えてもらいたいと要請されてしまった。

 既に新人も加わり51人になっていた彼等の仲間は、可能な限り早く使える人間を育てる必要性に迫られていた。

 食料の分を確実に確保してくる人材を。

 その為には可能な限り手広く展開していくしかない。

 一つのトンネルからやってくるモンスターを倒して手に入れる貢献度では、今の人数を養うのでもギリギリになりつつある。

 それを打破する為には、探険などで外に出て稼ぐしかない。

 稼ぐ為には最低現の強さを持つ人材が必要になる。

 その人材をどうにかして育てねばならない。

 多少の無理をしてでも、育成はせねばならなくなっていた。



 入ってきた新人の為に、追加でボウガンを購入する。

 新人にそれの使い方を教え、戦い方を教えていく。

 この空間にやってきてから既に一ヶ月近くの時間が経っていたので、やるべき事はだいたい身につけていたのは有り難かった。

 そこまで教え込んだカズアキ達のありがたさを感じた。

 本当に何も知らないのではどうしようもないが、多少なりとも知ってるならやりようもある。

 初歩の初歩について教える必要がないのは大きい。

 トモキ達は更に具体的なやり方を、教えて、やってみせ、やらせてみせていけば良かった。

 それだけの事であっても、何知らない本物の素人と、多少は何かを体験してる者では大きな差が出てくる。

 その差がないからトモキ達も新人をどうにか連れていく事が出来た。

(とは言ってもなあ)

 それでも新人は新人である。

 何も分からぬままにこんな空間にやってきて、モンスターと戦わねばならなくなっている。

 どうにか正気を保っているが、かなり緊張してるのが伝わってくる。

(来たばかりの新人ってのはさすがに……)

 せめてもう一つ先に来ていた連中から引き抜けなかったのかと思ってしまう。

 しかし、カズアキ達も現状を維持するために慣れてる人間を手元に置いておきたいという。

 レベルはそれほど上がってないが、だからこそ集団戦でやっていくしかない。

 その為にも慣れてる人間が必要だった。

 そういった事情はトモキにも分かるので、あまり強くも言えない。

(仕方ないんだろうけど)

 納得がいってるかと聞かれれば素直に頷けない。

 しかし、無理強いも出来るほど強く出られない。

 やむなく来たばかりの新人を受け入れる事となった。



 救いなのはシンイチとユキタカが慣れてる事だった。

 貢献度を使ってボウガンの技術を上げているので、射撃の制度は以前よりは上がっている。

 誤差の範囲と言える程度かもしれないが、安心感は以前よりも高い。

 今回の探険(というか実戦訓練)で更に腕を上げてもらいたかった。

 それはないにしても、死なないでくれればとりあえずは良い。

 全ては生きていてこそである。



 探険そのものはそれほど問題なく進んでいく。

 ボウガンにより一斉射撃は強く、一体で出て来るモンスターは前進に矢を突き刺されて倒れていく。

 それこそトモキの出番がないほどである。

 おかげで道中でトモキが貢献度を稼げる場面はほとんどなかった。

 新人育成という面では極めて順調と言えたが。



 さすがにトンネルから出て来る多くのモンスターが相手の場合はそうもいかない。

 三人による一斉射撃で大分勢いを失いはするが、牽制と誘導、四肢の切断などはトモキがしなくてはならない。

 それがなければモンスターに止めを刺すのも難しくなる。

 一ヶ月余りを経て辿り就いた空間で始まった、一ヶ月を予定しているモンスター退治。

 それをこなしていくのに、確実な戦力が必要だった。



 そして一ヶ月に及ぶモンスター退治は、絶大な成果をもたらした。

 何せ、一日に20体から30体ほどのモンスターがやってくる。

 間に休みを入れはしたが、それでも莫大な貢献度を手に入れる事が出来た。

 一番稼いだトモキは2万4000点を手に入れた。

 シンイチとユキタカはそれぞれ1万4000点ほどを。

 一番稼ぎが少なかった新人も1万点を手に入れている。

 トモキはレベルを二つ、他の者達もレベルを一つあげる事が出来るだけの稼ぎになっている。

 食事や消耗品などを購入しているので、実際にはここから幾らか差し引かれるが、それでもかなりの稼ぎになっている。

 行きと帰りの分の貢献度で、レベルを更に一つ上昇させる事が出来る程だ。

 トモキはそこではほとんど稼げてないので加算はないが、それでも十分な成果である。



 三ヶ月の時間を経て帰還したトモキ達は、あげた成果をカズアキ達に驚かれる事になった。

 かなりの稼ぎになるとは予想されていたが、ここまでになると予想した者はいない。

 あと一回同じ事をすれば、戦力として十分な者を育成する事が出来る。

 数日の休息の後に再び旅だったトモキ達は大きな期待をかけられる事になった。



 その期待を裏切る事無くトモキ達は再び莫大な貢献度を稼いでいった。

 シンイチ・ユキタカの二人がボウガンの技術をレベル3に上げた事でそれは顕著になった。

 撃てば確実に当てるし、当てる位置もだんだんと正確になっていってる。

 急所に一撃という程では無いが、その近くを狙うようになってきている。

 よほどの長距離でもない限り外すような事もない。

 近距離ならほぼ確実にモンスターの頭を射貫くようになってきている。

 接近戦は相変わらず出来ないが、そんなの気にならないほどの命中精度である。

 おかげで、行きと帰りの道中では、二人が出るとほぼ一発で戦闘が終わってしまう。

 トモキが前に出る必要が全く無い。

 それでも、事前にモンスターの存在を感知出来るトモキがいなければ、ほぼ一方的にモンスターを攻撃する状況を作る事は出来なかっただろう。

 そういう意味でも、早急に察知の技術は身につけねばならなかった。

 攻撃が上手いだけではどうしようもない。

 そこは二人も分かっていたので、次の成長をどうしようかと考えている。



 トモキはトモキで、自分の存在が必要なのかと思うようになってきてもいた。

 戦闘が楽に進むのはありがたいので、こんな状態を否定するわけにもいかなかったが。

 それに、多数のモンスターを相手にする場合には、接近戦も出来るトモキがどうしても必要だった。

 全員がそれなりにあらゆる状況に対応できるわけではない。

 全てを満遍なく出来るようになるのも無理があるが、ある程度汎用的にこなせるようになる必要はあった。

 そういう面からすると、それぞれがまだまだ成長途中と言える。

 そういった足りない部分を早く補うためにも貢献度を稼いでいかねばならない。

 自然と成長の方向性について考えるようにもなった。



 これについては二人の希望を可能な限りくんでいって決めていった。

 性格や好みがあるので、それらを無視して話を進めても上手くはいかない。

 どこかで必ず失敗が生じる。

 幸い必要な貢献度が手に入るまで時間はあった。

 それまでにある程度方向性を絞る事も出来た。

 それが最善かどうかは分からないが、とりあえず伸ばす方向が決まる。

 シンイチは探知関係の技術を。

 ユキタカは接近戦の技術を伸ばしていく事になる。

 これが正解かどうかは分からないが、ある程度決まった事で迷いは減った。

 それに、あくまで当面の話としてである。

 途中で、やはりこれは違うと思ったなら、その時に軌道修正すれば良い。

 何も今後絶対にこれで進めていかねばならない、というわけではないのだ。

 ただ、レベル3になるまではこの方向で技術を伸ばしていく事にはした。

 ある程度レベルが上がらないと有効と言えるほどの効果が出ないからだ。

 その段階に到達するまでは、とりあえずこの技術一本に絞っていく。

 ついでながら新人も、今後伸ばすべき技術について考える事になった。

 新人もいつまでも新人でいるわけにはいかないのだから。



 そんなこんなで第二回強化合宿と言える探険は進んでいった。

 全員のレベルが上がってるから、戦闘などはかなり楽に進んでいった。

 戦闘にかかる時間は減少し、他の部分でも余裕が生まれていった。

 実力が上がった事で危機対処能力が増大し、以前よりも気を張らずとも良くなっていく。

(あと一回くらいやれば、こいつらも独り立ち出来るな)

 強化合宿をである。

 そうなればシンイチとユキタカのレベルは申し分ないものになる。

 トモキから離れて新人を率いていく事も出来るだろう。

 そうなればトモキは再び新人を加えていく事になるのかもしれない。

(面倒だな)

 そう思わないでもない。

 だが、今は全体の底上げが必要な時期なのだろう。

 今少しはこんな事を続けるしかないのかも、とは思って覚悟を決めるしかない。

(もっと先に進むのも、当分は無理かな)

 個人的にはそうしていきたい。

 だが、その為の人員も育ってない。

 気は逸るが、現実を考えると自分をおさえるしかなかった。

 本日はここまでになります。

 続きは出来るだけ急げるようにがんばりたいと思います。

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