表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨て石同然で異世界に放り込まれたので生き残るために戦わざるえなくなった  作者: よぎそーと
四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/102

第60空間 新たな同行者たち

 カズアキ達がトンネルをくぐり抜け、新たな防衛設備を建築しようとしていく。

 そんな彼らとは別に、トモキは仲間を伴って探険に赴く事になった。

 仲間には、今までのシンイチとユキタカではなく別の者が加わっている。

 二番目にやってきた者達で、レベルも上がってる者達である。

 戦闘技術はレベル3に上がっており、自力で生き残れるくらいの強さはある。

 だからこそ選んだ。



 最初とその隣の空間についてはある程度調べたが、そこから先はまだまだある。

 今の調子でやっていては調べるのに時間がかかりすぎてしまう。

 本当はシンイチとユキタカが育つまで、と思っていたが、あまりに時間がかかりすぎる。

 隣の空間の探索で二人が得た貢献度はそれぞれ3500点。

 一ヶ月近くで稼いだ点数である。

 新人の稼ぎとしてはかなり多いが、それでもレベルアップまで三ヶ月はかかってしまう。

 順当なレベルに上がるのを待ってたら半年どころかでは済まない。

 一年近くかかってしまう。

 それで、彼等と交代で戦力になる者達が同行する事になった。

 トンネルをくぐり抜けていくのだから、その途中で遭遇するかもしれないモンスターと渡り合えねばならない。

 レベル3以上の戦闘力はどうしても必要だっった。

 幸い、二番目に連れて来られた者達は概ねその段階に到達している。

 その分カズアキ達の戦力が低下するが、多めの人数と、設置する防衛設備で対処する予定であるとか。

 それらの設置だけなら、レベルが低くても問題は無いので、シンイチとユキタカが残る事になった。

 もちろん作業関係の技術があった方がありがたいが、戦闘ほど致命的になるわけではない。

 戦闘技術がないのに戦ったら死ぬ確率が跳ね上がるが、作業技術が無い場合はできあがりが遅くなるだけだ。

 出来映えが悪くなりもするが、それほど端正に作る必要のないものでもある。

 多少雑になってもかまわなかった。

 何せ作るのは堀と土嚢である。

 細かな事を言えばそれなりの技術は必要になるかもしれないが、素人でも時間をかければどうにかなる。

 なので、作業員として二人は残り、別の者が入る事になった。



 新しく入ってきた二人は多少緊張しつつも、ざっくばらんな調子であった。

 もう二年近くこの空間にいるのだから当たり前なのかもしれない。

 探検についてもそれほど大変なものだとは受け取ってないようだった。

 モンスターが相手というだけならどうにかなると思ってるようでもある。

 確かにそれもそうだろう。

 レベル3の戦闘技術を持つ二人なら、モンスターはさほど無理なく倒す事が出来る。

 大変頼もしいが、反面そういった態度が気にかかった。

 油断してるのとは少し違う、自身を抱いてる事からくる危険性を感じた。

 一応注意はしたが、それをどれだけ真剣に受け止めたか分からない。

 もっとも、力を得た人間というのはこういう増長のようなものをしてしまうもの。

 多少の痛い目を見るまで、自分の力が及ばない瞬間に出会うまでは改善しようもない。

 そうなった時には手遅れになってるだろうが。

(そうなる前に気づけばいいけど)

 レベルが低かったシンイチ・ユキタカの二人とは別の不安を抱いた。



 それでもトンネルに向かって進み、モンスターを撃退していく。

 二人の腕は確かで、確実にモンスターを仕留めていった。

 事前にトモキがボウガンで攻撃して弱らせているが、それを差し引いてもなかなかの腕だった。

 おかげでトモキの受け取る貢献度はかなり少なくなってしまった。

 今までにない事だったので、それに少し驚いた。

 それだけ二人が上手くやってるという事でもある。

 しかし、トモキからすれば危うさの方が目に付いた。

(こんな調子じゃそのうち死ぬぞ……)



 正面から戦うから度胸がなければいけないのは分かる。

 しかし、その行動というか態度がとても危ういものに見えた。

 あまりにも正面から、更に言うなら、相手からの攻撃を考えないものに見えた。

 技術があるからそれなりに動いてはいるし、極度に危険な動きをしてるわけではない。

 なのだが、それを用いる本人達の行動というか気持ちがそれらを無に帰している。

 やられる前にやってしまえとばかりに攻撃を優先している。

 おそらくそれが二人の戦闘方法というか様式になってるのだろう。

 技術もそれが出来るように用いている。

 その為、安全性に関わる部分を完全に無視している。

 技術はレベルに応じて様々な知識や動きをもたらしてくれるが、使う者達の意志や気持ちに左右される。

 様々な道を示しはするが、最終的に選ぶのは使う本人である。

 また、本人が望んだ事を叶えていく方法を提示していくものでもある。

 結局使い手によって技術の出力方法や結果は変わってくる。

 個性と言ってもよいだろう。

 それが余りにも危うく出ていると思えた。



(こいつらがそれで良いと思ってるなら構わないけど)

 一応注意は促しておくが、最終的にどうするかは二人次第となる。

 結果として最悪の事態になるかもしれないが、その時はその時である。

 トモキに責任があるわけでもないし、どうにかする必要もない。

 馬鹿げた行動をとるなら馬鹿げた結果を受け取る事になるだけだ。

(もうちょっとまともに動けないもんかね……)

 そうではなかった希有な例を思い出す。

 始めてこんな所に来て、それでもモンスターと戦いまともに動いていた者を。

(あの人が生きてたら……)

 考えるとはなしにそんな事を思い浮かべる。

 もう大分記憶も薄れてきたというか、喪失感は薄らいでいる。

 それでも大事な、貴重な存在を失ったという思いは消えない。

 時折思い出してため息を漏らしてしまう。

 また、思い出を呼び起こすような場面に出くわすと、やはり目の前の光景と照らし合わせてしまう。

 見比べたり、同じようだと思ったり。

 今は間違いなく見比べていた。

 大島ケンタと成島ミノルという二人の同行者と、広川マキという今はいない者を。


 続きは明日の19:00に

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ