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捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
四章

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第61空間 どうしても出てくる限界と、それを打破する手段の考察

 危機感を抱きながらもトモキは次の空間へと向かうトンネルへと入っていく。

 探険が目的だから、出来るだけ先を目指していく。

 今回はある程度の区切りを付けて一旦帰還する、という事は無い。

 行ける所まで進み、そこから戻ってくる事にしている。

 食料を始めとした必要な物資は、倒したモンスターから手に入れる貢献度で全て賄う。

 通常ならありえない行動である。

 食料に限らず必要になる様々な物資を補給しなければ先へは進めないのだから。

 しかし、この世界においてはそれが成り立つ。

 貢献度を手に入れれば、必要なものはそこで手に入る。

 敵を倒し続ける事が出来るなら、際限なく進んでいけるようになっている。

 それだけの強さがなければどうしようもないが、今のトモキ達ならば多少の無理は出来る。

 だからこそ、ある程度先に進んでみようという事にもなった。

 隣の空間に移動し、更に次のトンネルを見つけて中に入り、そのまま次の空間へと向かっていく。

 そうやってひたすらに先を目指していく。

 今回の探険では、隣の空間がどうなってるのかを確かめるのが目的ではない。

 空間がどこまで連なってるのかを知るのが目的だった。



 直径50キロ、高さ5000メートルと言われてるこの空間。

 それらがどれほど連なってるのかは全く分かって無い。

 すぐ隣の空間からもトンネルがのびてる所を見ると、その先にも何かがありそうだった。

 もしかしたら、その先の空間からも更に別の空間へとのびるトンネルがあるのかもしれない。

 それはどこまで続いてるのか?

 あくまで想像でしかなく、それほど空間が連なってるわけではないのかもしれない。

 そこを調べておきたかった。



 その為の旅をトモキ達は続けていく。

 トンネルを抜け、3つ目の空間に入り、壁伝いに移動してトンネルを探す。

 トンネルを見つけたらそこに入って更に隣へと向かう。

 途中で遭遇するモンスターは貢献度を手に入れる為に倒していく。

 4つ目、5つ目と空間を横切り、6つ目に到達する。

 その頃には出発した時から1ヶ月以上が経っていた。



「全然終わらないな」

 簡素な地図を描きながらため息を漏らす。

 まだ6つ目であるが、ここまで到達してもまだ先は見えない。

 空間はどこまでも果てしなく連なってるように思えた。

 どこまで進めば果てに到達するのかと思えてくる。

 そんなものがあるのかどうかも分からない。

 だが、こうして歩いてみてよく分かる。

 ここが人の尺度からすれば想像以上に大きく広い所なのだろうと。

 もしかしたら、この次の空間で行き止まりなのかもしれないが、それを確かめるためには更に足を進めねばならない。

 そして、そこに到達したからといって、本当にそこで終わりなのだという保障もない。

 それでも探険は続行していきたいが、さすがにそれも考えてしまう。

「一度ここで戻ろうか」

 里心がついたわけではない。

 少しくらいそういう気持ちもあるが、理由はそれではない。

「ここまでの事を報せておきたいし」

 分かった事を仲間に伝えねばならない。

 その為にも一度帰還しておかねばならない。

 ここで野垂れ死にしたら、分かった事を伝える事もなく終わってしまう。

 ここに来るまでかかった一ヶ月という時間は、戻るのにも一ヶ月かかるという事でもある。

 そして、ここから更に先へと進めば、それに費やした時間がそのまま帰還にかかる負担にもなる。

 さすがにこれ以上時間をかけるのも考えものである。

 帰りが遅くなれば、それだけ伝えるべき事を伝えるのに時間がかかってしまう。

 無線による長距離通信が存在しないので、情報は直接伝えるしかない。



「それもそうですね」

「さすがにこれ以上ってのも」

 ケンタとミノルも賛成する。

「帰れなくなったら大変ですしね」

「余裕があるうちに帰還するはセオリーです」

 限界を超えての努力など二人はしようとしなかった。

 無理を重ねればそのうち破綻する事を理解しているので助かる。

「死んだら元も子もありません」

「スタート地点でコンテニューってわけにもいきませんから」

「なるほどな」

 表現はゲームらしいが言ってる事はもっともだ。

 この空間で死んでも生き返る事は無い。

 死ねばそれで全てが終わる。 

 それは彼等も望んでいなかった。

 頑張ればもう少し稼げるとか、あともうちょっと先に、という考えはないようで助かる。

「じゃあ、戻るか」

 くぐってきたトンネルを振り返り、再びそこへ戻っていく。

 新しい空間に来て何もせずに帰るのも気が引けるが、探索は今後にまわす事にした。

 そして、戦闘における無謀に思える行動をする二人が、こういう時に慎重である事に安心する。

(これで、戦闘で無茶をしてくれなければ一番なんだけど)

 それはさすがに望みすぎなのだろうかと思ってしまう。



 34日に及ぶ探険はそこで一旦終わる事となった。

 実質的に5つの空間を渡り歩いて、分かった事はさほどない。

 空間がまだまだ続いていそうな事と、人の足で踏破するのは難しいという事くらいである。

 また、当たり前の事だが進めば進むほど仲間との連絡が取れなくなる。

 何があっても自分達だけで対処するしかなく、そうなるとレベルが高くないとどうしようもない。

 どうにかしてレベルを上げるための手段を考えなくてはならないだろう。

 毎度の事だが、それが非情に難しい。

 ここを解決出来れば、人手の確保も難しくなくなるのだが。

 そんな手段はそうそうない。

 地道にモンスターを倒しいくのが、唯一の手段である。



 ただ、そんなモンスター退治ばかりの日々を送っていたので、トモキ達の貢献度はかなりのものになっている。

 トモキは、以前の探険から貯まっていた分を使って1万8000点になっていた。

 ケンタとミノルもこの探険の往復で1万2000点を手にいしている。

 行きと帰りの2ヶ月でレベルアップに十分な量を二人は手に入れていた。

 トモキも、それに準ずるだけの点数を手に入れている。

 やはり少人数によるモンスター退治が一番楽な稼ぎ方であるようだった。

(これを上手くやっていければいいんだけど)

 それはそれで難しいものがある。

 やはり、最低限のレベルがないとどうしようもない。

 多少なりとも色々こなすためにも、ある程度出来てないといけない。

(でも、あれをこうすれば……)

 あれこれ考えてはみるが、なかなか良い考えは浮かんでこない。

 それでも何かが出てきそうな、良い結果に到達しそうな予感がある。

 勘違いかもしれないが、すぐそこまで来てるかもしれない妙案の為に、思いつきを組み合わせていく。

 帰り道の間、トモキはそんな事に余ってる時間を費やしていった。

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