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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
四章

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第63空間 出来ないなりの工夫でどこまでいけるのだろうか

「あらためて」

「よろしくお願いします」

 声を合わせて頭を下げるシンイチとユキタカに、「はいはい」と気のない返事を送る。

「やり方は分かってるだろうから、あらためて説明はしない。

 ただし、今度は行ける所まで一気に行くから、簡単に帰って来れると思うな」

「はい」

「分かってます」

 張り切って応じる二人に、不安がなくもない。

 果たしてどこまで理解してるのだろうと思ってしまう。

 だが、とりあえずこの二人でやっていくしかない。

「行くぞ」

 先頭に立って歩きながら、トモキはこの前とは別のトンネルへと向かっていく。



 トンネルまで概ね5日か6日ほどかかる。

 その間、モンスターの痕跡があれば追跡して倒し、遭遇すればこれも倒していく。

 さすがにケンタとミノルほど楽には進まないが、二人の援護射撃があると展開は早い。

 捜索を兼ねてあちこち移動するから時間もかかるが、大事な資金(貢献度)源である。

 逃すわけにはいかない。

 一日数体を倒し食い扶持を手に入れて先へと向かう。



 特に危なげもなくトンネルに到着し、その近辺に身を隠す。

 そのまま突入したらモンスターと鉢合わせになる可能性がある。

 なので、出て来るのを待ってから突入する事にした。

 レベルの低い者達でもトンネルをくぐり抜ける為である。

 それでも中で遭遇したら目も当てられないが、その時は運が悪かったと思って諦めるしかない。

 無茶は無茶だが、そうでもしなければ先に進めない。

 レベルの高い者が出てくるまでは、こんな調子でやっていくしかない。



 トンネルをくぐり、新たな場所に出る。

 といっても目に入る風景に違いがあるわけではない。

 中央は盛り上がった丘で、木々がそれらを覆っている。

 見た目にさしたる違いがないだけに、特に探索するべきものがあるわけでもない。

 あるかもしれながい、今は空間を調べるより先に、どれだけ空間が連なってるのかを調べる方が先だった。

 定例となった壁伝いと、途中遭遇するモンスターの処理。

 そして見つかるトンネルと、その先への移動。

 トンネルから中心の丘までに看板を掲げ、目印をつけておくのも忘れない。

 それが今後の移動で役立つ可能性があるからだ。

 モンスターがそれらを破壊する、それらを伝ってやってくる事も危惧されたが、今のところそういった事はなされてない。

 それよりも、自分達が移動しやすいように目印を置いておく事を優先した。



 トンネルの位置やモンスターの数にもよるが、一つの空間にかかる日数は5日から8日。

 よほど手間取ればどうなるか分からないが10日を超える事は今の所ない。

 その調子で2つ目3つ目と進み、更に先へと向かっていく。

 一ヶ月もする頃には5つめに到達していた。

 進み具合としては前回とほぼ同じである。

 稼いだ貢献度も前回と同等である。

 ただ、比率としてはトモキが多く、シンイチとユキタカは少なめになっていた。

 それでも、ここまでの時点でトモキは7000点ほど稼ぎ、二人もそれぞれ3000点を手に入れていた。

 食料などの分を差し引いてもこれだけ残っている。

 新人達も、今までの分を加え、更に帰り道での稼ぎを入れればレベルを上げる事が出来るだろう。



「けど、この調子じゃなあ……」

 確かにそこそこ稼げてるが、求めるレベルに到達するまで時間がかかるのは変わらない。

 もう少しどうにか出来ないかと思ってしまう。

 トモキだけなら、さまよってるモンスターを探して倒して行くだけで十分に稼げる。

 おそらく、一ヶ月あればレベルを1つ上げられるくらいにはなるだろう。

 だが、新人にそれが出来るわけもない。

 もっと稼ぐ方法はないかと思ってしまう。

 新人でも出来る事で、何かないかと。

 ふと、自分の貯めたままの貢献度に目を向ける。

(これなら新しいのが出てくるかな)

 貢献度が増えると、購入可能な新たな物品が表示される。

 それらの中に使えそうなものがないかと思って見てみる。

 それを見越して、成長もさせずにとっておいたのだ。

 だが、あいにくと威力があって使えそうな道具は見あたらない。

 使いようによっては絶大な効果を発揮するかもしれないが、今のトモキではそれも分からない。

(そう都合良くいかないか)

 残念だが、とりあえず今思いつく範囲でどうにかするしかないようだった。

(何が出来るかな、これで)

 真新しい事はあえて求めない。

 そんなものがすぐに思いつくならとっくにやっている。

 それよりも、今までやってきた事を振り返る。

 それらを上手く使ってみれば、新しい手法になりえないかと。

 もっと単純に、今までの延長や工夫の範囲で。

 どんな効果があるか分からない新規より、使い慣れて扱いやすい枯れた道具や手段を考えていく。

(まあ、これしかないかな……)

 物品一覧を長目ながら結論を出す。

 おそらく、今すぐ出来て比較的簡単に戦闘力を上げる方法。

 上手くいけば、おそらくこれが一番簡単に攻撃力を上げる事になる。



「おーい、ちょっといいか」

 夜が近づき、適当な所に落ち着いてから二人に声をかける。

「ちょっと、ボウガンを貸してくれ」

「ええ、はい、どうぞ」

 素直に渡してきた二人に礼を言って受け取る。

 それから弦を引いて矢をつがえ、一旦ステータス画面に収納する。

 それからそのまま取り出してみる。

 ボウガンは矢をつがえた状態で出てきた。

 それを何度も繰り返していく。

 画面に収納するのにかかる手間と、取り出す時に上手く手の中におさまるのかを確かめる。

 この当たりは割と上手くいった。

 手にしたボウガンが収納され、再び取り出す時には手の中に入ってくる。

 収納と取り出しに何秒かの時間はかかるが、極端に長い時間というわけではない。

「何してるんですか、それ」

「うん、まあ、色々考えててね」

 とりあえず考えたのは、一人で行動する時の射撃についてであった。

 ボウガンは連射が出来ないが、装填しておけばそのままステータス画面に入れておく事が出来る。

 あとは、取り出す時にそれが手に入ってくるかどうかである。

「これは上手くいったら、連射みたいに撃てるかなってって思ってね」

 装填の手間を、事前の準備で打ち消しておく。

 なおかつこの世界特有のステータス画面と、そこへの物品収納を用いて射撃速度の向上を目指してみた。

 一人で撃つなら、これである程度の連続射撃が可能になる。

「装填しておけるボウガンの数までだけどね」

「いや、それ凄いですよ」

「これならガンガン撃てるじゃないですか」

 二人にとっては利点の方が大きかった。

 これなら今まで以上の連射が出来るようになる。

「でも、数が無いとどうしようもないから」

「まあ、それは」

「確かにそうですね」

 そう、数を用意しないと連射にならない。

 十回くらい連続で攻撃するなら、ボウガンは10挺必要になる。

 それだけの貢献度を稼がないといけない。

「それに、一人でならこういうのもいいけど、何人かいるならもっと別の方法があるしね」

 専属の射手を用意して、何人かで再装填をすれば射撃速度は確保出来る。

 実際にカズアキ達が防備の中からモンスターを攻撃する時にやってる方法だ。

 特に目新しくもない。

 ただ、それらに共通する、数多くのボウガンというのがネックになっている。

 それだけの貢献度を稼ぐのがなかなか難しく、ボウガンを揃えるのがままならないのだ。

 食事代を差し引いて手元に残るのが数十点というのが普通なので、なかなか上手くいってない。

 だが、それもトモキには関係がない。

「どうだ、一つやってみるか?」

 自分に出来る事を再確認して、トモキは二人に尋ねていく。

「何をですか?」

 不思議そうに尋ね返してくる二人に、

「良い事」

とトモキは答えた。

 明日の投稿はどうなのかちょっと分からない。

 明後日も、さてどうなるかというところ。

 なるべく早いうちに次を出せるようつとめたい。

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