第65空間 跳ね上がった成果と、それがもたらす可能性
「そんなわけで、一週間で1万3000くらい稼いだよ。
実質五日くらいだから、厳密に一週間ってわけじゃないけど」
「はあ……」
「それはそれは……」
呆れるやら困惑するやらといったカズアキとテルオ。
そんな二人に二ヶ月に及ぶ探索結果を報告するトモキ。
三人はいつも通り報告をする側・受け取る側に分かれてそれぞれの役目をこなしている。
大なり小なり驚きがあるこの話し合いだが、今回もまた今まで通りの展開になった。
「しかし、そこまで大きく稼ぐとは」
「これは、もしかするともしかしちゃうかもね」
今まで頭打ち状態だったレベル上げ。
それを解消する事が出来るかもしれない。
その期待が実現可能な可能性になってきている。
カズアキもテルオもそれが為すであろう今後の発展を描き始めていく。
「ただ、最低限のレベルはどうしても必要でありますな」
問題となるのはそこである。
今までに比べれば比較的簡単に大量のモンスターを相手に出来るようにはなる。
だが、それであっても確実にモンスターと渡り合えるだけの実力者がいないとどうしようもない。
本当に新人だけで編成した者達を送り出すというわけにはいかない。
「それに、ボウガンが大量に必要だしね。
すぐには揃わないよ」
それもまた問題だった。
あくまで武器というか攻撃力の大量投入によって為しえた成果である。
日々の生活に事欠かなくなったとはいえ、今の状態で1000点のボウガンを大量に手に入れる事は出来ない。
トモキが事前に大量に貢献度を貯めておいたからこそ出来た事である。
「これからそうやっていく事にするにしても、すぐにというわけにはいかないでありますな」
「先の話だね、今の所は」
だが、出来ない事では無いとも思っている。
時間はかかるが、いずれ解決出来そうな事ではあった。
「でも、優れた武士を弓取りって言ってたけど、その意味がよく分かるよ」
接近戦の強さも必要だが、遠距離から仕留められるならそれに越したことはない。
そして、それが出来る者達がどれほど脅威なのかがよく分かる話であった。
「それで、あの二人の方はどうなったの?」
自分達の報告が一段落したところで、トモキは別の方面の話を始めた。
旅に出たのはトモキ達だけではない。
二ヶ月ほど一緒だったケンタとミノルも同じように探険に出ている。
よほどの事が無い限り、そろそろ帰還してるはずだった。
「ああ、あの二人はトモキ殿より何日か早く帰ってきてるでござる」
「今は少し休んでもらってるよ。
また探険に出るって言ってるけどね」
ご苦労な事である。
実入りが良かったのに気を良くしてるようだ。
この二ヶ月でやはり十分な貢献度を稼いでいるという。
「トモキ君のやり方を聞いたら真似をし出すかもね」
「それだけボウガンを用意出来ればでありますが」
「まだ貢献度を使ってないならありえそうだね」
「無いなら無いで、探険の途中で手に入れていくでありましょうな」
二人がやりそうな事を予想しながらテルオとカズアキが色々と言っていく。
どことなく勢いで行動してるきらいのあるケンタとミノルだけに、そんな二人の言葉も否定しきれないものがあった。
「新人育成を考えると、そういう無理も必要かもしれないけどね」
「あまり無茶はして欲しくないでござるが」
「こればかりはなあ。
どうあってもモンスターとやり合わなくちゃならないし」
「危険はつきものなのは分かってるでありますが。
それでも、無茶はしないでもらいたいでござる」
「自重って事をおぼえてくれればいいんだけどね」
勢いがあるのは良いが、それをどこで用いるのかを考えてもらいたい。
それがトモキ達の求めるものである。
「それで、トモキ殿もやはり出発を?」
「そのうちね。
貢献度を稼いでおきたいし」
「それは是非お願いしたいであります」
「ついでに新人君達を何人か連れていってもらえるとありがたいけど」
「いや、さすがにそれは」
言いたい事は分かるが、それはさすがに受け入れられなかった。
「慣れないのを何人も連れていっても危険なだけだから。
ボウガンも足りないし、一人当たりの実入りも減るし」
「さすがに無理でありますか」
「何とかしたいところだけどね」
「レベルの高いのを揃えるのが先だよ。
一人でモンスターを倒せるのと、モンスターに気づける奴が一人ずつ。
それがいないと新しい組も作れないし」
そこに援護射撃のための者を入れて一組とする。
それが探検に送り出す者達の最低現の編成である。
出来ればあと一人か二人を加えたいところだが、それは状況次第となる。
だが、これを作るにしても、戦闘技術はレベル4は欲しい。
探知についてはレベル3があれば安心といったところである。
そうそう簡単に育成できるレベルではない。
「まずはシンイチとユキタカを育てて、それから他の奴のレベルを上げるよ。
他はそれからだ」
「ケンタとミノルの二人も同じように頑張ってもらえば、あと少しくらいは人を育てられるでありますな」
「だいたいどれくらいかかるかな」
「行って帰ってで二ヶ月で、それに一ヶ月くらいの武者修行を入れて。
三ヶ月だね」
「まあ、それくらいはかかるよね」
それでもどれだけレベルを上げられるかは分からない。
なるべく新人が貢献度を稼げるようにしたいが、最後の止めだけを刺してるのではやはり稼ぎが少ない。
「途中からある程度戦えるようになるだろうから、もう少しレベルアップも早くなるだろうけど」
「時間はどうしてもかかるよね」
「こればかりは仕方ないでありますな」
焦っても仕方ないが、焦れったい。
やむなき事として割り切るにしても、どうにか出来ないかと思ってしまう。
今までに比べれば格段に早い成長速度であるには分かっていてもだ。
「まあ、出来るだけ頑張るよ」
そういってトモキは今できる事について考える事にした。
「あの、そろそろご飯にしませんか」
丁度良くヒトミが声をかけてきた。
食事の時間になっていたらしい。
腹の減っていたトモキは、久しぶりに人の手による料理に興味をうつした。
カズアキとテルオもそれにならっていく。
続きは22:00に。




